第千八百五十三話
お母さんの持っているアニメのライブラリに、地上波で流れたすごいシーンがあるそうだ。
その時代のアニメって、ノストラダムスの予言した終末でもある世紀末近くっていうのもあってか、それともまるっきり関係なくそういうブームだったからなのか?
なかなか激しく尖った作品が多かったそう。
別に残酷だったり残虐だったりするシーンはアニメに限らずあるものだし?
表現うんぬんがテーマじゃないので、念のため。
でね? それでもあえて例を用いるのなら? 時系列がぐちゃぐちゃになるけど、同じ空間で生活していたかわいくてセクシーな女の子が無防備に寝ていて、呼びかけたときに病衣が剥がれてお乳が盛大にぼろんと見えたら自慰しちゃったり。映画版だけど。巨大ロボットの手で少年を握りつぶしちゃったりする。人の形をした敵だったけど。
ほかにも第一話にして女の子がビルの屋上から飛び降り自殺をして、不思議な電波と繋がって会話をする少女の奇妙な悪意みたいなものをたんたんと見守る作品もあった気がするし?
エログロの規制がもうすこしゆるいところだと? もう悲惨そのもの。
規制はかければかけるほど、閲覧できる人の絶対数が減っていく。年齢しかり、性別しかり。宗教上の理由ってこともあれば、国の規制という場合もあるかも? 日本のゲームも、なかには発売が禁止されるケースがあるみたいだね。
でも基準あっての「こういうラインはダメ」で、エログロなんでもはいどうぞー! がスタートじゃない。基準はむしろ、控えめで。だれでも見れる基準を設けるとき、それをどういうラインにするかって考えると?
ねー。たいへんだ。
地上波だと? お乳ぼろんはなし。乳首NG。男性は除く。キスシーンはあっても、舌を絡ませるフレンチなのはなし。ベッドの中で、女性の胸は隠れていて、男性の腰から下はがっつりシーツがかぶさっていたとしても、さすがにぎしぎし動いているまっ最中っていうのはない気がするね?
ようやくいけて、朝のちゅんちゅんシーン。ふたりがばっちり下着かパジャマで寝てるけど、前夜はきっと「お楽しみだったんですね? えっちなことしたんですね!?」ってところまでなのかな。
あと、なんだかんだ、下着が見えるシーンもなしな気がする。
だからアニメでパンツが見えるのどうなのよ論を展開する人もいるのかも? 知らんけど。アニメはけっこうライン際を攻めていたり、踏み越えていたりするかも? ただ地上波では謎の光がきわどいラインを隠したりしてるわけで。
そんな中で、最中をどう描くのか。
どう描くのじゃ? ご存じかしら?
私は最初から見て、とうとうその回がきても「え、な、え?」とついていけなかった。
体感的にずっと昔の話だから?
そういうことじゃない。古典だろうと、和歌だろうと「ああ」と染みいるように共感できる話もあるんだから問題は、過ぎ去る時間じゃない。
ただ、どうだろ。
なんでそんなことが思い浮かぶんだろ。
「――……ぐごっ」
重たい身体をして。いびきの主の下から、そっと抜け出す。
腰にまとわりつく腕を外して、タオルケットをかぶせた。
触れるのは、気持ちがいい。通じ合えていると思えたら、余計に。
大事にしてくれていたら。気遣ってくれていたら。ふれあいの対話になっていたら。
あるいはダンスのように、激しいリズムでぶつかり合うように。そういうのがいいときも。
そういうときでも避妊は忘れずに。
なのになあ。
「シャケと、アスパラと、卵焼き」
止まれない。
進み続ける。
川の水を一時停止で止めることはできない。
流れ続けるから、止まれない。
余計に問われる。日常が。備えが。ふたりの理性も。
「朝ご飯はなんとでもするけれど。ゴミはいつでも困っちゃうな。生ゴミはさ。すぐ匂っちゃうから」
