表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その刀を下ろして、帯刀男子さま!  作者: 月見七春
第九十九章 おはように撃たれて眠れ!
1788/2984

第千七百八十八話

 



 問題をだします。

 回答における条件を記述します。

 抱えている悩みは砂粒に変換されるものとします。

 抱えている時間のぶんだけ、砂粒は増えるものとします。

 それをどうしたらいいのか、悩む選択を器とします。

 悩みを解決するための行動も器とし、器と器の間で砂粒を移動することができます。

 悩みがすっきりするとき、器にたまる砂粒はガラスに加工されるものとします。ガラスになったものは器から取り除いて結構ですが、もしも悩みが再燃したとき、ガラスは砂に戻り、悩みの器に戻るものとします。また、ガラス加工にかけては現実に珪砂をガラスにするほどの手間とエネルギーが必要なものとします。

 さて、ここで問題です。

 あなたは小さなこどもと一緒に暮らさなければならなくなりました。こどもの成長を見守り、社会的に保証する必要があります。悩みは尽きません。

 では、あなたは次々と沸いてでてくるありとあらゆる悩みに対して、どのように対応しますか?


「ううん」


 ぷちたちの着替えを手伝い、学校は昨夜の謝肉祭遊園地の件で揉めに揉めていて、私の受け入れどころじゃない。今日はおとなしくうちに帰ったほうがよさそう。

 でも、せっかく宝島に来たんだから、ぷちたちと歩き回りたい。カナタたちが学校だとして、私はお休み継続中なのだし。状況が状況だから、甘んじて受け入れる。

 みんなと島を歩く。縁日のように出店が並ぶ大通りを進むと、しょっちゅう声を掛けられては、商売っ気をだされたり、単純にぷちたちを愛でられたり。見知った顔が回を重ねるごとに増えてきていて、安心して見ていられる機会も増えてきた。

 おかげで現世で散歩するより、よほど気が楽。

 なので考える。

 いまの自分では処理しきれない、重たくて膨大な砂の悩み。

 調べて、これでどうにかできないかという概念に、すべての砂をまるごとごそっと移す。それはかなり無茶な切りかえ方。

 依存先を求めているけど、移す元と先の器は常に一対一。

 ジョン・ウィックという映画では、マフィアのトップの息子がチンピラで、引退した元暗殺者の車を盗むために家に押しかけて暴行を働き、ついでに犬を殺した。元暗殺者は伝説の凄腕で、大金を稼ぎ、裏の世界で恐れられていた。そんな彼が人生を切りかえ、愛して、すべてを捧げた奥さんがいた。病に倒れ、亡くなった彼女がジョンに遺したものが、犬だった。

 ジョンにとっては奥さんの、そして平穏で安らかな時間のすべてが、犬だった。それが、無惨にも殺されたのだ。ジョンは徹底的に、とことん、仕返しをした。そういう映画だ。

 リブート版のタクシーは、運び屋をする凄腕ドライバーの主人公と、元秘密工作員のパパが大活躍する。彼らはジョンほど幸せの依存先が限定されていない。だから仕事を完遂するし、生き様を貫く。

 けど、ジョンはちがう。ひどく孤独で、愛する妻を失ったばかり。彼にとっての愛と幸せは、奥さんが遺した犬だったんだ。それを無惨に殺されたのだから、ジョンにとっては魂にクソをされたようなもの。許せるはずがない。徹底的にだ。やるのなら、徹底的に潰す。

 それくらい、依存先、器の数が少ないほど、人は過剰に陥る。

 愛の労働あるいは依存とケアの正義論にみる、人が経る依存の過程。

 幼い頃の私や、いまのぷちたちは一方的な依存を求める。おばあちゃんがさらに年を重ねたとき、あるいは私やぷちたちがやがてそういう年齢になったときもまた、一方的な依存を求めるようになる。

 赤ちゃんの頃は、悩みが生じたとき、それらの砂は「泣く」という器に移される。そうして養育者が駆けつけて、器の砂がいったいどういう訴えなのかを探り、見つけ出して、対応する。

