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その刀を下ろして、帯刀男子さま!  作者: 月見七春
第九十九章 おはように撃たれて眠れ!
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第千七百三十三話

 



 問題の、先送り。

 手段のひとつ。

 でも、これが当たり前になると困る。

 先送りされただけで、問題は残っている。なので、やっぱりいずれ問題が再燃する。

 その問題、再燃したら先送りと自己責任トークになりがち。そしてとうとう「それって、問題ありますよね」と指摘しては、よくぞ言ったみたいな空気になることもある。

 だけどやっぱり問題は問題としてあって、それはいまの例のどちらも解決アプローチじゃない。

 繰り返すけど、先送りは手段。

 現実的にいまの自分は手いっぱいで動けない、考えられない、だからできないので、いったん待って! とする選択は、手段。

 なので先送りを手段として選ぶとき、解決するためなら? なにを先送りにしているのか、リストが欲しい。人によっては先送り事項がやまほどある。

 先送りにしたから問題の難易度が下がる、とは限らない。なのでやっぱり、問題解決に必要なことは変わらず存在している。先送りは解決コストを下げるための手段じゃない。保留だ。しかも一時停止じゃない。

 火災が発生した。ひとりでは消せないくらいの勢いだ。まずは命の確保。逃げなければ。消すのは保留。逃げて、無事を確保してから消火について考える。消火を保留して逃げる間に火災の範囲は広がり、熱は増して、いろんなものごとに与える影響力が強まっている。半径百メートルほどの火災が、逃げ延びた頃には何倍にも広がっているかも。必要なお水ないし消火剤は増える。必要とする人手も。機材だって。

 なので実は保留する際に、問題が与えるダメージをコントロールできる術があるなら、あるに越したことはない。

 データを計測して、一定の値に到達しそうになったら? 保留を解除して、なによりも優先して解決にあたるから、よく見ておいて! と、だれかに頼む。

 けど、ここでも注意するべき点がある。

 データを計測する、イコール、それで問題の対策をした気になってしまい、実際には手つかずのまま放置してしまうケースが起こりえる。計測するよう頼んだ人が、問題が大きくなった場合のダメージをしっかり把握しているかどうか。これもわからない。

 そもそも人がすることだ。失敗する可能性が常にあるのだから、二重三重どころか、何重にも担保が欲しい。

 もちろん多層の担保なんていちいち用意していられないし、なにをするにも求める労力が増えすぎてしまって身動きが取れなくなってしまうから? 集合知に頼る。大勢が検証し、運用している実績に頼る。

 ここで実績が一人歩きしたり、実績をでっちあげたり、たとえあっても手抜きをしたりして、担保の強度が下がることなんていくらでも起こりえるから、注意は欠かせない。

 このへんは闇深い具体例がやまほどありそう。

 私だけじゃなく、みんなの中に、それぞれに。

 闇深トーク。だれも得しない気がするな! お酒のんだ大人は、そういう話をするのかな?

 どうなんだろうね?

 なぞ!

 いずれにせよ、頼るし、それも失敗する! こともある! それも経験にしてく! けど、できなくて、心が折れてそのままってことも生きていくと増えていく!

 みたいなことなのかなー? なんてことを思う私なのですが。

 いずれにせよ問題の先送りって繊細な扱いを求める手段な気がするのね?

 で、なんで繊細な扱いかっていったら、問題によって生じる影響をコントロールできるとは限らないから。

 じゃあ逆にさ?

 だいたい、これくらいの範囲でダメージが収まるかなーって見込めるなら、先送りも有効に使えそうじゃない?

 どうかな。

 高城さんに教えてもらったんだけどさ? 新人教育の段階で任せる仕事って、その人がしくじってもカバーしきれる範囲内にするんだって。

 考えてみたら、当たり前の話だ。

 新人の頃って右も左もわからないもんね。

 経験者だからって大丈夫とは限らないし。

 仮に同じ業界でも、ちがう会社っていうだけで、経験者“なのに”わからないことがあるし? 経験者“だから”できるだろうと見なして、見逃しがち。おまけに経験者“なのに”できないとき、だれもが同じ対応力を発揮できるとも限らない。現場の人が対応できるとも限らない。

 ひとりと周囲が仕事を通じて握手できるか、そのまま繋いで動けるか、手を離して距離をおけたとしてどれくらいの時間、どれくらいの距離感なのかって問題があるじゃない?

