第千七百三十話
お風呂を済ませてリビングへ。
ぷちたちの本音を聞いた。個人的にはもう「ごちそうさま! おなかいっぱい! むりむりむり! あーっ!」と叫んでいるのに次々と容赦なくおかわりされる、わんこそば状態でさ? 悲鳴をあげてる気分。
やっぱりきっちり、ぷちたちが過ごす尻尾の中ははちゃめちゃな状態なのだとか。
そして、そこのおトイレや水回りから、ぷんと漂うようになってきたのだそう。
気づけば、それがえらい匂いになっていたそうでさ? 耐えきれずに外に出るようになったという。私がおうちに帰るちょっと前から、もう、だいぶきつくて、そういう部屋は閉じ込めていたそうだ。その間はトイレとかお風呂とかどうしてたの? って聞いたら、私が気づかない間に尻尾からちょいちょい抜けだしては、現世で済ませていたという。
うそやん! 知らんし……っ! ほんと知らなくて気づかなくて、ごめんなさい!
ひやりとする。はっとする。ひやりはっと。そんな瞬間さえ、見逃したら? 大ピンチ! 事実、私の御珠がめっちゃ臭い。え。待って? ぷちたちの暮らす尻尾の中の水回りから匂うってことは、あれかな? 私の尻尾の中の、水になるなにかが汚れまくって、浄水できてないと。そういうこと!?
わお。
だいぶ気持ちでめげつつ、リビングに行くとさ?
「おかえり」
ミコさんがテーブルでカップ片手にめちゃめちゃくつろいでいた。
思わずこけそうになったよ?
鬼のように多忙な人が、なぜうちに?
「麗子から連絡きてね。そろそろ、あげた血の出番かなって思って」
「――……と、いいますと?」
訝しむ私と、ふふんとしたり顔のミコさんとで、真面目な会話になだれ込む。
その、前に。
「はあい、元気なよい子たちー! 自分だけのホットケーキ、つくってみたい人ー!」
いつものようにクラシカルなメイドファッションのミユさんがテレビのそばで、お母さんと一緒にぷちたちを呼び込む。見ればクレープ生地くらい薄く焼いたパンケーキを重ねていて、ホイップクリームやバナナやイチゴのカットなど、いろんなトッピングをまとめたボウルを並べたテーブルが用意されていた。
甘味は大好物。まっしぐらで「わああ!」と駆け寄る。半分くらいが。残り半分のうち、三人くらいは私とミコさんを見て「やれやれ、こどもだましだね」や「こないだもホットケーキだったもんね」なんてことを言いながら、とことこついていくのだ。尻尾はめっちゃふくらんで、興奮してるの丸わかりなんだけどね。
私もほしいなあ。ホットケーキ。あとで作るか。
ひとまずぷちたちはお母さんとミユさんにお任せして、私はミコさんの向かい側の椅子に腰掛ける。
「あのう。いままでも結構、ミコさんにつけてもらった稽古も、血で得た霊子も役だってたと思うのですが」
「稽古はあなたの経験値。飲んだ血でパワーアップしたと思っているのなら、実のところほとんど気のせい」
「えっ」
「隔離世は、ほら。気持ちやノリって大事じゃない? だから、黙っておいたの」
「そんなばかな!」
嘘やん!
「なんか若返ったりしましたやん……っ!」
「あなたの思い込みってすごいなあって思いながら見てた」
うわ、だっさ! 私めっちゃ、はずかしっ!
「役立つように接したのだから、そうなってよかった。でも、そういうんじゃあなくって。化け術を盛んに使い出したみたいだし? せっかくなら、媒介にしてもらおうと思って。くっさい汚れがついた御珠の内訳、察しがついているのならだけど」
どう? と尋ねられる。
いや、もう絶対、見当をつけて来てますやん!
そういうとこ、あるんだよなあ。
「なにか思いついて、来てくれたんです?」
「そんなところ。後出しドヤりで、私はあなたの御珠が臭いの気づいていた、なんて嘘ついても意味がない。ただ、御珠に汚れがついていたのなら? 推測ができる」
「おお」
「霊子体の穴。横から見て丸い形状。たま。御珠。汚れが穴になる理由まではわからないけれど。あなたがなにを考えていたのかも、お風呂場でなにを語っていたのかも聞こえていたし」
出た! ミコさんの神通力だあ!