 おしっこかうんちをしたのか。お腹がすいたのか。成長痛で身体が痛むのか。外から差し込む光がまぶしいのか。なんか暑いか寒いのか。布団の感触が気に入らないのか。抱っこが足りてないのか。わくわくする音が聞きたいのか。

 そういう段階から、赤ちゃんは成長していく。ぷちたちくらいの年になっていれば、じゃあ、悩みが生じたとき、どうするのか。ことばにして、私に伝えられるのか。そもそも私に愛されてないと感じて悩みを伝えようと思えないとかね? 関係性の問題があると、幼少期に重ねる無理はひどく長いときをかけて人生に影響を及ぼす。いわばアダルトチルドレンの話題に向かっていくのかな。

 でね?

 悩みの砂を、どのようにして対処するのか。

 さもガラスに加工して、自分から離すことがいいかのように書いたけどさ。

 本当にそうなのかな?

 わからないまま、急いで器から器へ移しても、悩みは解決されない限り、砂が増えていく。

 悩みの器は悩みを抱えているかぎり、無限に砂を吐きだす。せっせと捨てても自分という大地に散らしていたんじゃ、さして意味はない。

 沈没する船で、穴から流れこんでくる水を必死になって捨てているようなノリ。どう足掻いても結末は沈没。そういう危機感で行動すると、器を移す行動の必死さ、切実さ、執着はすごく強いものになる。

 シンデレラなら、王子さまに壮絶な圧をかけるみたいなもの。お前が! 私を! 娶らないと、私は地獄に堕ちるんだよぉ! みたいな必死なノリ。そこまでいくともはやシンデレラじゃなくて、むしろ継母や継母の娘たちと同じまである。

 自分の人生と過去のつらさ、報われなかったこと、叶えられなかったことのすべての依存先に王子さまを据える。人生分だけ蓄積した大量の砂を、王子さまに「お前がどうにかするんだぞ?」と流し込む。

 王子さまにとってはどうだろう。

 シンデレラにとっては、どうなんだろう。

 人によっては、アディクションにさえなるかも。もしも砂を移さずにいられず、そのせいでふたりの関係がまずくなったとして、それがどこかで「あ、ちがうかも?」と思っても、これまでの人生の痛さやしんどさの蓄積があまりにつらすぎて、痛すぎるから、やめられない。

 ずーっとずーっと、王子さまに砂を送りつづける。砂かけばばあも真っ青な勢いで。

 別にシンデレラに限らない。男女逆の立場にしたとして、ざらにあること。ありすぎるくらい、当たり前にありふれていること。

 対人の話題はいったんさておき。

 私はいま、最近得た知識の器に膨大な砂をばーっとかけて、器がいまにも割れそうになってる。解決法はこれでは? と思いついたら、そのひとつに一気に流し込むの。これで解決できるんじゃない!? って。

 根本的にそういう思考から離れられなくて、ネガティヴ・ケイパビリティを意識したとして切りかえられなくて、いま。

 しみじみ思うのはさ。

 依存先は増やす。分散する。そうしてなんぼのものだ。

 少ないほど、圧が強くなる。替えが効かなくて、必死になる。無茶をせずにはいられないくらい、追いつめられていく。

 増やして、広げて、分散させて、自分にできること、できないことの整理をつける。できることを増やして、できないことがなにか知っている数もまた増やしていく。その中に、世界にある依存先と繋がれば解決するたぐいのことを知っていく。

 二十四時間やってて食べものからなにから買えるコンビニの便利さや、事件に遭遇したら通報して駆けつけてくれる警察や、ひどい怪我を負ったり身動きが取れない病のつらさに通報したら駆けつけてくれる救急車のこととかね。他にも社会保障のあれこれや、仕事をするうえで相談できる人たちのこと。

 言いだしたらきりがないけどさ。

 増やしていく。分散していく。

 私の過去の痛みも。さみしさも。ひとりぼっちだったとき、したかったことさえも。

 たぶんね?

 最初も、きつくなるときも、一方的になっていく。

 元気なとき、行動力があるとき、余裕があるとき、お金があるとき、相互性のある依存先が増えていく。

 だけど器がいっぱいだと?

