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≪あなたは、私の魔王さま?≫[第1話]

 部活を終わらせ、悪友の総一と別れ帰路につく。

別れ際に「明日の宿題よろしくな」と残すあたりさすがである。

悪友の顔を思い出し、昼間の激辛うどんでヒリヒリする唇をなぜる。

今日も一日が平和平凡に過ぎようとしていた。


『やっと見つけた…』

「ん?」

 デジャブ?最近どこかで聞いた事のあるような。

うーん思い出せないな。


「やっと見つけた」


 今度はしっかりと女の人の声が聞こえてきた、

しかしながら少し見渡してみてもそれらしい影も見当たらず、

ここにいるのは自分だけのようだ。


「やっと見つけたわ!あなたは、あなたは私の魔王よ!!」

 木枯らしふく冬の日暮れの早い夕焼け空、

今の今まで誰もいなかった、オレンジ色に染まる坂道に突如目の前に現れた少女。


 不意の出来事でめんくらい、たじろぐ。しかし本当に驚かされたのはこの後の事、

急に抱きつかれた。


 抱きつかれたのだ。


 全く予期せぬ出来事で思考がシャットアウト、

これまでの人生で抱きつかれたこと皆無の光一、完全にパニックに陥っていた。

少しでも冷静になろうと深呼吸をして、抱きついてきた少女を見下ろす。


 全く見覚えの無い少女、外見から判断して十五前後、

しかしそんな事がどうでもよくなる様な奇抜な格好をしているのだ。


 あまりに自分があたふたしていたのだろう、

少女に大丈夫?と声をかけられた。


「ああ?あのっ、オレが間違ってなければ初対面だよな?」

「そうね、あなたの言う通り初対面ね」

「で、さっきの魔王って何だよ魔王って…さっぱり理解できないんたけど」

「魔王は魔王よ?、魔界の王様。あ、自己紹介がまだだったわね、私はマール」


 全く話を変えて自己紹介を始めた、少女は『マール』と言うらしい。


「君は何者なんだ?」

 あんな格好で抱きつかれたら誰もが思う事だろう。

しかしマールが手を前に突きだし質問を止められる。


「待って今度は私の番、私だってあなたの事知りたいんだから、あなたの名前は?」


「小泉光一、灯夜高校二年B組十四番これでいいだろ?、

さっきも言ったが君は何者なんだ?」

「光一ね、わかったわ」


 背中の方に指をさして、羽をパタパタはばたかせる。

「見て分からない?悪魔よ」


…パニックのうわがさね状態だが二つの解答が導き出された。

一つ目は、この少女は可哀想な事に頭がやばいのか、

二つ目が、オレは今実は家庭科の授業中で、涎で机に湖を作っている最中かだ!