なにを考えているのかわかる力だ。なのに、それほどの力があっても御珠の異常はわからないとなるとさ? 聞く神通力では、霊子体の中身がなんなのかまでは読み取れないってこと?
「そういうこと。あなた、昨日は術についてろくに教わらずに帰ってきちゃったでしょ?」
「あっ」
タマちゃんに教えてってお願いしてたね!
神通力。仙術とか、妖術とか、なんかそういうの。
いろいろあって、流れてしまって。ううん。
『気もそぞろでやっても身につかん。集中できんお主に解いても無駄じゃ、むだむだ』
むだむだむだむだぁっ! むだはね、だめなんです! なんちゃって。
ほんとごめん!
『都合がつく。そして、つけた。故に話は終わり。謝る癖より礼を述べる癖と、経験にする癖、活かす癖をつけよ』
了解であります!
「実際、よかったんじゃないかな」
ミコさんがテーブルの下から、幾重にも泡で封じ込められた御珠をテーブルに置く。
匂いはもうない。逆に、泡をすこしでも割ろうものなら? 阿鼻叫喚の渦と化す。
「この黒い油汚れみたいなヘドロ? このままでなにをしても、ろくなことにならなかったろうし」
『うむ!』
そういうことだとばかりに力一杯賛同するタマちゃんの声を聞いて、しみじみ思う。
知らぬは亭主ばかりなり。私だけが気づかず、平気でいた。いや、言うほど平気じゃないけど、匂いが徐々に充満していく尻尾にいたぷちたちや、御珠が汚れているなら影響ありそうなタマちゃんと十兵衞ほど、危うさはなかった。
「逆に霊子体に穴やヒビが入っているケース、案外、御珠か、霊子体から生じるものに連なる知らせなのかもしれない」
けど、いまは置いておいて、とミコさんは泡に包まれた御珠を睨む。
「現世で洗っても、いまのままだと、また汚れそうな気がするじゃない?」
「そう! そうなんですよ! それに尻尾の中を綺麗にしておきたいなって思って」
「そうね。水回りの汚れ、水道管に問題があるのか、場所が汚れているだけなのか、水源に問題があるのか確かめないとね?」
「まさしく!」
「で、あなた、自分の尻尾の中にどうやって入るの?」
「――……おおぅ」
思わず天井を仰ぎ見た。
まったく、まるっきり、これっぽっちもいい案が浮かばない。
「あ。それでミコさんの血?」
「を、どうするの?」
ええっ。答えてくれる流れじゃなくて?
「化かすのも、尻尾も、あなたのものでしょ? じゃあ、あなたがやらないと。変わることはできないの」
「たしかに!」
「私のあげた血を媒介にしては、と提案した。でも私は、あなたの化け術の仕組みを知らないから。提案しようがないのよ」
「体系的に普及している技術ならともかく、霊力の使い方は人それぞれだから、一概に同じ手順で挑めばどうにかなるわけじゃない、ですか」
「そ。ざっくりした例だけど、日本で預金残高一億ある人と、海外のゴミ山でゴミを売ってその日暮らしをしている人の、やるしかないっていうのと、環境の対処が必要っていうのって、意味合いが全然かわるじゃない?」
さすがに預金一億は例としても過剰な気がするけどさ。
前者は社会、環境に整備されていることがやまほどある。後者に比べれば、ね。雲泥の差だ。
やるしかない、やればいい、環境うんぬんいってんじゃねーっていう理屈はさ。環境と、前提として健康だったり、資産に余裕があったり、なきゃないで得られる社会保障がばっちり整っているときに言えるものでしかないなー。
どっちの立場になっても水掛け論になる。
社会に依存する。環境に依存する。
その点においては、どちらも一緒。
行動が必要。
それもまた、どちらにおいても一緒だ。
どっちかっていう話じゃない。
両方かんがえるし、動くし、守ったり、改善していくものだ。
シオリ先輩にならってプログラミングっぽくいうなら、環境と、変数の絶対数がそもそも膨大でさ? ひとりで考えるのも、対処するのも、限界がある。常に。
やるしかないし、環境大事だし。果てしない。
「その果てしなさを整えるうえで、フィールドワークは欠かせない。でしょ? だけど、行きようがないんじゃ困っちゃう。で?」
「ミコさんに以前もらった血を媒介に、化かしてみて。お掃除したり、水質をよくしたりすればいい……ということです?」
「そ。具体的にどうするのかー、とか。化かすと、それはどれくらいの規模になるのかーとか。さっぱり見通しが立たないわけ」
「ミコさんでもですか!?」
「見たことないもの」
「めっちゃ長生きしてるのに!?」
「悪かったわね。長生きしてて、知らなくて」
あ。こめかみがびきびきって。目元が引きつってる。あかん。ストレスサインやん。
「す、すみません。言い過ぎました」
「言い過ぎることは、思っていることについての謝罪にならないの。そして怒る相手はだいたい、思っていることについてまず怒っているわけ」
あかん!