 結局、できることはそんなに多くないままだ。

 私を救って、俺をどうにかしてよ、と。器からあふれた砂を注ぐ。

 なんの加工もされていない砂もあれば、怒りや悲しみ、他にもある感情で変化した砂もあるだろう。

 病院は患者を治すもの。だから治せなきゃだめ、きちんとできない病院ほんとだめ! ってぷりぷりしたレビューをしている人、病院の評判を探せばけっこういる。

 日本だと政治家なんかも、いい例だし? そう扱われる物事って意外なほどたくさんある。

 喧嘩両成敗だの、どっちかが絶対的にだめだの、そういう話はさておいて。

 さておくんだよ?

 いい?

 それについて、どう思っているのかな。どう感じたのかな?

 だれかになんとかしてよと強く求めるとき、それまでずっと求めてきていなかったかな。求めて、叶わなかった砂がいっぱい器にたまっていないかな。

 意図せず砂をばしゃーって浴びせちゃうとき、実はずっと求めていた気持ちがなかったかな。自分さえ気づけずにいる、心の脆くて敏感なところに根づいているなにかがないかな。

 根深いぞー? けっこう。

 年を重ねて砂はなくなりそうな気がするけど、そんなこともないぞー?

 ただね? 出会い、縁に救われること、めっちゃあるぞー?

 もちろん、ものによっては当然、より深刻化することもある。

 けっこう危うい。

 すべての解決、すべての補佐をカナタに求めて、カナタもそれを私に求めたら? えぐいことになる。すべては象徴的なこれのせい、という依存は怖い。すべてをこれによって麻痺させる、という依存もなかなかに恐ろしい。

 実態はどうでもよくなる――……ように見えて、それどころじゃなくなる。とにかく生きるため、居るため、活動するために必要になっていくのだから。すると? 根はどんどん深くに食い込んでいく。その間もずっと砂はたまり続ける。

 それは、けど、私が切り離してざつぅに言ってる話。

 主観的にはたぶん、気づけない。当たり前の思考の流れとして、同化してる。

 だから砂の移動は乱暴になる。

 もしかするとネガティヴ・ケイパビリティって、砂を加工して切り離すんじゃなくて、器をたくさん増やして、砂を分散させて、接することのできる状態を探っていく。砂の根源がなんなのかを調べるための動きなのかな?

 そういう形で結論を急がず、なにがあってもブレず、焦れることなく付き合えたら、どうかな。

 継続的に知り続けていく。

 そのためには、なにが必要かな?

 そうやって、たくさんの砂を乗せた器を電車にして、走らせていてさ? 解決路線から、ネガティヴ・ケイパビリティ路線に切りかえようとしてる。重たい荷物を積んだ、長い長い電車はけっこうな速度が出ていて、急には止まれない。

 恋愛にもそういう側面がある。

 もしかすると、性体験にさえ。

 昭和はいまより圧が強かったというし、昔にさかのぼれば言わずもがな。将軍家に嫁いだ女性たちも大変だったろうし? 妊娠と出産、闇は深い。江戸時代でお世話になった将軍さまの人生に思うところがないわけでもなし。

 とても根深い話。

 学校もそうかもなー。進学、就職。

 これが達成されれば。

 宗矩さんが記したこと。和尚さんに叱られたこと。十兵衞の半生、もろもろ。

 ふり返らずにはいられないや。

 愛されれば。

 ただそれだけで、すべてが報われると思った――……なんて、恋愛映画の宣伝で聞きそうなコピーだ。

 王子さまが、お姫さまが、こうしてくれさえすれば。

 あの人が首を縦に振れば。自分の願いを聞き入れてくれさえすれば。

 そうして執着が増していく。次々と。

 執着は目を曇らせるなあ。かっかとするほど、レンズが曇っていく。

 怨みも増すぞー? 過剰にもなるぞー?

 苛立つほどにね。うまく回らないほどにね。

 器を増やして分散なんかしていられない。とにかく砂を捨てることに向かっていく。だれかにお見舞いしようと必死になるかも。躍起になって、声を大にして大騒ぎするかも。

 そうせずにはいられないくらい、切羽詰まっていってしまう。

 いい悪いの話じゃなくてね?