 その程度を推し量るために、どんな人が入ってきても、担当が変わっても、試行錯誤タイムを設ける――……なんてさ。

 できればいいなー。

 だけど、どの会社もできるの? って話でもある。

 昔さー?

 人は手洗いだの、洗濯板を使っての、洗い物をしてたじゃない? 衛生面の話でもあるけど、同時に技術も絡む話。洗濯屋さんのプロはがんこな染みも落とせる幅が広い! やり方がいろいろあるみたい。

 それは洗う側の話でさ?

 汚す側にしてみたら、どう?

 白とか、汚れが目立つ色の服を着ているときほど、シミが目立ちやすい食べものたべて「あー」ってなりません? 私には覚えがある! カレーとか! パスタとか! 担々麺とか!

 あとは、ふとした拍子に箸から落としちゃって汚れたり。

 運動部なら、地面に倒れたり、滑り込んだりして、泥汚れ! それくらい激しく動けば靴も汚れそう! おまけに、おとなしく過ごしているよりも早く傷みそう。じゃない?

 他にもね?

 お米にしたって、そう。炊飯器なんかない。釜で炊く。炊飯はけっこうたいへん。「この世界の片隅に」の作中で、すずさんと結婚する周作さんのお姉さんがお米たくとあんまりなーみたいなことを言っていた。

 お水べっちゃり炊きあがりと、お米がちがち炊きあがりのリカバリー調理術! 思い浮かばない? べっちゃりは時間を置くか、炒めるとか? わからん! 私の熟練度はまだまだあさあさなので、がちがち炊きあがりのほうが浮かぶかな! ピラフにしたり、パエリアにしたりするの。

 いろんな段階、いろんな立場があって、それをどうするかにも? やりようがある。それを自分ないし周囲が獲得しているかどうかは、別として!

 得手不得手がある。

 テレビで見かけたけど、レジ打ちって新人さんは手間取っちゃうじゃない? スーパーで明らかに消化が早い列と、そうでない列とを見比べてみると、見慣れた人と、いかにも慣れてない感じの人がやってる。手元を見ると、慣れてる人はバーコードの位置をだいたい把握しているか、見当をつけるまでの時間が短いから、早い。慣れていない人は、まず探すのに手間取る。

 だれでもおいしくご飯が炊ける。だれでも手軽に洗濯できて、汚れも落ちる。そう、炊飯器や洗濯機があればね? ほかにも無洗米~とか、洗剤~とか、いろいろ出てくる。

 そのいずれもすべてがすげーって、調べもせずに結論は出せないけれど。むしろ調べてすげーってなれるほうが、気持ち的に楽しそうだなーって思うんだけど? ついでに学べて一石二鳥な気がするけれど!

 人によって結果が変わる状態から、どんな人でも一定の結果が出せる状態に移行できると?

 余裕が増える。

 職場でいえば、それはノウハウだったり、環境だったり、研修だったりするのかな?

 ううん! どうだろ!

 人から問題を切り離していけばいくほど、人によって生じる失敗は減らせそう。

 それは手段。なので万能ではない。完璧でもない。

 電子レンジで過去に起きた事件はどれくらいある? 説明書を添えて「ぜったいに読んで!」とお願いしても、届かない。結局、便利な技術を用意しても、それを使うのは人なのだ。なので、人によって生じる可能性はゼロにはならない。

 むしろ技術はプラスだし、盤石ではない。

 どこまでも追求する余地がある。プラスにはね。

 手段においても、そう。

 どこまでも追求する余地がある。

 なので、問題の先送りだって、そう。

 余裕がなかったり、雑な先送りは? あとで気づいた問題が、最初に把握している問題よりも、どえらい規模で、取り返しのつかない状態に育ってしまっているかもしれない。問題は他の問題に波及したり、生じたりする。

 とすると?

