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その刀を下ろして、帯刀男子さま!  作者: 月見七春
第九十九章 おはように撃たれて眠れ!
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第千七百十四話

 



 予想はしてたんだけどさ?


「「「 やるー! 」」」


 と、ぷちたちが言いだした。

 男子はそっと離れてもらって、女子だけでやれるよう準備。

 ぷちたちは私の霊子から生まれた子たちだから、いくつか問題がある。

 まずひとつめ。そもそも霊力あるのか問題。私はちゃんとそこまで、この子たちを生み出せているのか。ただ、これはノンちゃんが早々に「あ、それは問題ないです」と流したので、だいじょうぶ。

 ふたつめ。そうはいっても式神がリングをつけて、スーツができるの? 最悪、リングにしゅって吸いこまれたりしない? 最初は霊子だけの存在だったのだし。これについても「問題ないですよ? ぷちちゃんたちならね!」と、なぜかどや顔になったノンちゃんが流した。

 なので、みっつめ。

 スーツができて、あれこれ変身しはじめて私たちが待ったをかけても聞いてもらえなくなる可能性は?

 これについては、具体的な対処法もないまま、なんとか謝りたおして、なんとか許してもらってから説明したんだけどね?

 まあ、その。なんだ。

 モチベがそのまま行動に繋げやすいタイミングでの「うおおお! たっのすぃー!」にかけられる待ったなんて、そうそうないもので。


「ちょっ、みんな!? 落ちついて! 落ちついて!」


 畳の中心で、制止を叫ぶ私と、私なんかお構いなしに部屋中を駆け巡るぷちたち。

 みんなすでにリングを装着してスーツを展開している。

 ぷちたちもノンちゃんの言うように、心配する必要はなかった。ちゃんとスーツを着ていたよ? そのうえで「変身!」と、いろんな遊びを試していた。平成狸合戦のタヌキたちよろしく、ジャンプしては化け術を試す子もいた。スーツもう関係ないな!? ないんだけど、大勢で好きに楽しんじゃうと?

 私が落ちつかないよ!


「みてみて! ママ!」

「えええ!?」


 背後から呼びかけられて、あわててふり返ったらね?


「「「 はやし! 」」」


 三人のぷちが両手をぱんと合わせた。

 途端に白いスーツから樹皮が生えてきて、ものの見事に学芸会で見かけるような着ぐるみスーツに変わった。樹だ。紛う事なき、樹!

 三本並んで、林って? あははははは!

 リアクションとりづれえなあ! もう! あと三人そろってどや顔がちまっと出てるの可愛すぎか!?

 そのわりには三人が化かしたスーツのクオリティが、異様に高い。


「すっ、すごいねえ!」


 とにかく一言目にぜったい褒める。

 そう決めた。意地でも褒める。でも喉元まで出かかっている。

 それ重くない? だいじょうぶ? 動ける? 元に戻せるの? なにやってんの!

 心配。不安。緊張。私の中の私のための感情が叫ぶ。言葉にしろと私を促す。

 それらを必死になだめながら、屈んで手を叩く。

 見事な樹っぷりだ。花は咲くのだろうか。そもそも、どんな種類の樹だろう。一緒にあちこち行ったときに見かけたものだろうか。

 そういうことなのか? どういうことなんだ?

 刀鍛冶の子たちも引き続きいるし、茨ちゃんも加わったし? 私と集まった侍候補生女子は一律でリングを装着、スーツを展開している。ぷちたちも含め、全裸でスーツ。そう考えると、特殊な性癖の集まりみたいでしんどい。

 お父さんが教えてくれたロケットガールの子たちも、ヱヴァの子たちも、全裸の上からスーツを装着してた。作品によるだろうけど、パイロットスーツなら、オムツはつけてたかもしれない。スーツに自浄作用があって、男女どちらもセットする、みたいなのもあった気が。セットって意味深。長時間の作戦行動が前提になると? 悩ましい。トイレは死活問題だ。

 その話は前にしたので、今日はここまでにするけどさ?