窓際に這い進んで、窓を開ける。網戸越しに夜空を眺める。
作中の少女は気高く強く、凜々しく格好よく、王子さまのようだった。
女を抱いて欲を満たす道具くらいにしか思ってない軽薄でダメで金持ちの男に口説き落とされて、体験する。
男の呪いという鳥かごのような話だな、と。
いまでは思う。
救いに性行為を据えたらたぶん、流れに飲まれてしまいやすくなる。
それを利用するのは男女どちらでもあり得そうだ。ただ、身体への負担という点でみたら、あまりにも歪な天秤の傾きようをしている。
語られる恋も、愛も。どこか呪いに準じた歪な構造をしているようで、それが身体を、心を、ときにひどく蝕むんだ。
心も体も同一。なのに身体がよくても心がついてこないことだって、ざらにある。
ポルノなノリだと身体がよければ心もよし、みたいな風潮があるみたい。そんなに単純だったらいいのにね。ほんとにさ。そんなんで日常のすべてがどうにかなるわけないのにね。
待ち受けているのは破滅だし、夢から覚めるまでに男のだめなところと付き合えるかどうか、自分に問えるかは別だ。自分には相手しかいないとして、加害をする男と離れずにいたら? ますます傷ついていく。
地味ぃにモテないタイプは案外尽くすという話もあり。結婚して昔いいなーって思っていた好みが変わり、育児をして如実に変わるという話もあり。
ほんと、罪深いとこあるよ。
自分のことで精いっぱいで、なんでもかんでも自分軸中心でモテる人ほど、遠ざかっておいたほうが無難。自分の穴埋めに容赦なく人を使うからね。言葉が素敵でも、惹かれるものがあっても、変わりゆく日常を過ごす中で大事になってくるとこがなきゃ?
意味ないかなあ。
『なんじゃ。恋心が冷めたか』
私の見ていた夢から覚めただけ。
カナタは相変わらず好きだし、契約は続けるよ。
ただ、あれだけ読みふけっていた夢物語は、それが特にどういう層に向けたものであったとしても、いまじゃすべて空しく思えてきただけ。
腐す必要はないんだけど、もう、夢中になれそうにないなあって感じているだけ。
最近は忙しさにかまけて、ろくに読めてないし、見れてない。
『好みに落ちつく。己の井戸というものがある』
そうだねえ。
井戸を広げることも、自分の井戸の外に出ることも自由だ。
ただ、その元気がないだけ。腐す必要なんて本当にないんだ。
わかっているけどさ。
『当たり散らしたいか』
なんか、ね。
『心地よくはなかったのか?』
タマちゃん、それはライン越え!
なんてね。
よかったよ? ただ、甘い夜の幸福感じゃ間に合わないだけ。
「んん……」
風が吹き込んできた。
都会の匂いがきらいで苦手。まだ寮で浴びる風のほうが好きだ。なのに実家だと、まあいいかっていう気になるのはなんでだろ。
手のひらに金色を浮かべて、蝶の形を取らせて羽ばたかせてみる。
飛び立って、網戸に落ちつく。透けて通り抜けてもいいだろうに、外には出ない。
出ていかない。
籠の中から逃げ出していい。
なのに、そんな選択肢なんて最初からないかのように振る舞う。
そもそも知らなければ?
限られた選択肢の中で、誤認も錯覚も気づかないまま、過ごしていく。
そうしてもはやどうにもならなくなって、おかしいと思って調べたときになって、初めて知るんだ。
ああ。こんなに惨い環境にいたんだって。
「――……」
もうすこし、どこか、だれもいないところでひとりでいたいなあ。
みんながいなきゃと痛感した日の夜に、真逆のことを願っている。
触れあうことで埋まるものはないよ。
ただそのとき、落ちつくかもしれない。けど、一時的に過ぎないよ。
日常の刺激にデコボコしていく自分を癒やすこともない。四六時中、特定のひとりか、あるいはだれが相手でもいいから触れあっていれば、それでいいかって?
