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その刀を下ろして、帯刀男子さま!  作者: 月見七春
第九十九章 おはように撃たれて眠れ!
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第千七百八話

 



 ぷちたちを起こしてお祭りに出かける準備をする。

 カナタが呼んできてくれた茨ちゃんが岡島くんと一緒になって、浴衣を用意してくれていた。

 さっき約束したもんね。覚えていてくれたこと、機会を作ってくれたことに感謝!

 着替えを済ませて、出目金マシンを出そうとしたら問題発生!


「あの……お風呂の、アヒル隊長がいい」

「自転車のれるもん!」

「飛行機がいい!」

「おほしさまー!」

「かえるさーん!」

「木彫りのくまさーん!」

「おっきなわんちゃん!」

「うしさーん!」

「おうまさん!」

「つかれたおじさん!」


 み、みんないろいろ言うやん!

 できるだけ叶えようじゃないか!

 ただし一部は却下。特に最後の! おじさんがかわいそうだし、そういう状況自体がアウトだからね……っ!

 早くも予想がずれるけど、問題ない。おじさん希望も「だめかあ。じゃあ、ママにくっついてる」って、すぐに次案に移ってくれた。これが「やだやだ、つかれたおじさんじゃなきゃやだ!」ってきたら大変だ。あと、みさえさんがしんちゃんに引いてるのと似て非なる内容で引く。なぜにつかれたおじさん推し。

 それぞれに希望を求めてくるから、順次それに合わせた乗り物を用意する。そこまでよかった。意外にも全員、それなりに希望があったから。

 問題は次だ。細かな注文をつける子もいれば、なんか気に入らないみたいなんだけど言葉にできない子もいるし? おおいに気に入ったけど希望どおりじゃないという子もいれば? まあこんなもんだよねーくらいの薄い反応の子も。

 それがなんで、どうしてなのかと考えるには、あまりに時間がかかりすぎる。

 結局、茨ちゃんの先導で、私にくれぐれも「ママちゃんとついてきてよ!」と言いつけて、ぷちたちは祭りへ。途中途中で、トモやギンたちと合流した。カナタは出がけに小楠ちゃん先輩に呼び止められて、まだまだやることがあるみたいで宿に残ったよ? 刀鍛冶のみんな、いまだに見かけないからなあ。

 なにを作るのか。それをどうするのか、だけじゃなく。そもそもどのように進めていくのかなんかの見直しもしている頃かも。


「結局さ。隔離世の力を使った犯罪者がいても、警察と侍隊の仕事だし? マシンロボみたいなスケールの発明品で大暴れする悪の秘密結社だの、マッドサイエンティストだのがいるわけでもないし? 戦時下でもなきゃあ、戦う必要はないわけじゃん」

「「「 まあねえ 」」」


 やっと息抜きができるとタスクから解き放たれたマドカの語りに、トモやキラリたちとゆるく同意する。

 だけどみんなして「それにしちゃあ、十分すぎるほど戦いに巻き込まれてますけどね」って顔してた。実際、これまでの戦いはみんな、戦いたいか、戦わずには済まないだれかが起点だった。

 お父さんとトウヤほどのめり込んではいないものの、ガンプラのアニメは私も好きで見てた。プラモデルを用いて自分の知識と技術、それに愛情をやまほどつめこんで、バトルする。プラモが破壊されるシステムから、破壊されないシステムにバージョンアップされたそう。

 実際、そうでもしないとお金かかっちゃうもんね。こどもがやる趣味だと、どうしてもお金の負担はきついからさ。わかる。わかりみしかない。

 WRCみたいな車のレースだと、実際に膨大なお金がかかっているみたいだ。レースそのものの開催にもね。そのあたりを踏まえて考えると? ローコスト化は大事なのでは。

 じゃなくて!

 あの作品にみるバトルのノリ、私たちの霊力の探究にも重ねられていいなあって思ってる。

 思ってるんだけど、実際の戦闘になると?

 マドカの「ない」とするはずの戦闘に偏る。あるいは、傾きそうになる。

 悲惨な方向へと傾いてしまうことを拒む私たちは、抗ってきた。幸いにして、悲惨な重傷者までは出していない。すくなくとも、身内からは。

 なので、免れるはずだし、免れていけるはず。

 実際、危険な暴行を伴う犯罪が発生しても、出動するのは警察であって私たちじゃない。大規模な戦闘が起きたら? やっぱりもちろん、私たちじゃない。

 まあ、そうはいっても東京湾にでっけえ巨人が出たぞーって騒ぎになったときにさ? 当然のように駆り出されたのは自衛隊じゃなくて、私たちなんですけどね……っ!