 追いつめられていっちゃう。

 そりゃあ、しんどいよなあ。

 ましてや、ぷちたちと砂遊びさえできないぞ?


「そっか」


 別に砂遊びしたっていいんだよね。

 山を作って、一緒に眺めてみたっていい。

 お母さんもお父さんも、相談したら話を聞いてくれたし、一緒に悩んでさえくれた。

 ノンちゃんが教えてくれたように、他のことをやってみて、気分転換をしたり、なにかできるようになってみると? 意外となんとかなったもんだった。

 逆にいま、私が必死に解決を目指すこの圧の正体はなんだ。

 終わりにしたい、せずにはいられない、この慣性の正体は?

 新たなに学んだなにかの器に、いままでのすべてを「そいやっ!」と注ぎ込むのは、なし!

 器を増やして、砂を分けて。なんなら、砂遊びをするための器としてみるくらいがいい。自分のつらさを解決するための器じゃなくってね。

 そうと決まれば、公園でも行ってみるかな。

 橋本さんから、いずれ連絡もくるだろう。

 えぐい状況になるほど、打てる手は限られていく。アマテラスさまと見た映画のおっちゃん刑事みたいに、荒っぽいことしてでも場を収めなきゃいけないかも。

 私はその器さえ、どう扱っていいのかわからないでいる。砂がそっちにどどどっと向かって、たいへんなことになるんじゃないかって。なんかね? 怖くなるんだよね。たまに。

 無邪気でいられなくなったからさ。

 怖くなっちゃった。

 学校内の特訓とか授業とか、そういう枠組みをとうに外れている。

 私、どこまでできるかな?

 覚悟?

 ないよ。

 ずっと。

 ないない!

 おばかなアクション映画のノリならいい。

 けど、プライベートライアンのノルマンディ上陸作戦みたいなのは断固拒否! ぜったい無理! なんなら死ぬか怯えて動けなくなる。それが目に見えている。

 有り体に言って、無理。

 でも、そういう状況が予期される。というか、きつい場面を体験してきている。

 小学校は、本当に、最悪だったんだ。

 きらいなんだよね。

 あらゆる暴力。

 だけど、そうも言ってらんないんだよね。

 あーあ。

 おじさんは街のこどもに、部下に、馴染みのお店の女の子たちを相手に、自分の楽な依存先として繋がっていて、大事にしていた。まあ、女の子に関しては遊んでエッチできればいっかなーくらいの印象しかないけど。

 いきものに触れて、鼓動を聞いて、感触を大事にしないと忘れちゃうことってあるよなあ。人じゃなくてもいい。犬でも、猫でも、他のいきものでも。そういう文脈ね?

 必要だなー。

 映画やアニメで見る新兵か。

 おっちゃんはさ? 線引きをしていた。なにを、どこまでするか。それはなぜ必要か。

 それは周囲の人たちにとってどうかは別。実際、おっちゃんに無理矢理、握手させられた悪党ふたりは毒づいていた。そりゃあそう。対立する地元の悪党を率いているふたりが、肩を組んだ写真を撮らされたり、握手させられたり、謝罪させられたりするんだから。面子が台無しだ。

 けど、それを実行できるくらい、おっちゃんは強い。おまけに警察の人だ。しかも手段がまたえげつない。取り締まるために必要なことをするタイプだ。

 イカゲームだと? 韓国の警察は仕事熱心じゃない、みたいなセリフがあった。けど、あのおっちゃんは仕事熱心だ。悪党がえげつないだけで、ジャッキーの映画にみるコメディタッチな警察っぽさがある。ただし、どぎつい悪党相手にえげつない取り調べをするけどね。シリアス場面も多いけどね!

 実際のところはどうかって? そんなの知らないよー! 韓国映画だって韓流ドラマだって全然みたことないんだから、そこから類推するフィクションで受ける警察像さえ知らないよ? ただ徴兵制度があるから、場合によっては社会風刺を絡めた激しい事件を映画で描くことがありそうかもー? くらい?

 おっちゃんも、軍で鍛えたくちなのかな。

 線引きをした、その内側で留まるための努力だってありそうだ。

 どんなに忌避しようと逃れられない面として存在している事実も、ある。

 おっちゃんみたいにやれるかな。

 赤い私はやってた。黒い私も、白い私も。生きるために。必要に応じて。

 別に私に限らず見ればさ?