 案外、そう突飛な話じゃない。こういうスーツを素肌の上に直接つけること自体は。

 ガンダムだとアンダーウェアは着ている作品のほうが多いイメージだ。ロボットものは、スーツのデザインで大体のイメージが浮かぶものなのかも。

 実際に現世にある宇宙服だと? 下にアンダーウェアを着てるよね。宇宙服を着ちゃうとさ? 身体が痒くなってもかけないじゃない? 特に頭は無理。後頭部や首筋がむずむずしても、我慢しなきゃいけない。そういう意味で、ロケットガールにあるようなタイトなスーツは自由度があってよさそう。ただ、くすぐったいから掻いていたら穴が空いて、大事故に! なんてことになったら目も当てられない。やっぱり、痒みは大敵。

 海底ならどうだろう。

 飽和潜水システムを用いて、人は深海で活動することがある、そうだ。どれくらいなのかな。なんかのドキュメンタリームービーで、海底のパイプライン設備のメンテかなにかをするためにもぐった人の生活に密着してた気がする。深海にゆっくり下ろした船員を、一定期間の減圧をしながら身体を慣らして、後に仕事をする。無人船にくっついて移動して、確認。戻る。それだけの仕事が命がけ。なにせ陽の光が届かない。船から落ちてはぐれた船員を、水面で待機する船と、深海をいく無人船にくっついている人が必死に探す。命綱が必須。酸素を運ぶケーブルだ。それが、外れた。オチをいっちゃうと、無事に見つけることができて、なんとか生還できたというよ? そういう極限環境でのダイビングスーツって、かなり厳密なものになりそう。

 私、スーツの話をするとき、いっつもトイレのこと話してんな!

 頑丈なもの、分厚いもの、動きやすさを犠牲にしてでも得るべきもの。

 いろいろ考えられる、性能面で欲しい機能。

 深海や宇宙なら、気密性の確保は必要不可欠、みたいな?

 あるよね。そういうの。

 まず居るために必要な機能が十分に備わってから、次だ。普通の服には、生存に必要な機能を満たさなきゃいけない要件がない。

 強いていえば、締めつけきつくないとか、季節や環境に合わせた条件くらい? 地域によっては宗教として守らないと安全が脅かされやすくなるデザインがありそうだ。良し悪しはさておくよ? 軽はずみに扱うべきテーマじゃないと思うんだ。当事者にとっては、歴史的な文脈となるし、文化的な文脈ともなるもの。

 前提として学んでおかないとわからないことって膨大。

 ただ、強いて言うなら、どんな服装をしていたとして、だれかが勝手に触れてきたら? それは、そのだれかの問題。触れるのは、そもそもコミュニケーション上、合意を得て行なうべきもの。ちゃんと尊重するんだよ? きちんと合意形成をするべき段階を省いて、勝手に触ってくる相手がいたら? その相手がアウトだ。仮に「そんな、おへそだして」とか「足だしてさ。そういう格好じゃね」とか言われても、別! きちんと合意を得ることなしに触る人がだめ!

 それが浸透しているかどうかでいえば、現状ではむずかしい。教わるタイミングが、あらゆる世代のあらゆる人々に与えられているかで考えると? 悲惨な答えが待っていそうだ。

 加えて、どんな風に学んでいくのか、なにを見て、なにを考えていくのか、もう全然ちがうよね。

 三人のぷち林によじのぼって、ムササビ着ぐるみに化かして飛んでいく子もいれば? セミの着ぐるみになって、ひっしとしがみついて「みみん。みみみん」と鳴いている子もいる。

 わからん。

 私にはわからんよ! そのセンス!

 あと、私たちよりよっぽどぷちたちのほうが、あれこれ試している。

 見ていてなにを反省するかというとさ? 化け術を利用することに発想が至らなかったね!

 見てると転化と化け術の相性の良さを考えずにはいられなかった。

 セミや樹の着ぐるみになる必要性はよくわからないけど。樹のクオリティ、いやに高いけど、ムササビやセミはぬいぐるみ感が満載だった。

 正直、助かる。

 昆虫の質感をがっつり再現されると、ね。

 慣れてないからね! 昆虫が身近な生活にはさ!

 しかし、なるほどなあ。

 できることから遊んでいくんだなあ。


「ママ! こっちも見て!」

「こっちもー!」

「はい、はい、はい」


 あわてて返事をしながら「あ、いまので、はいは一回が通用しなくなるのでは?」と気づくし、それどころじゃない。

 急かされてふり返ると、畳のうえに身動きの取れなくなったマンボウ着ぐるみの子がいて、ジャンプしてタカ着ぐるみにした子が爪でキャッチ! ぴゅーと飛んでいく。

 いやいや。いやいやいや!

