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その刀を下ろして、帯刀男子さま!  作者: 月見七春
第九十九章 おはように撃たれて眠れ!
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第千八百二十三話

 



 どうせ時間がかかるんだ。

 ならばと開き直って、ぷちたちと相談してみるのも手だと思いついた。

 それにはみんなに尋ねられる問いが欲しい。


「やっぱり、ビルのある区画をひとつひとつ封鎖しているみたいだな」


 まるで動かない車列。ところで九尾が目立つ私たち。

 呼びかけてくれる運転手さんや同乗者さんもいて、カナタが対応して教えてもらったみたい。


「爆弾があるかもしれないもんね」

「調査しなきゃいけないし、撮影されてアップされたら困るからな」

「ねー」


 ビルの周辺は安全かどうか、確認しなきゃいけない。

 発破されたビルの近隣に通う人たちの中に、こっそり撮影してアップする人がいないとも限らない。

 ブルーシートを張っておかないと、報道のヘリが空撮で現場を撮影し続ける。

 いや、ショッキングな映像を垂れ流しにはできない気がするなあ。そのあたりは事前に取り決めか、手順に関して暗黙の了解がありそうだ。そこまではさすがに知らない!

 いずれにせよ? 一区画ごと封鎖ってなると、そりゃあ迂回路の手配が大変そう。

 十二の区で十二のビルが破壊されたんだ。対策が必要な区画がめっちゃあるじゃんね?

 呑気に話しているけど、でも、人が意図的にビルを破壊したのに声明は出ていない。発表もされていない。出ていたとして、シュウさんがそれを把握していたとして、私たちに教えてくれるはずもない。さすがにね!

 だから、なにがどうなるかはさっぱりわからない。

 平成の終わりにどでかい事件だ。頭脳はおとな、見た目は小学生な名探偵の登場が待ち望まれる。それか、警視庁公安部特務第一課捜査官の倉木警部とか、倉木さんに執着する東さんとか? あのふたり、なんか好き。ドラマ、MOZUね。

 東さんはぶっ飛んだキャラしてるけど、演じているのがシンゴジラで矢口内閣官房副長官をやった人! キャラの落差で熱でちゃうくらい、エキサイトしていて好き。劇場版とかたまんない。

 それくらいぶっ飛んだ出来事だ。

 被害者の続報はない。ビルの瓦礫から遺体が見つかったという知らせも、まだ、ない。

 調査の度合いをうかがい知ることはできない。ブルーシートで覆った現場で活動するはずの人たちがひとり、またひとり消えてしまっているからかもしれない。

 想定される可能性が多すぎるときは、どれだけ考えても特定できない。特定するための情報がなさすぎるから。調べた手がかりもないのに特定しちゃうときは、自分の内側にある偏見であることが多いから、当たっていようといまいと、いつでも変更できるくらい気軽にいたい。

 いまは?

 なーんの情報もない。

 遊園地の話題だけ。

 遊園地の情報は? 続報、なし!

 どないせえと。

 シュウさんたちも、現場で活動されてるみなさんも、同じ思いでいるだろう。

 それでもやらなきゃはじまらないから、動く。

 私が私をやめない限り、黒いのが関わって長い歴史に生じた文脈に影響を受けただれかに私は関わらざるを得ない部分がある。

 それはそれで依存の糸なのかもしれないね。

 ほのかでささやかな繋がりは、ある。知らずとも、気づかずとも。

 中には今回みたいな一件さえ含まれてしまうのではないか。

 危惧はする。

 それでもやらなきゃはじまらないので、動くのだ。

 思ったよりも時間がかかったけど、指定された場所にたどりついた。

 通行禁止だと交通誘導を行なっている人たちに事情を話して、中に入れてもらう。人だかりができていて通り抜けるのに苦労した。たくさんの車両が止まっているところにカナタがバイクを移動させる間に、私は案内してもらってシュウさんの元へ。

 ビルが遠くに見える位置に一台のセダンが停まっていて、シュウさんとふたりの警察官が見えたの。背広組に見えたけど、ふたりとも見覚えがあった。特にひとりは柊さんのお姉さんで、ぱっと思い出せた。ただ、侍隊の姿は見当たらない。