 おもむろに頬をつねる、ひっぱる、ねじる、結構強く。

「うん、いたひ、夢ではなさそう」

 結果、後者ではないようだ、夢の中でつねって痛かったら別だが。


 残るは…、少女との距離を一歩だけあけ。

「マ、マールちゃんは頭とかに電波とか受信して無いよね?」

 失礼極まりない質問、うん言った後に後悔。


「無いわよ!!それとちゃん付けは止めて、光一の何倍も生きてるんだから!」

 ぷんすかと形容するしかない状態だ、湯気まで出始めてるよ。

「じゃあ、これを見ても信じられないかしら?」


 右手を前につき出される、その手がほんのうっすら光ってみる。

「ダークボール」

 手の前に野球ボール位の黒い玉が出てきて、バチバチ音を立てている。

かなり危険な香りがぷんぷんする。


「えい♪」


 黒い玉が自分のすぐ近くの木にヒット、ぶしゅぶしゅ音を立てて塵と化す。


「絶句!!」

「どう?これでも信じられない?」

 笑顔が逆に恐い、夢であって欲しいが、高温で焼けた木の匂いが現実だと教えている。


 マールに頭から足の先までじろじろ見てくる。

「光一?魔力が感じられ無いんだけど…私は疎い方だからはっきりと言えないけどね、

あなた魔王よねっ?」

「…しるか!!いきなり現れたヤツに『あなたは魔王よ』なんて言われて、

オレが分かるかよ、なんでオレなのかこっちが聞きたいくらいだ」

「あ、聞きたい?それならゴソゴソあった!これこれ」

 捕捉が必要だろうゴソゴソはちゃんと彼女が言っている、セリフである。


 少女が取り出したものはまさしく見間違えることなくドラ○ンレーダー。

「これは私が仕えていた前の魔王様がくれた遺品で、

これを使って異世界から新しい魔王を見つけて来るのが魔王様からの最後のお仕事。

で、これを使って見つけたのが小泉光一あなたよ!」

 決めにマールがビシッとゆびを指す。


「それで俺に何をしろと?」

「光一には魔界に行って魔王に成って貰うの。今魔界では魔王大売出しな程魔王がいて、

そこで天下をとって本当の魔界の王、大魔王に成って貰いたいの」

 言ってることは本当だろう、記憶に新しす過ぎる塵と化した木を思い出す、

どうやらとんでもない事に巻き込まれてしまったようだ。


「もしここで断ったらどうなる?」

 と言うか普通断る!悪徳勧誘を断れなくても、ノーが言えない日本人でも、コレは断る!


「普通に殺すわね、そうしたら魂を食べてあげる。

それに魔界に行けばメリットもあるよ、魔界にはココでも価値のある宝がいっぱいあるし、

光一が魔界で手に入れた財産を持って帰ればかなりの金額になると思うわ、

簡単に遊んで暮らせるだけは稼げる。魔界で中魔<なかま>でも作れば世界征服も夢じゃない!!

それにそれに可愛い悪魔だって多いし魔王になればモテモテよ?」

 最初怖かったマールの顔が最後には必死で涙まで浮かべている。


うっ・・・世界征服はどうでもいいが、遊んで暮らせるのにはちょっと引かれる、

どうするか・・・


選択肢  魔王になる or 魔王にならない


 ハァ〜もう吹っ切れた、死ぬよりはマシだろう?

小泉光一17歳はあの黒いボールに当たって死んだ事にしよう。


選択肢 ≫魔王になる or 魔王にならない


「断ったら殺されちゃうんだろ?魔王とやらになってやる」

 マールが意外!と驚いた顔をした。

「え?いいの、本当にいいの?危ないよ?死んじゃうかも知れないんだよ?

無理やりでも連れて行こうと思ったのに?」

 おい!さっきと言ってる事が違うぞ。


「ああいいよ、金稼ぎ?にも興味があるし、家庭科で涎を垂らしながら寝てるより、

オレを必要としている面白そうな事に命を賭けてもいいんじゃないか、ってね」

 総一が居ないのが残念だ、彼の方がこの話に食いついただろう。


 少女がはにかむ様にニカッと笑いながら抱きついてきた、

今さらまじまじと感じたがとてつもなくかわいい。

「お、おい抱きつくなって」

 顔が赤くなってるのが自分でも分かるくらい熱くなっている。


「さて、じゃあ今から魔界に行こう!」

「え?今から?でも、いきなりっ?何かと面倒な事に…」


「平気よ、魔界とこっちの世界じゃ時間軸が全然別物…らしい。

と言うか、ま〜そんな感じだから千年経とうが二千年だろうが戻ってくるのは今、

ちょうど今に戻ってくるハズ。よし、問題ない。じゃ行こう」

「え?ちょっ、ちょっ?」


 半ば強引だがこうしてオレの魔王生活が始まったのだった。


はい

読んでいただきありがとうございます、阿山利泰です。


やっと、話が始まってきました。

どうでしたでしょうか?気に入ってもらえれば幸いです。

続きはこれから編集ですので少し時間があ入れしまいますが、どうか良しなに。

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