 ここが煮え切らない。

 目的が設定しにくい部分。

 ついでにいえば、どう区切るかがあいまいなままだと? 困るところ。

 どこまでいけばいいのだろう。どこまでやれるようになればいいのかな?

 どっちかな? って考えだすと、わりと沼。しかも底がないタイプ。

 区切り、その先は私たちはなにも考えない! だと?

 いざというとき、ぽかーんとした状態で身動きが取れず、刺激を無抵抗に受けることになる。

 なので区切るのはゴールでもなければ、バリアでも壁でもない。どちらに対して、現状の自分ないし自分たちはどうするのか、別々に考えるときのための手段に過ぎない。だから自分たちの領分じゃないと区切って終わりにするのは、個人的にはオススメできない。

 今後も現世での、被害が出る状況さえ想定するべき戦闘に出る可能性はある。否定できない。私たちがいくら学生だからとか、警察や自衛隊が活動するべきだーとか言ってもね? 巨人騒動のときと同じく、結局やっぱり私たちが一番ベターなタイミングだとわかったとき、なにもせずにはいられない。

 だからさ?


「でも結局、関わることになるんだよね」

「それ! そうなの! まさにそれ!」


 予想されうる可能性を提示する私にマドカは強く賛同した。


「祭りに話す内容かよ」

「たしかに!」


 キラリのツッコミにトモが豪快に笑う。あはははって。

 腹筋を使った景気のいいトモの笑い声、私はすごく好きだ。

 気持ちよく楽しげで誘われちゃう笑い方って、気持ちがいいじゃない?

 話を変えるなら、まさにいまがその瞬間に違いなかった。

 そして、


「やあ。春灯の考えるプランだと、去年の緋迎シュウのときみたいに、たまりにたまったストレスをわーっと出させて、出てきた邪を転化。理解し、負荷の源を特定。ケアして、なだめるみたいな流れでしょ?」


 山吹マドカはときにトモよりも素早く、それはつまり私たちの中で最速を意味するのだ。

 勝てない! 早さでは!


「まあね。といってもケアについて学んでないからよくわからないし? クオリティオブライフを求めるとしても、これまた同じ。ついでにいえば、知らないながらに言うと、とても長くかかるものじゃないかな」

「時間だけじゃ評価できないよねー。もちろんそう。風邪ひいて治すにしても、ちゃんと休んでるのか、むしろ街中ダッシュしちゃうのかーみたいな? 内容は大事」

「中身を気にしても、これほどのことをこんなにやってもだめー? として、苦しんでいる人を責める理由になっちゃ意味がないんだよなあ」

「わかってるって」


 ほんとかなあ。

 軽いんだよなあ! マドカの返事が!


「ほんとにわかってる?」

「んー。春灯が知ろうとしなきゃいけないって思っている方向性のこと、春灯と同じく私もちっともわかってないって自覚してる」

「……ふむ」

「お、わかってないな? その顔は!」


 マドカの返事が、どこへ向かうのかがよくわかってないもの!


「私も勉強してみるって言ってるの」

「……ほんとに?」

「そりゃあもう! なにせ、これからなにが起きるかなんてわからないんだから。やべえ組織は? 存在した。やべえ人は? これもまた、たくさんいた。ばかでかい巨人が東京湾に出現した」


 マドカが自ら発言を覆す状況を並べてみせた。

 お前がそれ言うんかい、とキラリが引いた顔して見てるけど、マドカは前だけを見つめていた。


「しかし、だからこそ仕組みがいる。良心はたやすく暴力による依存によって踏みにじられる、たよりないこどものようなものだもの。すくすく育ち、ころんでも、たおれても、風邪をひいても、元気になれる仕組みがいる」


 今日を含むごくごく最近の私の考えさえ吸収して、マドカは見逃さないように、前を見つめていたんだ。


「それはそばにいることかもしれない。看病することかもしれない。失敗できるよう安心できるなにかかもしれないし? 見守ってくれるなにかなのかも。けど、断じて、暴力を振るうことで保たれるものであってはならない」


 人が家庭でDVを行なうように、国が戦を起こす。国内で悲惨な暴力を振るうこともある。

 集団によるものとして捉えると、感情の慣性はすごく強そうに思える。

 一度でも加熱すると、なかなか下がらない。ゆえに、熱狂する。

 マドカの言うとおりだと、いまの私は思う。

 過剰になる。依存によって得たいものは増える。故にエスカレートする。さらに、連鎖する。それはさながら第二次大戦で連合軍である英米の空軍がドイツのドレスデンに行なった爆撃のように完全に、破壊し尽くす。

 だれかの闘志や怒りを燃料に、反発が燃え上がる。

 そうして、ますます過剰になる。

 終わりはない。

 関わった者のすべてが、もはや拳を振り下ろす先を見つけられなくなるまで、続く。だれかひとりでも残る限り、終わらない。

 なので自分がその輪にいたら?