「やあ」


 私に気づいてあいさつしてくれたんだけど、事態に対して軽すぎる。

 仮設でテントを立てていたり、瓦礫を収容するトラックがいたり。

 物々しい雰囲気の割りに見当たらない。人が思ったよりも少ないんだ。

 崩落現場が見える。そのそばに人が一切見当たらない。

 みんなあえて距離を取っているような気がする。

 崩壊現場を眺める警察の人たち、とりわけ集団がちらちらと視線を向ける先でスマホで連絡を取っている背広のおじさんが「ですから現場は危険で」と疲れた声で説明を繰り返していた。

 彼らはビルの残骸に近づかない。


「あのう。いちおう来たんですけど、私たちにできることってあるんです?」

「それを話すうえで、最初に確認。獣憑きの嗅覚で、なにか匂うかな?」

「匂い――……」


 すんすんと鼻を鳴らすように息を吸う。

 舗装された道。埃。シュウさんたちの使っているソープや整髪料、柔軟剤の香料の数々。遠く離れた警官たちのも。汗、乾いて出る匂いも。自動車から漂う香りもなかなか主張が強い。発破された建材、鉄骨。たぶんビルの中にあったであろう上下水道。特に後者はきつい。

 めいっぱい深呼吸するように吸えばもっと解像度たかく嗅ぎ取れるような気がする。

 その全部をシュウさんに伝えると、腕を組み直してシュウさんがうなる。


「残骸は隔離世で、うちの隊員がばらした。証拠として採用できはしないものの、隔離世に行ける鑑識の人間を連れて現場検証もした。二度手間になるけどね」

「お、おぅ」


 そ、そっか。

 そういう裏技もありなんだ。警察なのに? 意外。


「カナタから聞いているけど、青澄くんはBONESやグレイズ・アナトミーやハンニバルを見てるんだろう?」

「――……ピンクの霧か、惨い肉か骨か、それかオブジェでもあったんです?」


 感情が泡立つ。

 堪えずにやだなあって顔に出したままで問いかけたら、シュウさんは首を横に振った。


「それがまったくだ。どの現場も綺麗なものさ。もぬけの殻」

「ストリートビューで見たビルの外観って、新しめなんです? 古め?」

「そういう調べ方もあるね! 資料を当たっているそうだけど、どこも竣工してから二十年未満くらいのビルが多いそうだ」

「はあ」


 スマホを出してアプリを起動。

 ストリートビューで崩壊した場所を表示してみると、周囲のビルとさほど変わらない建物が映っている。特に看板らしきものは見当たらない。一階の硝子の自動ドアを抜けた先に、何階にどんな借主がいるのか示すプレートがあるのかもしれない。


「二千年の竣工というと、千駄ヶ谷に建ってい、ほら。君の名はでも印象的に映るビルなんかも建った時代だそうだ」


 へええ。

 君の名はだけじゃなくて、言の葉の庭とか、秒速5センチメートルとかでも出てきそう。

 ただし私はビルについての知識がろくにない。

 窓枠だの建材だの、あとは工法だの? 技術のみならず、きっと旬もありそうだ。

 ビルだと高層建築になるほど免震、耐震の話題も出そう。日本なら。

 地震のすくない、あるいはめったにない国だと? ぜんぜんちがうよね。

 国内にしたって、沖縄と北海道とじゃちがうんじゃない?

 気温と湿度は大きなテーマでは。

 下手をすると関東の住宅で過ごす冬は、北海道よりも断然さむいかもしれない。

 逆にいえば、同じ地域でってなると?

 目立つんだい! とか、デザイン性を重視して、とかなければ、大体は決まり切った枠組みに収まりそうだ。

 素人目にはストリートビューの画像のまま、いまも無事に建っているビルといっしょ。特に違和感はない。拡大してみても、アングルを変えてみてもいっしょ。

 専門家を呼んでこなきゃわからないレベルなのでは?