 いるよ。世の中には、ある程度、いる。

 隔離世に関わる限り、獣憑きでいる限り、御珠を心に抱く限り、離れることはない。

 じゃあ、どうするの。

 そういう悩みでもある。私の大量の砂は。

 器は増やさなきゃ、回らない。現実問題、間に合ってない。

 砂の器? なんか、そういう題の小説があったっけ。

 まぎらわしいから、別の名前がいいな。

 珪砂列車? ガラスの遊び場?

 んー。

 しっくりこない!

 強いて言えば珪砂列車がぎりぎりって感じだ。

 暴走してるニュアンスを入れるかどうかは悩ましい。電車が停車している、整備用の倉庫がなかったっけ。有名な司会者さんが長年やってる番組で取り扱っているようなさ? ああいう場所を目指す?

 列車や電車というなら、そのメンテも視野に入れるべき?

 やばい。

 勢いがまだ残ってる。

 止まっとこう。


「みんなー、いくよー」


 手を叩いて促す。抱っこーとか、出目金マシンはーとか、尻尾にのせてーとか、いろいろと要求が尽きない。あれ買ってー、もね。気を抜こうと抜くまいと勝手に欲望のままに走りだす子もいるよ? 待ってという呼びかけで止まるはずもないから、いくらでも止める。

 そのために金色を出すくらいはする。

 集めて雲にして、一緒にふわふわ飛ぶのはどうかと提案すると、元気なうちはそれぞれの言い分でいやがる。半数はね。疲れてきたら? 楽を求める。そんなもん? そうでもない。有り余っている元気で走りたい子もいる。いろいろだ。

 みんな好きにしゃべる。それぞれを漏れなく聞くことはできない。なので「ねえ聞いて!?」と揺さぶられることもしょっちゅう。続けば麻痺して雑になる。どんなにがんばっても、エネルギーは無限じゃない。だから、なるべく丁寧に粘る。

 朝には既に噂が流れていた。

 大勢が集まる謎の門。先にある、一寸先も見えない闇の広間。あるいは迷宮か。

 マドカが話してた。黒輪廻の倉庫から失われた秘宝。

 ジョーンズ博士が大活躍しそうだね?

 もしも秘宝と、今回の遊園地騒動のような事件が絡んでいたら? 進行中のできごとは、ろくでもないことになりそう。それをマドカは危惧してる。

 さすがになんでも結びつけすぎはどうかと思う。けど遊園地は聞けば聞くほど奇妙さに満ちている。そして私はどうやら、首を突っ込みたくなっている。


「ねえごはんー!」

「あっちから甘い匂いがするであります!」

「しょっぺえしょっぺえジャガバターが恋しいんじゃあ!」


 はいはいと流す。

 だめ。一度OKを出したら、きりがないんだから。

 お昼を食べられないくらい、がつがつ食べるのちゃんと知ってるからね?

 ぜったいだめ!

 やだやだほしい、たべたいと暴れる子もいるし?

 公園はー? って聞いてくる子もいる。それより遊園地いきたいって言いだす子もいれば、早くおうちに帰ってアニメみたい、ゲームやりたいっていう子もいる。

 あっはっはー。

 まとまり?

 そんなもんはねえ!

 で? 忙しさが生まれるってわけ。

 今日も今日とてぷちたちと愉快に過ごすしかないってわけ!

 もしも件の遊園地が愉快な場所なら? あるいは、ファリンちゃんと協力して転化したら、宝島に引っ張り込める愉快な場所に変えられたら?

 便利じゃない? それって。

 これはでかい!

 むしろ黒輪廻のものだったら?

 私たちに回収の義務があるのでは?


「ねえ、ママ、どうしたの?」

「なんか悪い顔してるよ?」

「あっはっは!」


 やっだなあ!

 これはね。獲物を狙う顔っていうんだよ?

 被害は食い止め! 事態を収拾し! 私たちは遊園地を得る!

 これでいこう! よし、決定!

 気持ちの置き所という器があるだけで、だいぶ変わるぞ?




 つづく!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