 あわてて金色を飛ばして、タカの子とマンボウの子のスーツの化け術を解いた。お外でちゃうのはだめ! と呼びかける。その間に、他の子が遊ぶ。トモたちが見てくれているけどね? みんな、ぷちたちの元気っぷりに翻弄されている。

 おまけに刀鍛冶の子たちが興味津々って顔をして、ぷちたちの変化を見守りながら「ああいうやり方があるんだね」なんて言いあってるの。

 収拾なんてつくわけないし?

 むしろ、思いきり遊んでもらったほうがいいし?

 なんなら、刀鍛冶の子たちにとって参考になる情報まで得られているみたいだし。

 おかげさまで、あっという間に午前は過ぎた!

 みんなでお昼を食べて、午後はお外でもっと遊びたいというぷちたちに「プールに泳ぎにいこっか」と提案する。水遊びは疲れるからね! めいっぱい遊んで、めいっぱい寝てもらおうっていう寸法だよ! お魚に化けてレースしようと提案してもみた。反応は様々なので、他にもいろいろと手を考えたほうがよさそうだ。

 宿で出してもらえるご飯をいただきながら、茨ちゃんの「オレらがスーツ着た意味ないよなー」というツッコミに、キラリたちとげんなりする。ほんとに、それな。

 着替えるのもしゃくだし、いまも私たちはスーツのままだ。男子もいないしさ? 気にならない。上からなにかを羽織ってみたけど、やっぱりしっくりこないんだよね。なにより、夏だし。暑いし。着心地よくて快適だし? なら、このままでいっかなって落ちついた。

 いまさらながらに驚くことがある。

 まず、ぷちたちサイズのリングを用意していたノンちゃんたち。次に、あっさりとスーツで遊びだして、私たちよりいろいろやれちゃうぷちたち。あと、ぷちたちの遊びを見守る一、二時間で、すでにバテバテの私たち。

 もうね。ぷちたちに好きに遊んでもらったほうが、スーツの機能について理解が進むまである。

 ノノカと和歌の話をしたいし、尻尾の穴の転化もしたいし、スーツで化け術やるの私も試したいし? タマちゃんと合流して術を習いたいぞ!?


『いまのままではなあ?』


 そう言うと思った! ダメそうだ!

 ぷちたちと遊ぶだけで、もうなにもかも後回しになるの目に見えてるし? でもそういうことなんだよなあとも思う。安心して育つまで必要な安全基地って、私が思うよりもずっとどでかいなにかのような気がしてる。

 あと、ほんとどうでもいいんだけど、尻尾の穴って文字にすると、尾という一文字の存在が大事すぎじゃない? あらゆるものが尾にかかってない? ねえ。

 ほんとどうでもいいんだけど!

 元気が有り余っている子から率先して早食いして、お外に出かけようとする。食べるのがゆったりな子に「はーやーく!」と言ったり、私の尻尾に飛びついて、べちべち叩いて「まだー!?」って言ったりしてくるの。

 完全にさ? 運動大好きな子たちの昼休み前なんだけど。いま。


「プール! プールぅ!」

「ねー! まだー!?」


 食べるのゆっくりペースなぷちたちと、トモやキラリたちが私に目で訴えてくる。なにを言いたいのか、よくわかるよ? 口に出さないまでもね!

 私の霊子をぶわっと出してさ? 金色の海を作ってさ? そこでふわふわ泳いでもらうっていうのも考えた。けど、それだとゆっくりペースな子たちがむむっとなる。それに早食いオッケーってなっちゃう。

 よく噛んでよく食べるんだよって、毎回いってるんだけどね。

 テンションぶちあがる目的を前にしたら、響かない。まだまだ足りない。

 そうして結局、なだめて説得にうつるか、怒るかになっちゃうのかなー。実感!