 ほんとのところ、寝た子を起こすなっていうのは「さあ! 問題よ、大きく育て!」と栄養剤を与えて放置するようなものじゃないかな?

 待って!?

 念のため、調べておきたいぞ? 寝た子を起こすの意味! 大辞林いわく、


『(寝ている子供を起こしてむずからせるように)一応おさまっている物事をことさら騒ぎたてて、またもつれさせる』


 ついでに先送りはというと?


『その時点で判断や処理をしないで、先に延ばすこと』


 なんか契約したり、大事な決断をするときに有効そうだね?

 お金がかかることでもそう。

 じゃあさ。

 ひさびさに、新明解の国語辞典だとどうなってるかな?

 まずは寝た子を起こすから。


『①すでに治まっている問題を、何かのきっかけを与えて、不必要に再燃させる。②忘れかけている(思い出してもらいたくない)事柄を、不必要に思い出させるような事をする』


 相変わらず切れ味するどい! あと手段として意図的に選択するよりも、されたときに言葉を使うときだと、個人的にはこっちの意味のイメージが強いかも。

 つぎ! 先送りは?


『本来その時点でするほうが好ましい問題の解決・処理を先に延ばすこと』


 やっぱり切れ味があるなあ!

 個人的にはめちゃめちゃ面白いね! このちがい!

 はーっ、好き。

 ニュース、というよりワイドショーだの、ネットの呟きアプリだので時事ネタについて語られる先送りは、新明解国語辞典の意味が近く感じるなあ。

 主体と対象によって、同じ言葉でも、その意味が変わる。あるいは、捉え方が変化する。そこが言葉の面白いところ。私たち、言葉を用いて概念をやりとりしてるところがある。

 ギャップはカタカナ語で、より増す。

 アップデートする。

 よくいうじゃない? 私の言い方でいえば、先へ。次へ。そのあたり。

 だけど具体的じゃないよね。ちっともさ。

 価値観をアップデートするっていう言い回しを、最近はよく耳にする。でもね? そもそも、アップデートってなにさ。

 新明解国語辞典だと?


『[コンピューターで]プログラムやデータを最新にすること』


 大辞林だと?


『コンピューターで、ファイルに記録されているデータを新しい内容に変えること。更新』


 スマホ、パソコンのOS。スマホのゲーム。ネットに繋がるようになって、コンシューマーのゲームも。アプリもそうだよね。ぷろぐらむー。

 新明解だと最新としていて、大辞林だと新しい内容に変える、更新としている。

 じゃあさ。

 それって、だれがどう決めてるの?

 内容を最新ないし、新しい内容に変える、更新する。そのとき、たとえば内容はどう新しくなるの? 最新って、どういうこと?

 バラエティだと、超絶ベテラン大師匠MCおじさんが、いまどきのネタについていけてなくて「おっくれってるぅ~」と弄られがち。逆にそれを逆手にとって「知ってますぅ~」と歌とかネタとかお披露目して、ぱっと盛りあがったりしてね?

 この場合、後者が必ずアップデートになるの?

 そんなイメージあるけど、実際はちがう。

 シオリ先輩に教えてもらったことだけど、たとえばゲームだと、ゲームのバランス調整ってすごく繊細でむずかしい部分みたい。なので、後出しで弱めたり、難易度を簡単にしたりすることがあるんだって。メーカーさんによっては、逆にえらく難しくしちゃったり! 尖った変更を加えたりするみたい。誤字脱字の修正もあるそうだよ?

 実をいうと、最新とか、新しいっていうのはさ?

 アップデートすると、バージョンが変わる。バージョンが前のより新しく、最新になりましたーっ! くらいの意味だ。

 あくまでも。内容は別。

 おまけにいえば、プログラムなら? 人が作ってる。いまのところ、まだ、人工知能がひとりでにプログラムを作って、せっせと人々に配布してる時代はこない。その気配はない。海外のゲームスタジオさんだと、プレイヤーがフィールドを移動するのに応じて、軽く遊べるイベントを自動で生成する仕組みを作っているそう。これもシオリ先輩に教えてもらったこと。もうあるのかな? どうだろ。いずれにせよ、すっげ!