 自分がいなくならない限り、終わりはない。

 いなくなっただれかの関係者がいる。延々と、繋がっていく。記憶が残る限り、なくならない。なので、過剰になるのが止まらない。

 一度でも始まってしまったら、止まらない。

 加熱するほど、規模が増すほど、止まるまでに果てしない時間がかかる。増えていく。何世代にもわたる規模で。

 悲劇は止まらない。過剰さによる一挙手一投足が、次々に新たな依存の需要を発生させる。しかし、暴力による依存を肯定してしまうと、これもまた止まらない。止まらないがゆえに、新たな依存のすべてで暴力による依存をしていく。

 連鎖するのだ。

 集団での暴力による依存であるのなら、止められる人間が大勢集まって留まろうとしない限り、加熱は止まらない。この依存は誤りなのだと、足を止められない限り、延々と続くんだ。

 たったひとつ、たったいちどの暴力による依存でさえ、学び、正し、習い、失敗を経験値にするまでに継続的に苦労するし、時間がかかるし、大変だし、ますます傷つくのに。

 ドレスデンの爆撃は大いに批判された。アメリカ空軍は我々はたしかに軍の工場を狙った、やっていないと違いを主張した。ならば東京の大空襲は? 広島と長崎への原爆投下は?

 この問いに対する答えを私は見つけられずにいるよ? もっとちびの頃に学んでからずっと。

 日本も日本でえげつないことをやまほどしてるよね。国民や兵士に対してもそう。自決前提の攻撃だってあった。捕虜になるくらいなら死ねと占領下の人々や国民に銃を向けた。ずっとずっと、どうかしてた。そして、だれも止められなかった。従うべし。それしかない風潮になんか、くそったれ以外の言葉がない。

 だけど第二次大戦期までの間に、日本に対する人種差別的な視点があって、反日感情が高まっていたろうことも、いろんなドキュメンタリー番組で見ている。なにせ、ほら。でっちあげで、飛躍しまくりな妄想による、あの優生学があるからさ? 当時は流行ってたからさ。なんなら日本でだって受けてたものだからさ? アメリカで当時はやっていた言説によれば、アジア系の人間ってどうなのかって話になるわけで。

 そりゃ戦後に国際的な声明として出るわけだよ。

 人種などない。すべての人はホモ・サピエンスだって。また、人種という言葉は人を卑しめるものでしかないから使用をやめなさいって。

 日本もアメリカも、当時かなりひどかった。どちらのだれもが、なにかのせいにするか、もう当時の実情を知ろうとせずにふたをしたくなるくらいには、むごたらしかった。

 そうした流れから見て取る人のむごさは、いまもしっかりと存在している。家庭うんちゃら学にも優生学の影響が見て取れる内容がある。まだ! 妄想に! 取り憑かれている! そんな集団があるのだ。当時の日本に見て取れるファシズム感、私が生まれる前に、ほんとにちゃんとなくなったのかな? 優生学やファシズム、戦争や戦いを美化したり、亭主関白や昔の日本のだめなところを崇拝する時代錯誤な思想が、やべえ人たちの中に息づいていたりしません? これがなによりも恐ろしいところ。ぷちたちといるときに声をかけられて、心底ぞっとしたもの。

 そんな過去の妄執、妄想、暴力による依存なんかに巻き込まれたくなんかない。また、巻き込もうとする動き自体を拒む。

 断固、拒絶する。

 ここで荒ぶるくらい、私にも、むごさに対して過剰な反発がある。ずっと続いて、私の中に芽吹いているもの。根を張っているものが、明らかにある。

 山都のダイアナに問われた「あなたは活動しないの?」に対する答えにしたくなるほど、強い衝動だ。これは。

 けれどやっぱり、暴力による依存でことを達成しようと狙っても、ならん!

 それは、ならん。

 ルーズベルトが亡くなってトルーマンが大統領になり、九州侵攻作戦について自軍の損害を楽観主義により低く見積もられた内容を告げられてしぶしぶ承諾。オリンピック作戦が遂行されたという。オリンピックだってさ?