「内心は自由だけど。だれかの自由を脅かすことは、自由にはならないわけ」
「きっ、気をつけます」
「ぜひ、そうして」
地雷でしたね……っ! 以後、気をつけます!
自由かあ。自由。
取り扱いのむずかしい言葉だ。
分野によっても、その捉え方に厳密さが求められそうな気がする。
加えて、人によって、ほんとにいろんな使われ方をされそうな言葉じゃない?
大辞林だと、どうなってる?
『他からの強制・拘束・支配などを受けないで、自らの意志や本性に従っていること(さま)。自らを統御する自律性内なる必然から行為する自発性などがその内容で、これに関して当の主体の能力・権利・責任などが問題となる』
その補足か、派生のアイウエオ的な内容として。
『哲学的な意味では、自らを自律的に統御し、内なる必然から自発的に行為すること。外的自然からの自由、内的自然(理性や意志以外の要因)からの自由、他人による強制からの自由に分かれる。意志の自由とほぼ同義』
『社会学的な意味では、社会集団が個人の自律的な判断・決定能力を発展させる構造的条件を備えていること。基本的人権のほか価値・規範体系の整備なども含む。「――な社会の実現」』
『政治的・歴史的には、時代によって異なる内容をもつ。古代ギリシャでは奴隷などと区別されたポリス市民固有の属性、すなわりすぐれたものへの洞察力を意味したが、中世ヨーロッパでは身分的特権の別名であった。近代のリベラルな自由概念は十七世紀の宗教戦争以来成立し、市民革命を経て強化・確立され、宗教的自由から思想・信条の自由が、さらにそこから言論・出版の自由が要請された。この過程で、権力と対立しこれを制約する自由という視点でも出てくる。マルクス主義的には、社会全体が解放され、人格の自立が真に達成されることが重要視される』
とある。
予想していた、分野ごとの自由の話だね! 哲学、社会学、そして政治的と歴史的な視点それぞれの話。
じゃあアイウエオのア、イ、ウからひとつ上の区分に戻って、一番目の意味の次へ!
『物事が自分の思うままになるさま。「三カ国語を――にあやつる」「――がきく」「――になる時間」「船の進退――ならねば/近世紀聞延房」』
『わがまま。気まま。(「自分の心のままに行動せきる状態」の意として漢籍にある。「英和対訳祖珍辞書」(一八六二年)にfreedomやlibertyの訳語として載る)』
とある。あとは、自由にまつわるいろんな言葉の紹介へと続いていく。
念のため。
日本国憲法だと? 国民たる要件に記述があるよ? 基本的人権の第十一条、自由及び権利の保持義務と公共福祉性の第十二条。個人の尊重と公共の福祉の第十三条にも、がっつり書いてあるし? 第十四条である平等原則、貴族制度の否認及び栄典の限界にも記述がある。
自由にまつわる記述はいっぱいあってさ?
思想及び良心の自由の第十九条。信教の自由の第二十条とか。第二十一条、第二十二条とか。学問の自由の第二十三条とか。
ほかにもね?