そんなわけない。
『カナタに――……男に絶望するか』
タマちゃんに問われることのなかで、これほどエグい内容もないかも。
ごめんね、つらいこと聞かせちゃって。
『よい』
金色の蝶をどれほど増やしても、みんな網戸の向こうにすり抜けていけない。
数が増えて眩しくなってきたから、息を吹きかけて散らす。
大好きなセリフは、元ネタ制限なしにいろいろある。恋愛絡みのセリフもそう。
そうしたことばのいくつかは、私の中で息づいて、カナタに伝えたことさえあったかも。なんならカナタが喜んだことさえあった気がする。
でも、どれもひとときのもの。
恋も愛も別に保証になる類いのものじゃない。
やがて日常に溶けていく中で、ふたりの間を行き交う感情のひとつだと気づく。
大事だよ? でも日常を支える土台と柱として、恋か愛か、その両方じゃ到底たりないよ。
かといって捨てろとか、価値がないとか、そういう類いの話でもない。
長く共に生きるうえで、素敵な刺激として必要な気さえする。日常がガタガタなのに恋だ愛だって言われたら、それはそれで違うだろって話なだけで。
『式神たちの現状に追いつかぬか』
私が追いついてない。
カナタは、私の目からはもっと取り残されている気がする。
いますぐ全力疾走で追いかけてきてほしい。そういう欲がある。
言えない。ずっと。
恋人の距離感ならいままでのままでいられたはずなのに。
焦りすぎてる?
『愛しく思うほど、急くもの』
ぷちたちがだれより早く、先にいる。
はやくはやくと声をあげてくれている。
急ぐ私の目に、カナタはどうにも頼りなく映る。
なんにもしてくれないってわけじゃない。けっこう協力してくれているほうだ。
ただどこか、なにかが足りていない。
私だけが思っていることなのかな。
カナタが触れる話題で「あ、それだ!」って感じてない。
お金の話? それはある。
今後の生活の話? それもある。
たとえば「どんな不安がある?」とか。「今日の刀は、春灯にとってどういうものなんだ?」とか。そういう、質問があったらうれしいんだけどな。ないんだよな。深くは突っ込めないでいる。
そこが怖い。
私が話さないから触れられない、なのか。
私が切り出さないからまあいいか、なのか。
いまは痛すぎて話せないかもしれないし、そのこと自体どう尋ねたらいいのかわからないから言えない、なのか。
ただただ痛そうだからやめておこう、なのか。
聞いてくれたら。
そう、求めてしまうのが、地味につらい。
今日のできごとはなにかとしんどくて、心がささくれだっている部分はあってさ。
夜をふたりで楽しんだら、すこしは癒やされるかもってどこかで期待していた。
そんなことはないな!
それはそれだわ! ほんとに。
朝まで眠れたはずなのに、ぷちたちの元に行かなきゃって気がつけば起きちゃうんだから、むりむり。ないない。
そういう私より、自分の欲ですかって思っちゃうくらいにはささくれだっているし、そもそも私の心は疲れてる。
こんな気持ちと離れたくて、ひとりでいたくなるんだから。
感情は暴風圏内にずっと留まっている。
『まだ幼いよ』
タマちゃんの指摘に項垂れちゃうなあ。
そういうことなのかもしれないし。だったら成長と経験が欲しくなるし?
どこでだれから? そこんところが、さっぱりわからない。
たしかに眠ったはずなのに、今夜は天国にお呼ばれすることもないから、アマテラスさまに相談もできない。
落ちついて寝なさいってことなのかなあ。
落ちつけないんだけどな。
金色を集めて折り紙用紙に。さっと折って、いちばん簡単な紙飛行機を作って、カナタめがけて飛ばす。
ふらふらと漂って、急にすとんと落ちた。先端がカナタのつむじに命中!
そのまま粒子に散らばって消えていく。
「ふご?」
いびきでリアクションするんじゃあないんだよ!