「発破の計算って、ビルの設計図と、実際に施工した業者さんの話とを踏まえたうえで、爆破にくわしい人に尋ねる形なんです?」

「そういうのは別でやっているよ。キミに来てもらった理由はね」


 シュウさんが私から視線をちらっと外した。

 遠くを見るから、たどってみると? バイクを停めようとしているのに、警察官のみなさんに笑顔で話しかけられて捕まっているカナタを見ていた。


「青澄くん」


 なんでだろうなあ。

 いやな予感がするんだ!

 シュウさんに呼び出されてついていって、一対一になって、いままでなにがあった?

 一回目、ヒノカちゃんの御霊を押し込まれた。

 二回目、京都観光のはずが隔離世に飛ばされて妖怪たちから逃げる羽目になった。

 そして、これが三回目。


「あああああ、あの!? 私ですね、ぷちたちが大事でっ」


 二度あることは三度ある?

 恐る恐るふり返ってみたら、おとながにこにこ笑顔でした。


「キミだけだろう? 謝肉祭遊園地が秘宝だとして、キミだけ妙に敵視されてるからさ」

「おぅっ!?」


 肩にぽんと手を置かれた。

 あああ……っ!


「おびき寄せてもらえないかな」


 やっぱり三度目があった!

 久々にやられた!

 身体から魂が引きはがされるような感覚。

 隔離世に飛ばされてしまった。

 めまいとともに瞬きをする。すこしよろめいた私の背中を、だれかが受けとめた。


「もちろん私たちがサポートする」


 柊さんのお姉さんだ。長いからあねらぎさんって呼ぼう。こっそりね!

 シュウさんと話し込んでいる間に、移動していたみたいだ。

 見渡すと理華ちゃんがお世話になっていた佐藤というお兄さんも、シュウさんもいた。


「きみの身体は車の椅子に座らせておいた。すぐにカナタもくるだろう」

「……あの。カナタが離れているところでやる意味は?」

「悪役っぽくて格好よくない?」


 これくらいカナタもふざけられたらいいのに。

 あほか。

 たまに思うんだけど、シュウさんはどこまで本気か読めない人だ。


「にいさああああああああああああああん!」

「お、きたきた」


 耳まで真っ赤になって、カナタが車のそばからあらわれた!

 なんとかバイクを置いて、急いで来たんだろうなあ。


「なんっで! そういうことするのかなあ!」

「いやあ。手間取っていただろう? バイクについて弄られてのかな?」

「どうでもいいだろ! 焦るからやめてくれよ!? なにより春灯に無茶するなって!」

「よしよし」


 食ってかかろうとしたカナタの手首を掴んで、ぐるんと回して関節を決める。

 実に手慣れたケンカの終わらせ方だった。


「いたたたたたた!」


 急いで「参りました!」って言ってる。

 シュウさんを相手にすると、カナタは毎回やられがち。

 でもしょうがない。ぷりぷりすると冷静じゃいられないからなあ。

 すぐにカナタを解放すると、シュウさんはどこかを見た。

 あねらぎさんも、佐藤さんも続く。

 私は腕をさするカナタのそばにくっついて、ふたりで見た。

 たくさんの霊子体が見える。事件現場を見に来た人たちだ。

 なんとなく、道路の反対側も見た。やはり同じだ。そちらにも見物に集まる霊子体が群がっている。


「邪がね。いないんだ」

「不自然なくらい」


 シュウさんとあねらぎさんの声はどちらも警戒していた。


「カナタ。離れていても話は聞こえたろ?」

「春灯におびき寄せさせようなんて、俺は反対だ」

「山吹くんや天使くんたちが来るはずだから、それを待てと言いたいのだろうが、まあ聞け」


 たしかにまだ合流できていないけど。

 それでもここまでするってことは、シュウさんはなにかを急いでいるのかな。


「それより霊子の流れを探ってみろ」


 シュウさんの命令形にカナタが露骨にむっとする。

 そういうのがきらいなんだって身体にぐっと力が入っているけど、でもすぐに顔つきが変わった。


「ビルに吸いこまれてる」

「サザエさんのエンディングのおうちみたいに?」

「「「 …… 」」」


 カナタだけじゃなくて、おとな三人までもが私に向かってなにか言いたそうな顔をするの。


「ま、まあ、そうだ」

「いや。決してあの作品の、日曜日夕方のエンディングとは一切なんの関係もないけど、でも、霊子が吸われる仕組みは人が消えてしまうことと関係があるんじゃないかって」


 あねらぎさんのほうがシュウさんよりも復活が早かったね!