 なんて言ってる場合でもないか。

 金色を飛ばして、元気な子たちをすくい上げて、お膝に引きよせる。


「お行儀わるい子はだれだ~?」


 尻尾の付け根をこしょこしょとくすぐって、気を逸らしにかかる。

 お宿の従業員のみなさんが「食後のデザートですよー」と、アイスを運んできてくれた。

 素直で元気で食いしん坊だらけだから、一気に気持ちを引きよせられていく。

 お膝の上に集めた子たちが、急いで飛び降りて、アイスをねだりにいった。

 ちびちび舐めて、楽しんでる。急いで食べると頭がきーんっていたくなっちゃうのは、うちで冷たいの食べて経験済み。

 一気に静かになったよ。

 食が進まなかったから、私も食べ終えていたのでアイスをいただいた。バーについている水色のソーダ味。パステルカラーのラムネがちらほら見えているところがポイント高い。


「ありがとうございます」


 お礼を言ったら、仲居のお姉さんがそっと耳打ちをしてきたの。


「食後のハミガキがいりますけどね? こういう手もあるんですよ?」


 ほんと勉強になります……っ!

 あ、ハミガキは習慣にしてるんでだいじょぶです!


 ◆


 宝島の開発が進んでいるのは、折に触れて語っていることだけどさ?

 プールに向かう道中、たまにすれ違う人の中には、片腕や脚のない人がいた。着流しで、ぷちたちを見かけて挨拶をしてくれる口調が時代を感じるもの。

 戦の傷か、病によるものか。

 そう思い描いて触れず、なんてことは、ぷちたちはまだ知らない。

 だから聞いちゃうし、答えてくださるの本当にもう感謝するしか思いつかない。

 実際、想像はだいたいの場合、当たっていた。

 それこそ戦国時代からのんびりしていらっしゃる幽霊さんもいるのだ。

 車椅子、松葉杖。それらにしてみても、いろいろと作りが違っている。頼もしいおイヌさまと一緒にいらっしゃる方も。

 アマテラスさまやウカさまのそばで見かけるお付きの方たちと同じような、修行中のみなさんがついていることもある。けど、全員に対してじゃない。

 現世で見かける、スティックひとつで自由に移動できる電動車椅子に乗っている方もいれば、目を閉じて杖を片手に、だれかがついていることなく歩いている方も。そして、そういう方たちはぷちたちに気づき、呼びかけてくれる。

 ミコさんのような神通力を? なんて最初こそ疑問に思ったけど、そもそもぷちたち自身が元気にはしゃいでいるものだから。そう考えたところで、これって結構傲慢な前提だと気づく。

 語るべからず。

 触れるべからず。

 そうして遠ざけて、いざそばに近づいたとき、私たちはどうすればいいのか困惑する。それ自体が、暴力のようで。ますます戸惑う。まだ知らず、なんて言って済ませていいのかだって、本当はわからない。おまけにわからないことが、どういうことなのかさえ、よく知らずにいるのだろう。

 ぷちたちは気にせず、元気にあいさつするし、お話を振られたら素直に返事をする。

 だけど私は、語るべからず、触れるべからずと気になるところを入り口にして身構える。

 そんな心をなだめて、ぷちたちに習い、学びながら、見守るので精いっぱい。

 通りを進み、歩きながら、ふと考える。

 日常にある文脈に組み込まれているもの。あらゆる場面で生活やサービスの文脈を想定する段階で、発想されるもの、されないもの。

 獣憑きであるだけで省かれることはある。私が通った中学校にいた人、働いていた先生たちは、私に寄り添ってくれたけど、他の中学だったら――……小学校みたいなとこだったら、省かれていた。

 同じじゃないよね。もちろん、同じじゃない。

 いろんな人がいて、こうしなきゃだめーって話じゃなくてさ?

 考えてみる。

 わからないからこそ、考えてみる。

 同じ目線に立てない。だれの目線でも。妄想するので精いっぱい。

 過ごしてきた時間という前提と文脈を読み取れないし、わからないじゃない?

 そういうわからないことを踏まえて、考えてみる。

 楽しくないとっていう話をしたじゃない? 負荷の話もした。道の話もしたし、歩荷の話もした。道を作り、整備して、みんなでどんどん広げていく。楽しさで広げていければいい。

 できないに注目したり、それを刺激されるのはつらい。

 私の場合はそうだった。

 みんなに対するわからないことを無視して「だから楽しいように」っていうのは暴力だ。私のわからなさで刺激される負荷をごまかしたくて飛びつきたい結論は、ただただ安易なものだ。

 それこそ、だれかのしんどさを刺激することになりそうで。

 どうすればいいのか、わからなくなって?