すぐにガチ寝に戻る。朝まで起きる気配がない。
なんだかんだ久しぶりなので、めいっぱい精気をいただいちゃったからね。
ちょっとやそっとじゃ目覚めないだろう。
おかげでただいま絶賛、悩みの夜。
真夜中に悩むのはよくない。
窓をそっと閉じて、施錠した。和室からそそくさと抜け出て、リビングへ。
通り抜けてキッチンに入り、コップに水を注ぐ。
一気に飲み干した。
喉にすこししみる。
「ふう」
特に明かりをつけるでもなくいた視界にぱっと、光を見た。
リビングのテーブルにスマホが置いてある。私のだ。
置きっぱなしにしてたのかと気づいて、コップを流し台に置いた。
とことこ回収しにいくと、ちょうど着信の真っ最中。音は切ってあるから鳴らないけど、でも、こんな夜更けにだれだろう。シュウさんから事件の連絡だったらやだなあと思いながら見たら、トシさんだった。
「はーい。どうしました?」
『どうもこうも。ろくに話せなかったが、だいじょうぶだったかなってさ』
スピーカー越しに風や車の走る音がした。
外にいるんだって気づく。リビングの時計を探して時間を確認した。
スマホでええやんけ、と自分にツッコミ入れる深夜二時過ぎ。
「だいじょぶです。タフなので」
『嘘いえ。俺ら相手に、やせ我慢すんな。いろいろたまってんだろ、どうせ』
あー。
これだー。こういうのに弱いー。
ソファに移動して、座る。
油断したら寝そべりそうだし、それだと心がゆるみすぎそうで怖い。
『ぷちたち? あいつら寝ていてだいじょうぶってんなら、ドライブになんて思ったんだけどな』
ぐらつくー。
ゲームで地面を揺らす技や魔法があるけど、全部を一身に受けている気分!
「もしかして、誘うために外走ってました?」
『ばかいえ。いい年こいて、そんな気持ち悪い真似するかよ』
「じゃあ、なんで外にいるんです?」
だめだ。むりだ。
寝そべっちゃう。
『無理してたんじゃないかなってさ。今日のおまえ見ると、放っておけないだろ』
「それはどうも。それよりもトシさん? どうして外にいるんです?」
『うっせえなあ』
あー。
もー。
坂道を一気に転げ落ちている。
「ほんとに、だいじょうぶです。短いとはいえ盛りあがった日の夜なんだから、事故らないように気をつけて帰ってください」
『無理だ。お前の話を聞かなきゃ今夜は帰れない』
ああああああああああああああ!
『心配なんだ。生きてりゃ死にそうなの我慢してるヤツの面にも覚えがある。今日のお前はかなりきてたから。味方だぞって、そういうの、伝わんねえと不安でたまらない』
ああ。
「夜、遅いんだけどなあ」
『お前が眠れるんなら、いいよ』
でも起きてたろ? と。そう続くに違いないことばに心が揺れる。
ただ、できない。大事な人と夜を楽しんだあとは特に、無理だ。
どれほど心惹かれようと。救われるって、尻尾を全力でぱたぱたと振っちゃおうと。
「すこし悩んでたんだけど。おかげで、気持ちよく眠れそうです」
『そっか。じゃ、今夜はそれで我慢しとく。おやすみ』
「――……おやすみなさい」
眠るあいさつをするのって、なんだか特別な気がして。
頭を振った。通話が切れる。どこかでバイクの走り去る音が聞こえる。
両手で目元をこする。撫でて、拭う。
それから、思いきり伸びをする。
トシさん、私のことめっちゃ好きじゃん。
ぐいぐいくるなあ。
うれしいとか、いいなあとか、思っちゃうぐらい、いまの私は参ってる。
深夜なんだって。
だけど、でも。
身体中を串刺しにされた夜なんだって。
良くも悪くも隔離世の事件に慣れているカナタと、そういう経験がぜんぜんないだろうけど大人のトシさん。
ああ、だめだ。
そういうタイミングじゃない。ぷちたちがいて、お金や今後のこととは別だ。
ただ、真っ当に心配されて、教えてって言ってくれた人はたくさんいて。カナタもそのひとりのはずで。なのに、なんでかな。
今夜のトシさんのが、いちばん効いた。
『逢うてはやらんのか』
だめ。いまは不安な私ごと触れてもらいたくてたまらないんだ。
今夜の揺れっぷりだと「いいかな」ってなりかねない。それくらい、弱ってる。
欲目はあるよ。カナタ相手でも、キラリやマドカたち相手でも、トシさん相手でも。意味合いは異なるし。触れるコミュニケーションにもいろいろある。ただ、性の領域に踏みこみそうなときは要注意。
これまで見てきたアメリカのドラマじゃあ?