環境を整備する主体は国民なのか、それとも国なのかについてさ? 生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務として、第二十五条にがっつり書いてある。
じゃあ、だれもが空で暗唱できるほど読み込んでるかっていったら、どう? むしろ「えーっと。えー。なんじょうの、なに? さっぱり知らないんだけど」って人も、地味に多いのでは。
ついでにいえば、役所の人の中に、憲法について知らないか、知ったうえで悪いことしてる人がいたら? 大問題。
憲法は、国や政治という猛獣が、そこで暮らす人たちを食らい、自由に暴れないようにするための大事な檻だと説明する本が出ていた。あれはめちゃめちゃ気になってる。わかりやすそうだし!
そういう前提の知識がなかったら?
そして、そうした条文が作られるに至る、歴史を知らなかったら? 日本に限らず、世界中でどんなことが起きているか、まるで知らなかったら?
軽く見積もってしまうかもしれない。
それはとても危険な易しさだ。あぶないぞー?
値下げ札時間帯によく確認もせずに会計に並んで「うわっ、値引きされとらんやんけ!」って気づくよりも深刻で取り返しのつかないことになるぞ? なにせ、相手は猛獣。
加えていえば、檻はきちんと運用されて、メンテされて、時代の変化で猛獣の数が増えたり、暴れ方や、暴れテクが増えたら対応できるようバージョンアップしていかないと、おっかないぞ?
猛獣が上じゃない。権利権力が上じゃない。逆だ。まったくの、逆。ここ、すごく大事。
政治のところに、折しも記述されている。
権力と対立しこれを制約する自由。
こどもにとっての親や学校。働くときの雇用主にとっての企業。フリーランスにとっての発注元だし、工場にとっての大企業ね? 現代社会の迷える社員にとってのブラック企業だし? 世が世なら人々にとっての警察だの軍だの政治だのだ。暴力を振るわれる女性にとっての男性だし、しかるべき手順で上申する若手にとっての年配上層部だし。被害を受けている人にとっての加害者だし?
きりがないけれど。パンドラの箱めいているし、地獄の釜の蓋のようでもあり、開けてはいけないフタ感がすごいけど。
要するに、そういうもの。
権力に暴力を振るわれた、あるいは振るわれそうになっただれもがアクセスし、利用できるものとして、必要なもの。
脅かされることがある。その備えがだれしも万全とはいえず、十分であるかわからず、同じ程度の備えをしても同じ程度の結果を得られる保証もなく、完璧ではないもの。
最初にあるよね。
他からの強制・拘束・支配などを受けないでって。
だれかの自由を尊重し、守るとき、だれかに強制・拘束・支配をしないこと。これはもう、大前提として必要になるもの。
では強制、拘束、支配とみなされる要件は? 逆にいえば、自分の中での要件が鮮明になったとして、それは自分以外の万人に等しく共通して適用されるもの? それこそ強制していません? 自分の中で完結させて、その物差しだけで振る舞っていません?
じゃあどうすんの。どうやんの。
言いだすときりないじゃん。大変すぎるし、面倒じゃん?
そういうことじゃあ、ないぞ?
いやいや。きりないし大変だし面倒だけど、やるしかないとして。待てって! 守られてない、無茶苦茶な状態がやまほどある! やばい人もけっこういるんだけど、どうなってんの! ずるくね!? って?
それなら、わかる。なので、さあ、私たちはどうするよって話なのだと思う。
それでも、ううん。だからこそ守る価値がある。
というか、守ってかないと、身が持たない。
ミコさんの「むむっ」ポイントを刺激して、ミコさんが過ごしてきた時間のぶんだけの振る舞いを強制したり、それを示唆するのは? アウト。
こういうことがやまほどある。
ぷちたちはこどもの姿で出てきた。
けれどもし、赤ちゃんの姿で生まれていたら?
ぷちたちの自由を守りながら、私はどれだけ自分を保てるだろう。
自由ではいられない。そういう目測は立てる。でも、じゃあ、実際どれくらい?