 語るべからず。触れるべからず。そこに落ちついちゃうのも、しんどくて。

 鈍感どころか、そもそも気づいてもいないから、私はしょっちゅう、ぷちたちに叱られている。

 ぷちたちの求めても得られないやるせなさや、できなさを私は刺激してる。

 ふわっとした言い方をすれば、愛情が足りてない。

 もうちょい具体的な言い方をしたら、ぷちたちのことを見ていない。一緒に居るべく、一緒に過ごしていない。一緒に遊んでいないし、一緒に学んでいない。

 ぷちたちにとってのママは、そうじゃないし? ぷちたちにとっての、なりたいこどもになるには、いまの私の振るまいじゃ足りなすぎる。

 そういうことに気づくたびに、学んでいく。

 作っていくし、足していく。わからなさを引くべく、改めていく。

 けど、たんなる引き算でなかったことにしても意味がない。

 できないこと、してこなかったことを単純に引いたり、ふたをして、それで終わりにしない。共有できる財産に変えていく。根本的に起こりえることへと対処するし、それはなにかしらのできごとに対して関わるすべての人の負荷を軽減する方向性で組み立てていく。

 じゃなきゃ、負荷は増す。排除する力も。暴力性も。

 わけわからないくらい、星の数ほど異なる文脈や前提があって、なのに私たちは社会という道を歩くというのだ。歩きやすく、休みやすく。ただただ、通りたいと願う人々すべてに便利になる手を模索する。

 そういうこと、全然してこなかったなーと省みる。

 お宿の浴衣を羽織って、とことこ歩きながらさ? キラリやトモ、マドカやノノカたちと話をしながら、ぷちたちを見守る。尻尾や背中にくっついている子にも、折に触れて話を振って進む。

 ハミガキタイムを終えて、ルルコ先輩とスマホで軽く話した。

 先輩は私たちのスーツ開発が円滑に進むように、ミコさんの教育で得た知識を用いて、昨日はいろいろと手ほどきしてくれたようだ。

 そこでノノカからいろいろと聞いて、ひとつお題を用意してくれたのだ。

 せっかく和歌を題材に、自分の夢の結晶となる九尾の穴を埋めるというのなら? 一首で埋めるなんてケチなこと言わず、和歌の情景を再現して、たくさんの思いを注いでみたら? って。それは自分のものでもいいかもしれないし、私の好きな人たちのものを足してもいいかもしれない。

 私の九尾が素敵になるものを見つける遊びをしてみたら、というのだ。

 目的を穴埋めではなく、穴埋めを手段として捉え直す。

 穴が空いた文脈を辿るんだ。

 埋めてヨシ! 以上、考えない! じゃなくて、わからないことに気づいて、増やしていく。

 それらを用いて、自分を育てるきっかけに利用しちゃえというんだ。

 ルルコ先輩の提案を聞いて「やっていいんだ!」と思えた。

 なんでもわかってなくちゃだめで、理解できてないことはゼロってことにしなきゃいけなくて、できるようにならなきゃ価値がなくて、みたいなのは、全部ぽいだ。

 わからないよ?

 そういうことのほうが多いぞ?

 学問で捉えても、いったいなにがどれくらいあって、どれほど研究されているのかも、論文がどれほど盛んに出ているかも、あるいはなにが査読されていて、なにが査読されてないのかも、さーっぱり! わからない! 知らないんだ。

 だから学んでいくんでしょ?

 できないから、挑戦するんだ。

 心構えの段階で「頼むよ!」って状況はあり得る。

 ぷちたちが私に、ママならちゃんとして! ってなるくらい。

 安全基地として、依存する部分。あるよね。集団や社会にも、依存を前提とする部分があるように。人と人とも。人と集団、人と社会においても、あるよ。

 そこで叶わないことを飲酒や暴力で解決するようになっちゃう道さえ、世の中にはある。

 他にも、いろいろと。

 なので依存さえも含めちゃえ。

 よく学び、よく失敗し、よく挑もう。




 つづく!

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