 そういえば東京でやるっていってたっけ。

 さておき、大変だったみたいだよね。ソ連の侵攻。当時はスターリンの掲げた共産主義が拡大しようとしていて、日本までもがソ連に飲まれると? アメリカにとっては困る。日本は当時、真珠湾攻撃という実績を作った。ソ連が勢いをもって、同じ動きをしたらどうなるか。

 故に急ぐ。急ぎたい理由がある。

 そのためにどうする? 何万もの爆弾を落とすか、一発の原爆を落とすか。

 倫理と道徳を原動力に、反対した人もいたという。リーヒさんだったかな。

 だけど、ね?

 原爆は当時、政権にとっても非常に繊細な存在だった。なにせルーズベルトはトルーマンに内緒にしていたし、トルーマン政権もまた国民に秘密にしたそうだ。

 研究者の中には、この使用を止めるよう請願した人もいたそうだし? ポツダム宣言もあったし。だけど軍の強硬派が強く反発、降伏の機会を逸した。

 とうとう、広島に原爆が落ちた。

 トルーマンの声明が出て、東郷が降伏を求め、けれど軍部は取り合わなかった。東京の惨状もあったから軽く見積もったともいう。会おうともしなかった。ソ連はソ連で急いだ。侵攻することによって得られる利権を求めて。

 そして次に長崎に原爆が落ちた。広島のものより強い原爆が。

 喉元に刃を突きつけられたから降伏を、と認識した者もいるかもしれないけれど、実際には手足を切り落とされ、腹を裂かれて死ぬ寸前。治療を受けて生きたくば降伏を、という状況だ。

 あまりにも遅すぎた降伏は、けれど国内にあまりにも長すぎる時間をかけて育まれた前提によって、その速度になった。

 人が集まり、集団となる。集団がさらに集まり、都市になって、国になっていく。人の集合体は巨人のように膨れあがり、そこで行なわれる依存は変化に時間を伴う。とても、膨大な、時間が、かかるのだ。

 核攻撃による暴力は、いまもまだ、続いている。影響は想像よりもずっと長く、長く、残り続ける。

 当時、日本が侵略した先々で過ごす人たちの中にもまた、当時の暴力による依存を糧に行なわれた敵意を形にした影響は、いまも、ずっと、残り続けている。

 それと同じで、生まれ、育っていく過程で受ける暴力による依存もまた、長く、長く、残り続ける。

 暴力による依存を是とする人は、今日ではあらゆる意味で否定されている優生学を求める人と同じように、暴力による依存にて、その先を求める。

 そこまでじゃないぞ? 自分はだいじょぶだぞ? と区切りをつけずに考えたい。

 私たちは刀を持っている。現世のものを斬れず、斬る必要もなく、しかし隔離世に生じる欲望から育つ邪を斬れる力を持っている。

 そうでなくても、言動はときに刀となる。

 昔、侍たちの中には暴力による依存を是とする者が多くいたろう。男たちだ。いずれもみな。

 私は彼らにさえ、言い続けられるだろうか。その刀を下ろして、と。帯刀してはしゃぐ男子のような人たち相手に。

 言葉だけじゃね。

 届かないし、足りない。

 暴力による依存を行ないたいとき、そこにさえ願いがある。欲求がある。その先を、縦横無尽に辿ると? あんがい、原点は暴力と関係ない、安全基地を求める願望に行き着くことがある。

 すくなくとも、私が士道誠心に入学して体験した事件で、言動を刀にして、暴力による依存を求めた人たちみんな、そうだった。

 ふわふわっと花がいるっていうんじゃあ、足りない。

 悲しいけどね。ヒトラーは絵を描いたそうだ。当たり前だけど、人はみな同じ人なのだから、趣味もあれば恋もするし、やらしい気持ちになったり、もりもり食べたり、うんちを出したりする。

 なので、もっと具体的に考えていきたい。

 第二のヒトラーみたいなのが出てきたとき、そういう人がもしも相手になったとき、私とみんなとで止めて、QOLやケアに持っていけるようにするために。あるいは、そうなるに至った原点が見えるように。

 でも、まだまだ足りない。

 クリミナル・マインドのやべえ犯罪者たちの中には、あまりにむごい人生を過ごして認識と手段の乖離が激しすぎて、どうすることもできない人もいた。

 現実はもっと複雑だし? 私はあのチームの一員に選ばれるほど学んできたわけでもない。

 だから情報を見ても、あのチームみたいに整理できるわけもなければ? もっとたくさんの情報に触れて、ますます混乱するにちがいないのだ。ドラマじゃやっぱり、わかりやすくしてるもの。さすがにね!

 それにさ?

 問いも答えも見つけられていないし、気づけていないものが多いぞ? って考えたようにね?