 実際、私が思いつきで重ねただけだ。

 人が消える理由って、なんだろう。

 霊子を吸う理由って、なんなんだろう。


「おなかすいてるんじゃない?」

「それか、みんなにいっしょにいてもらいたいとか?」

「寒いのかも?」

「相談に乗ってほしいとか?」


 おっと!

 尻尾からぷちたちが次々に声を上げる。

 その推測は私もカナタにも思いつかなかった。

 意外や意外、シュウさんたちも面食らった顔でいる。

 きっとなんの下準備もなしに勉強もせずにいたら「いまは静かにしててね?」って言う。危ないから尻尾の中にいてね、というのなら? それはいまでも言うべきことだけど!


「ママだけ襲われたんだけど、それはなんでかな?」

「「「 知らない! 」」」


 ですよね!


「さがしてるんじゃないの?」

「あー。そんな感じする」

「ぷちたちくらい多いかも?」

「んーでもなんか足りない感じしない?」


 いやいや。え。待って?


「みんな、なんでそう思うの?」

「「「 聞こえるよ? 」」」

「なんかねー」

「感じるよねー」


 思いがけずカナタやシュウさんたちと顔を見あわせた。

 そこで佐藤さんがぼそっと呟く。


「ちびっこにしか感じ取れないなにかがあるっていうのが、俺のガキの頃のアニメのセオリーだったけどな。ここでもそうなのか?」


 って。

 え。そういうことなの?


「ママになら聞こえるはずじゃない?」

「御珠がくちゃいくちゃいだからだめなんじゃない?」

「あー。それあるかも」

「いやいや。ぷちたちがいてよかったってことなのでは?」

「「「 おおっ!? 」」」

「それはもしや!?」

「「「 ごほうびをもらえることをしているのでは!? 」」」


 みんなが瞳をきらきら輝かせながら私に熱い視線を送ってくる。

 待て待て。ね? 待てよお。

 おねがい、待って!?


「い、いろいろ聞きたいことが――……」

「それで、みんななら、どうすればいいと思うんだい?」


 あわてる私をよそに、シュウさんがしれっと尋ねる。

 すぐにぷちたちは待ってましたと手を挙げた。


「おたすけするのがいいとおもいます!」

「みんなを返してってお願いしたらいいんじゃないかな」

「あなたのこと、ちゃんと探してるのに会う手伝いするよってつたえるとか!」

「あーでも痛くてつらいなら、むかむか気分を出し切って、すっきりしなきゃじゃない?」

「それね! それすっごいだいじだよね!」

「ママもカナタも下手っぴだもんねー」

「ぷちたちもだけどね」


 おぅ。

 ずきずき刺さるなあ!


「みんな怖い顔してたら、向こうも怖がっちゃうんじゃない?」

「あるー」

「おとなってそういうとこある」


 シュウさんもあねらぎさんも、佐藤さんさえも顔が引きつってる。


「心がくたくたになるまで怒りまくっちゃうか、身体がくたびれちゃうまで暴れまくっちゃうからしたら、おとなしくなるんじゃない?」

「それって、やっぱり疲れるし、やじゃない?」

「いえてる!」

「ママはぷちたちがそれくらい、ぷりぷりしたらどうする?」

「ぷちたちだと思って、どうするか考えて?」


 だれよりいま私が一番、引きつってる!


「お、おぅ」


 そうくる?

 ねえ。

 たしかに、ぷちたちに相談をって考えていたよ?

 でもこういう流れになるとは。

 これじゃ、ぷちたちががっつり見ている中でやらなきゃならないぞ?

