7年が経ちました
転生したのだと自覚した赤子から7年の年月が経ちました。本来ならば小学生くらいでしょうか。
7年の間に分かったことも結構あるんですよ。
まず私は裕福と言うか貴族に産まれました。
「フィオナ、こっちにいらっしゃい」
柔らかい笑で私を見ているのは母のアリア・ヴェルガン。私は貴族らしく母様と呼んでいます。ちなみに父はラジ・ヴェルガン。父様です。
母様は銀色の艶のある髪にアイル・トーン・ブルーの瞳。その瞳はとても綺麗で見るものを引き寄せてしまうほどです。
「フィオナ?」
首をコクン、と傾け私の名を呼ぶ母様。どうやら私の反応がなかったのが原因でしょう。
首を傾ける母様の表情はどこかあどけなくとても20代後半だなんて思えません。
「母様、にー様はどこですか?」
そう。なんと、私にはお兄さんがいたのです。3歳年上の。
名はリアム・ヴェルガン。ガードゥン・プールの髪にそれと同じ色の瞳。銀に近く少し水色がかった、にー様は私にとても優しくしてくれます。
でもにー様と私は血の繋がりがありません。聞いた話によるとにー様は相手国からの進撃の際、母親が亡くなりそこ1人でいたところを父様達に保護されたそうです。
今となっては大切な家族の一員として生活しています。
「リアムはきっと自室で読書でもしてるわよ」
フィオナは本当にリアムが好きね。と、笑いながら母様が言いました。まあ、にー様のことは好きなので反論出来ません。
「リアムと寝たかった?」
ふふ、と母様が優しく問いかけてくれます。
「・・・はい」
前世で兄弟のいなかった私としては兄がいる今の状況が嬉しいです
「リアムのところに行かなくてもいいのですか?」
「にー様のお勉強の邪魔をしたくないので」
なんの勉強かと言うのはまた明日。
子供の私はおねむの時間です。中身はどうであれ子供ということで早寝早起きがモットー。自然と時間が経てば瞼が閉じていきます。
眠る間際に母様の声が「おやすみなさい。フィオナ」と頬に優しくキスをしてくれました。
幸せな家庭に生まれたなと思い、大人になったら私も母様達を幸せにしてあげたいなと感じます。暖かい気持ちになりながら私は眠りに落ちます。
アリアside
フィオナが眠りについて暫くしてラジが部屋に入ってきます。ラジも此処で一緒に寝るのですが色々と仕事があるそうでフィオナが寝た後に帰ってくるのです。
「フィオナはもう寝たのか?」
「ええ。今はもう夢の中だと思いますよ」
「そうか」
フィオナを見つめるラジの目は慈愛に満ち愛おしそうに我が子を見ています。フィオナが可愛いのはとても分かります。
フィオナはどちらかと言うと私に似ています。銀の髪色にクリスローゼの瞳。瞳の色はラジと一緒ですが。眠る我が子の姿は愛らしく小さな寝息を立てスヤスヤと気持ちよさそうにしています。
見ているだけで幸せな笑が零れてしまいます。勿論、リアムも可愛い我が子です。例え血が繋がっていないとしても大切に育ててきた我が子。
リアムも慕ってくれているフィオナのことを大切にしています。
幸せな家庭に日々過ごしている私は幸せですね。
そう思いながらフィオナを真ん中に挟みラジと一緒に眠りにつきました。