漏れなくエッチしてた。
こういう瞬間は、ぜったいに! そういう! タイミングなの!
『いやか?』
そ、それは――……あんまりいやじゃないかもしれないから無理なの!
だってその手の作品じゃ漏れなく揉めていたんだから!
『気持ちのよいひとときになるやもしれんぞ?』
たとえよくてもだめ!
関係ないから!
日常がぐらぐらに揺れる。
そっちがまず、いまの私には無理。
私を繋ぎ止めておきたかったら指輪をよこせって歌う気にもなれない。いまは特に。
『逃した魚はでかいやもしれんぞう? 人生は長い。縛る意味がどこにある』
うーっ。
だめ!
人で埋めないの。
ふれあいで埋めることもできないの。
魅力的に思うのは、触れることでまぎれる不安があるから。
恋愛も。一目惚れも。あるいは大恋愛でさえも、そう。
『まぎれればよいのではないか?』
よくないよ。
その選択の先に見えるもの。
すでにいまの状況で手いっぱいなのに、さらに恋愛のトラブルが入り込んだら?
心が参っちゃうよ。そんな状態でふたりを傷つける選択なんて、無理だ。
勝手すぎるよ。
そのわりに、だれの得にもならない。
私が今夜ちょっと気分良く眠れるだけ。
代償がでかすぎる。
『では?』
寝るよ。お部屋に行って、ぷちたちと一緒に。
『しかし含みは持たせて、今後の関わりに触れるまでではないと』
タマちゃん!
『おお、怖い』
さみしさと苦しさは簡単に惑わせる。
求めた刺激をもらった途端にぐらつくことさえある。
正直揺れに揺れましたよ! ええ、もう! そりゃあね!
でもだめ! なしです!
『含みを持たせたのに?』
断言できなかっただけです!
『好意に弱く脆く、うれしく感じるのが情であろ』
そりゃあ、まあ。
たしかに、いいなって思ったよ?
うれしかったしさ。カナタよりもずっと真摯に心配してくれてるなって感じて、心をがしっと掴まれたよ。恋愛かどうかは知らないけど、でも、トシさんのことは好きだしさ。
今日の私が晒した実情を踏まえて、心配してきてくれてた。
スマホを見ると、ちょいちょいメッセージや通話が来てる。件数は多くない。近場にいるから、寝れなかったら連絡よこせーみたいな。そういう感じ。
下心ゼロってわけでもないとは思う。
だけどね? それは個人的に、優先順位の高いところじゃない。
未熟で問題がないわけでもなくて、話ができるわけでも、聞いてくれるわけでもないけれど。
カナタがいるから。そっちのほうが大事。
そしてそれよりもっと大事なのが、まず自分だ。
デコボコしていくけど、自分の心の物足りなさやなにかのために人を利用しちゃいけないよ。
自分に返ってくるもの。
だから、情は受けとる。交わせる範囲でね。
でも、そこまで。
今夜はぷちたちと寝るの。一緒にね。
そういう意味では、カナタだけじゃなくてトシさんにも「ん?」って思うよ。
心配してくれたのは、ほんとに、めちゃめちゃうれしいけど!
『しかし、どうじゃろうなあ。顔がにやけておらんか?』
スマホを見たら、トシさんだけじゃなくて、けっこういろんな人たちから連絡が来てたの。
愛されてんじゃん!
そう感じたらさ。
そりゃあ! 顔くらい、いくらでもにやけますよ!
つづく!