 どんなにえぐいのが来ても、どんな怒りをぶつけられても、私はそれを化かして、受け流してみせなきゃならなくなったのでは?

 昔の荒ぶる人たちを思い出す。自分さえも含めて並べてみると?

 否定せずに、ターンも奪わずに、まず受けとめてほしい。願望としても欲求としても、きっと初心者の立場に立ち返ってみると、そこが最初。受けとめてほしいっていうのは、言い換えるのなら自分の話を、気持ちを伝えきりたいんじゃないかな? その経験が足りないか、まるでないか。そういう環境が思いついてしまえるのは、正直しんどい。

 けど、なるほど。

 なんとなく? わかった。

 霊子が吸われていると言っていたから、試しに金色の粒を出してみる。

 それがふわふわとビルの残骸へと向かっていくんだ。


「ママ、いまのはまずいと思うの」

「キラリちゃんたち、間に合わないかな」


 ぷちたちの顔色が変わる。


「いや。霊子が吸われる。そして遊園地を軸に考えるとき明らかに青澄くんだけ対応が異なる。となれば、ここに来た時点でいずれはこうなる」


 シュウさんがしれっと言った内容は、とても重要なことのようであり。

 来る前にメッセージで教えてくれたら、私たちはもっと準備ができたような気がしたり!

 でも、捜査状況だから迂闊に送れない気もして悩ましい。

 私は「ま、いっか」で済ませるけど、カナタはシュウさんを恨みがましい顔して見てた。

 刀を抜こうとするシュウさんを、意外にも佐藤さんが片腕で制した。


「どうした」

「俺は課長たちほどここには詳しくないが、目に見えないもんを相手にしちゃ、警戒しようにも呼びかけようにも、どうしようもないだろ? なあ、そういうのなんとかできねえのか?」


 シュウさんにでも、あねらぎさんにでもなく、私に向けて質問された。


「「「 ママ、ぬいぐるみみたいなのがいい! 」」」


 ぷちたちからすぐに催促された。

 じゃあ、まあ、ひとまずやるだけやってみるか!

 装備は一通り持ってきてある。もちろんだとも。

 ノンちゃんが作ってくれて、ノノカが調整してくれている銃とグローブだってある。

 けど、出番はまだ。

 刀といっしょで、使うかどうかの判断はあと。


「だーめ。相手次第だよ?」

「「「 おぅ…… 」」」


 両手を崩落したビルの跡地に向ける。

 漂っていた金色がゆっくりと瓦礫の山に落ちて消えた。


「いま金色が消えた場所を目標に、金色を出します。なにか繋がりを感じたら、金色を材料にして、一気に対象の転化を試みます。邪や黒い御珠のようなものだったら、戦闘になると思うので」

「邪であれば我々が出よう。邪よりも脅威であると感じたら現世に戻ったのち撤退を」

「説得を試みるんなら、邪か、邪並みの脅威じゃないものってことですね?」

「そういうことだ。質問は?」


 シュウさんと佐藤さんが私の提案に道筋をつけてくれた。

 あとはやるだけだ。


「「「 がんばれー! 」」」

「みんなは尻尾の中で応援ね?」


 ふり返って尻尾から顔を出しているぷちたちに釘を刺す。

 放っておいたら、ずっと覗き見しかねない。もしかしたら、転化に成功して出てくるなにかに向かっていくかもしれない。尻尾の中にいてくれないと安心できない。

 ことの顛末が気になって、見ている子たちが素知らぬ顔で体勢を維持しつづけるけど。


「おねがい」

「「「 見てちゃだめ? 」」」

「ごめんね。そうできたらいいんだけど、まだそこまでできないの。だから、おねがい」

「やっぱだめかー」

「なかでテレビで見よ?」

「しょうがないかー」


 渋々と尻尾の中に引っ込むんだ。

 テレビで見れるのかい! と思ったし、佐藤さんもあねらぎさんも「えええ?」と引いているけど、それでも気を取り直してぇ!


「カウントみっつでいきます。さん、にい、いち」


 一気にどかんとぶちかませ。




 つづく!

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