 ただ、そのプログラムにしたって、結局やっぱり、人が作ってる。

 だとしたら、その内容は人が作るのだから、そこには意図がある。やらかしちまった可能性も、常にゼロにはならない。そこに先も、次もある。いいものかどうかはさておきね!

 おまけにいうと、企業が提供するアップデートはリスクに応じて、対策も取られていそう。パソコンやスマホくらい普及しているもののOSなら、めちゃめちゃチェックされていそう。他にも銀行とか、電車とか、そういうインフラ周りのプログラムのアップデートの精査もえげつなさそう。一日止まるだけで、べらぼうな賠償金が発生しそうだから。

 だけど個人の価値観のアップデートって、要するに本人の感覚任せすぎる。具体的な指標がない。新しいかどうか、古いかどうかの二項対立みたいな見方で判断しちゃうことも含めて、雑に終わりそう。

 これってさ。けっこう、おっかない言葉の使い方だね?

 問題の先送りにしても、価値観のアップデートにしても、なんか使った気がして。じゅうぶんな気がして。そこで止まっちゃうよなー。考えるのをさ。

 うっわ。

 こわこわ。

 こわいわー。

 そういうことに気づきたいわー。

 まあ、気づけないから人は何度でもやらかすわけですが!

 なにが起きているかっていうとさ?


「――……お掃除、飽きた! 虫もうやだ!」


 なんでママがやってくれないの! と、叱られてしまいました。

 サキが雑巾を床に投げた。迫真だった。


「こんなの! したくない!」


 両手をぎゅっと握りしめて、ぶるぶると震えながら床を睨む。

 鼻水が垂れていて、顔は真っ赤で、眉間に皺が寄っていて。

 ちがうって。一大事なんだって。

 尻尾の毛が逆立っていた。めちゃめちゃに膨らんでいた。小さな小さな狐火が、サキの小さな身体のまわりにぼぼぼぼ、と、無数に浮かぶ。

 怒っている。

 私の先送りの結果だ。

 傷つけてしまった、のは。わかってたはずだ。

 たくさんの子たちがいて、みんなに満遍なく心を砕ければいい。それが実に、むずかしいっ! そんでもって「人は失敗が」っていうのは、対処しない理由にはならない。対処をするための理由になるので、ここで使うのは間違い。


「ごめん!」


 いつもよく一緒にいるユメやヒナタが驚いている、その間にお掃除道具を壁際において駆け寄る。狐火がこわい。危ない。だから、駆け寄る間に金色をやまほどだして、サキの狐火ぜんぶくるんでしまう。


「ごめんね、サキは虫さん、やだったね。ずっと、ほったらかしにしちゃって、ごめんね」


 抱き締めたいし、抱き上げたいし、なだめたいし、落ちついてほしいし。

 そういう気持ちを出すべきかどうか悩んでしまう。

 なので、それも先送り。

 サキの前に膝をついて、目を見る。見つめる。

 触れていいのか、確かめるように両手を伸ばすとね?


「だいきらい!」

「ぐふっ」


 鳩尾に頭突きをされました。抉るような、それはそれは見事な一撃でした。

 ぎゅっとしがみついてくる。抱き締めてよかったみたいだけど。いまのだいきらいは、ほっとく私なんかきらいってことなんだろうけど、でもほら。

 鳩尾に一撃でしょ?

 息が一瞬できなかったよね。なんという、固い頭突き!


「う、ん」


 なんとか整える。ちょっとでいいので、時間をください。

 そうもいってらんないな!

 サキが頭をぐりぐりと押しつけながら、号泣しはじめちゃって。

 脂汗をこらえつつ、痛みをなだめつつ、抱き上げる。

 い、いてえ! いてえぜ! ないすな一撃だったぜ……。


「ごめんね」


 かませ、やせ我慢!