わからない。
こどもと過ごす人の生活にグラデーションがあるとして、私はどこに立つのだろう。
さっぱりだ。
近しい人がいたとして、同じことをしたとして、同じ結果になるわけない。
なにもかもがちがうし、一意の結果がでるほど世の中って単純じゃあないもんね。
そう。
単純じゃない。
ビッグバンセオリーで人と接するのに苦労してきた博士たちが大好き。同じことをして決まった結果が出ることに安心する気持ち、わかる。それに比べると人ってあまりにむずかしい。
なのに、それが集団になって、社会なんてレベルになると、もう! さっぱりわからん!
だけど、それでも守って、作って、育んでかないと参っちゃうのが自由ってものなのだと思うわけ。そのために人は集団を作り、社会を形成し、いろんな技術を作ったりするもの。仕組みも枠組みも、手段も、そのためにあるもの。なんなら、だれかの自由を脅かすのではなく、みんなで大事にしていくっていうのさえ、手段のひとつ。
だから、ままならなさは大事だ。
負荷もね。
そこから経験値を作りだして、どんどん便利にしてく。
限界はある。集団になって、社会になって、そうして挑まなきゃできないことのほうが多い。
やんなっちゃうなあ。
つくづく、ひとりじゃできることには限りばかりあって。
やらなきゃ、だけでも、環境かえなきゃ、だけでもだめ。どっちも大事。というか、よくなること全部だいじ。わるくなることを止めるのだって大事。
ひとつのできごと、ひとつの負荷、ひとつのままならなさに、大量の前提、大量の文脈、数えきれないくらいの変数があって、たいへん。惜しむときほど単純化したくなるし、わかりやすく、短く、手間取らずに済むことを求めたくなる。けど、そこまで整ってることって、なかなかない。あっても、きっと、大勢の人が集団になって支えていることに依存してる気がする。
わがままに、きままに。易しさに自由でいたいとしても、ね。
そうするには、集団の、社会の、そこにいる数えきれない人の、他からの強制・拘束・支配などを受けないで快く過ごせる時間とか、気持ちとか、尊厳とか、それを尊重できるあらゆる余裕とか、モチベとか、いろんな前提を踏まえた自由の中で用意された手段や仕組み、枠組みがないと、回っていかない気がするの。
なのに、わがままに、きままに、易しさに自由でいると? だれかに強制し、拘束し、支配してしまうことに繋がりやすい気さえするよ?
共に生きるとき、自分と相手の自由を守ったうえでできることを増やす。そういう行動って、なんだろ。
自然を相手に学ぶ?
集合知である学問に学ぶ?
どっちも大事。
考えるのも、行動するのも、どっちも必要。
果てしないな~!
果てしないわ~! 生きるのって。
まあ、ね。
いまからやることといったらさ?
化かした私の尻尾ハウスのトイレ詰まりか、水道詰まりの解消か。
あるいは尻尾ハウスの水源まで化かしての、ドブさらいか、水抜いてみた作戦なんですけどね。
ええ。
そりゃあもう、匂うと思うんですけどもね!
果てしないわ~!
匂いもきっと、ごっついことになってるにちがいないぞ!?
「いまのやりとり抜きにしても、掃除までは手伝えないからね?」
「ええっ、そんなあ!」
「時間があまりないのよ。空き時間に寄っただけだから。むしろ会えてよかったわ」
ほら、血の使い方、一緒になんとかするわよって言われてしまう。
まじかー。
待って!? じゃあ、なに!?
私、いまからぷちたちが過ごす自分の尻尾ハウスを化かして、なんなら尻尾ハウスの水源になっているものまで化かして、必要に応じて浄水施設や下水施設まで化かすか作って!?
さらに尻尾ハウスの大掃除と、水回りの問題をまるごと解決して!?
しかも御珠の問題が解決するかどうかまで確認するの!?
「果てしないわ~!」
「ちょっ、私のオチ持ってかないでくださいよ!」
学校を休んだら、年末の大掃除よりも大変なことをする羽目になったんだから!
せめて、渾身の「果てしないわ」を決めさせてくださいよ……っ!
言うほどのオチじゃないのはわかってますけども!
つづく!