 ウィザードやシュウさん、教授やアダムに対処できたとしても、それがそのまま、次のだれかに当てはまることはない。

 ないよ。

 クリミナル・マインドならチームで、事件が起きたから呼ばれて、それを解決するという流れがある。犯人逮捕、人質がいたときや、犯人がだれかを捕まえているときの確保方法など、綿密に練られたチームワークやマニュアル、その外から逸脱した状況への対処力と、これまでの事件の数から見れる傾向と対策みたいなのがあるけどさ?

 私たちには、そんなのない。むしろ、いまから作っていくし、失敗を経験値に変えていく段階。彼らが雄々しいドラゴンなら、私たちは生まれたてのトカゲちゃんみたいなもの。

 しかもさ?

 彼らだって、同一視して手を抜くなんてことは絶対にしない。

 なら私は?

 もっと気をつけても足りないくらいだ。


「だだもれー」

「おぅっ」


 マドカが私の左耳の耳たぶをぎゅっと引っ張る。

 一センチくらいだけど、頭がかくんと倒れたよ! びっくりするよ!?


「みんなで仕組みを作ってく。変身は! 間に合わなかったけどねー」

「うっせ! 別に今日で世界が終わるわけじゃなし」

「だね」


 キラリをいじり、きちんと反撃を食らい、軽く笑ってうなずいてみせる。


「相手に着させて、なにか探れないか調べられるようにできても、面白いもんね?」

「相手を変身させちゃう必殺技?」

「よくない?」

「……またさらなる課題を増やしやがって」

「増えるでしょー。増えていくんだよ? ねえ、春灯!」


 そこで私に振るんかい。

 自分でオチをつけることだってできたはずなのに!


「まあね」


 いいけどね!

 わからないもんなあ。わからないよ。

 過去にさ? きっといた。帯刀男子だらけの中で、なんっとか! もうちょい、仕組みでみんなが楽になれる術はないかなーって考えたり。まさに侍の中にも、試行錯誤をした人もいるだろうし。

 私が気づいていないだけで、いままさに、そういう仕組みがあるのかもしれないよね。当たり前になりすぎているだけでさ。そういうものに気づけたら? さらに先へ繋げていけるかも。あるいは、これそろそろ止めたほうがいいぞ? とか、そろそろここ変えたほうがよさそうだぞ? って、さらなる気づきに出会えるかも。

 どれも具体的じゃないな~!

 今夜はお祭り。

 ぷちたちが尻尾で安心に過ごせるなにかを作るところから、具体的にしてこっかな!

 ひとつずつだ。

 なんで長くなるのかって?

 ひとつ解決するのが、めちゃくちゃ大変だからだよ!

 だからコスパ悪いって話になるのだし? やめとけって話になるのだ。大勢を巻き込めば巻き込むほど、めちゃくちゃ大変な後始末が増えていくからね!

 そうなる前に、アラートを。

 失敗してもいい。むしろ、失敗したら積極的に言ってこう。

 だいじょぶ。

 ちょっとでも「うん?」って引っかかることがあったら、迷わず言ってよ。

 安心してほしいんだ。

 なんとかするし、なんとかなるからさ?

 そう言えることを増やしていく。それもまた、安全基地の大事な部分。

 ヒロアカでさー。初期しか追えてないんだけど、オールマイトっていうつよつよヒーローが言うわけ。

 だいじょうぶ! 私がきた! みたいなこと。

 あれほんと、かっこいい。ヒーローそのものって感じ!

 ほしいのは、あらゆる場面でのだいじょうぶ! なんだ。

 親とケンカしても、学校でへこたれることがあっても、受験でしくじっても、就活で落ちまくっても、きちんと安心して戻れる仕組みがほしい。

 そんなの、ひとつじゃないし?

 公式を作るなんて言ってられない。まだまだとても無理! 売れる歌を出す公式も、売れなかった状態から売れる状態に繋げる公式も、知らない・持たない・わからない。暴力による依存を引いたら? まず無理じゃない? いまの世の中、暴力による依存を前提に回っている部分も悲しいかなあってさ。私はそれを肯定しないから。ますますもって、いますぐはとても無理!

 なので、ひとつひとつ。

 こつこつとやるよ?

 だいじょうぶ。みんなといる。一緒に挑んでくれるみんなが、私に大好きって気持ちを届けてくれた。

 だから、だいじょうぶ。

 いつか出会うかもしれない、あなたへも。あなたたちへも。

 だいじょうぶ。さあ、ゆっくり休んで。次へいこうよ。




 つづく!

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