 ギャン泣き。両手で、両足で、がしがしと荒ぶるままにサキが殴るわ蹴るわで、体力ゲージが勢いよく削れていく。力加減がなくて、めちゃくちゃ痛い。

 そうせずにはいられないくらいのフラストレーションをためてた。

 他の子たちが集まってくる。だいじょうぶー? って顔をしている子もいれば、自分も泣きそうになっている子もいるし、サキを恨めしそうに見てる子もいれば、私を睨んでいる子もいる。

 気を遣わせてしまった。そうだろうなーと、どこかで思ってはいた。

 足りてない。なにもかも。

 動くわりに。考えるわりに。間に合わない。そんなことばかりだ。

 サキを抱き上げたまま、その場に屈む。

 わからない。

 こういうとき、どうしたらいいんだろ。

 さっぱりわからないぞ。

 みんなもわからずにいる。

 わからないときって、ついつい怯えちゃうのか。怯えちゃうから、わからないのか。

 片腕でしっかりサキの身体を抱き直す。みんながもっとそばに来てくれることを願って、空いた腕を伸ばす。みんなを抱き締めるには、二本の腕じゃ足りない。みんなが安心してそばにいられるようにするには、私のなにもかもが足りてない。なのに私を責めてたら、なんにもましにならないという。

 わからないよ。そんなのもう、なにがなんだかさっぱりだ。

 みんなと当たり前のように過ごし始めたのが、奇しくもこの洋館だった。みんながここを住処として思い浮かべてできたのなら、どれほど寂しい思いをさせてきたのか。たまってしまった埃や食べものから、いくらでも想像できる。みんなの過ごした時間が、いくらでも。

 一日二日じゃない。


「さみしかったよね。ごめんね」


 先送りにしてた。泣いた子を起こすようなことから逃げてた。

 どっちも自分のため。自分だけのため。そのための選択をして、逃げてた。

 気づいてなくて、何重にもひどく遠ざけてた。

 自転車の補助輪をとる練習みたい。

 みえてるとこにいて。笑っていて。信じてて。だけど危なそうなときは絶対たすけて。がんばれるようにして。そしてやっぱり、信じてて。

 そういう時間、たぶん、たくさん必要なんだ。

 私は、ぷちたちひとりひとりの手を取ってなかった。

 手が足りないとか、私いそがしいからとか、いろんな理由を並べて先送り。

 なんにもしないまま、先送り。

 ちっちゃなおとなにさせてた。そんなの、いいわけない。

 そばにいるために、なにかしなきゃいけないのでも、なにもしちゃいけないのでもなく。

 ただそばにいるの。

 それをずっと、むずかしくさせてたの。

 気づいても、過ぎた時間がなくなるわけじゃない。お掃除して、すべてが解決するわけでもない。むしろ新たに押しつけてるまである。

 私が気づかなくても、知らなくても、我慢しちゃう。考えたり、悩んだりする。みんなそれぞれに。それって、起こりえることでも、やっぱり痛い。

 となりのトトロでさ? さつきちゃんが、メイちゃんと合流してお母さんに会いに行く、その前にお見舞いにきたときのシーン。お母さんとさつきちゃんの時間、お母さんはさつきちゃんをしっかり大事にしてた。あの瞬間、お姉ちゃんからこどもに戻ってた。

 もっともっと、見えてくること、ぜったいあって。

 いまの私にはまだ、見えてなくてさ。

 いやになる。お掃除だいじ、でもそれよりもっと大事なことやまほどほったらかしてた。そのままお掃除はじめて、お手伝いさせてたら、そりゃあ怒るよね。

 まだ途方に暮れたままだ。

 けど、それでもひとり、またひとり抱きついてくる子たちを見つめながら、しみじみ感じた。

 お願いするところから、ちゃんとしなきゃ。

 一緒にいてもいいか。みんなの抱えてること、私に伝えてもらえないか。

 ぜんぶ、小芝居も小細工もなしに、まっすぐ話すことから、ちゃんとしなきゃ。

 みんなのことを知るまでいたい。この場所が、そのためのきっかけ。

 ぜんぜん足りてないよね。わかってるんだけど、なにが足りないかわからないくらいなの。

 どうか。

 どうか、私に教えて。




 つづく!

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