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奴さん物語

作者: 山 士老

        <分からなくなつた奴>


外は木の葉が散り始めている。


綺麗は、コートの襟に首をすくめて入つて行つた。


中は、ざわめいていたが、丁度受付けが空いている、


「どの科にしますか」


「一寸相談したいんですけど」


「はつ、どこが悪いんですか」


「私でわないんですが、主人のことで、、、、具合が悪いもんですから」


「どんな症状なんですつ」


後に二、三名並んでしまつた、


「一寸、、、先生にお会いしてからと思つて」


受付の女の子は黙つている、そして


「内科を紹介しましよう」


「出来たら女の先生が宜しいんですけど」


受付は、けげんそうにしながら


「耳鼻科でいいんですか」


「は、はい」


綺麗は思わずうなずいた。


「どうしたんです、」


ネガネごしに振り向いて椅子を回した。


「あのー、ご相談したいんですけど」


「どうしたんですか」


老女医は、また聞き返した、綺麗は意を決して抑揚を出して語りだした。


「実は、主人のことですけど、、、」


「耳ですか、鼻ですか」


「両方なんですけど、、、夜になると怖いんです、、、主人は三ヶ月まえに交通事故


に会つて、頭を打ちまして、一時はどうなるかと思いましたが、内科だけの治療で


十日程度の入院で良くなつて仕事にも復帰することが出来ました、私達は結婚して


八年になりますが未だ子供は居りません、主人が退院するさいに先生に呼ばれまし


て後遺症が出るかも知れませんからと、言われていたんですが」


女医は、後ろ向きに聞いて、


「何か症状が出たんですか」


と、急かすように言つた。


綺麗は一段と声を張り上げて、


「は、はい、一週間位前から、夜の行為が異常としか思えません」


女医が振り向いた、


「私は床につくとき、とても恐いんです、、主人はスポーツで鍛えた頑丈な体なん


です、それが寝床に入ると私に寄りついてくるんですが」


声が小さくなつたり大きくなつたりしてくる、


「抱きついてきて、、、行為を始めようとするんですが、、、、始めは、私のオヘ


ソを吸つたりしていたんです」


「下の方ではないんですか」


女医は椅子を廻して向き合つた。


「そうではないんです」


綺麗の長いまつ毛がうるんでいる、


「それがオヘソに入れようとしたんです、私は驚いて、貴方、何するのと突き飛ばし


たんです、私は今迄どおり気持ち良く迎え入れようとしたんですが、、、それが、


主人は体力があるものですから何回も抱きついてきてオヘソに大きな彼を向ける


んです、私は泣きながら、貴方こつちではないよ、あつちだよと言うんですけど


、、、、」


器具をガチャ、ガチャさせていた看護婦が、いつの間にか側に立つている。


「それが近頃はオヘソだけではないんです、私の鼻の穴にも、目の中にも、私の


体のへこみや穴を探して突つ込もうとするんです、、、、肝心の下や口には少しも


興味を示しません、、、」


途切れ、途切れに披露していく、


「二、三日前から一諸には休めませんので、私は応接間に鍵を掛けて独りで寝てい


るんですが、夜中に一時間位ドンドン、ドアを叩くんです」


肉付きのいい綺麗の体が、かすかにふるえている、女医と看護婦が目を見合わせて


ニヤツト笑つた。


「夕べは大変だつたんです、夜中トイレに起きたんです、応接間のドアを開けたら


主人が毛布にくるまつて座つているんです、足に抱きつかれて倒され、毛布で腰を


巻かれ、頭に太い彼を持つてきたんです、私は必死でした、そんな時、主人は声は


出さないんです、息だけが荒々しくなるんです、真面目な顔して目を輝かして居り


ます、、、私は目も鼻も両手で強くふさいで、体を横にして床に引ついて大声を上


げてもがいたんです、そしたら主人は私の頭を押し付けて髪をかき分け、興奮した


彼を私の耳に差し込もうとしたんです、私はもう逃げるのに本当に必死だつたんで


す」


女医が髪をかき分けて綺麗の耳をさわつた、


「こつち側なんです」


彼女は右耳を向けた、耳たぶの厚みのある小さい耳が周囲を赤くして耳穴が少し青


みがかつている。


「ご主人は普段はどんなですか」


「普段は大変思いやりのある優しい人なんです、私は主人の優しさに惚れたんです」


「いえ、そうじゃなくて普段は何か変わつたことは無いんですか」


「はい、全然事故前と変わりません、仕事も真面目に勤めていますし、昼間の生活


も楽しく出来ているんです、ただ、時々夜のことを私が問いただすと、済まん済ま


ん気をつけるからと、可哀相なくらい何回となく詫びるのでそれ以上言えないんで


す、そしてお詫びのつもりと言うのでしようか、前より頻繁に、帰りにおみやげを


買つて来るんです」


少し間を置いて綺麗は、


「何か良い方法はないでしようか、主人にも病院に一諸に行こうと言うんですが、


頼むからそれだけは勘弁してくれのいつてんばりなんです、私は子供が欲しくて、


主人には色んな栄養をつけて毎晩頑張つて貰うようにと、やつているんですが、こ


んな具合になつて、、、、」


涙を落としながら、


「先生、良い知恵を貸してください」と、哀願した。


「うーん、、、と言つても、耳鼻科だしねえ」


女医は綺麗の耳をのぞいて考えこんだ、


「そうだ、これやつて見たらどうでしようか」と、つぶやきながら、そばに立つて


いる看護婦に自分の耳をつまんで、


「これ持つて来て」と、告げると、了解の目くばせをして看護婦は出て行つた。


やがて、看護婦は大きな薬袋を持つて来て女医に差し出した、


女医が「これ、これ、これ」と、言いながら袋から取り出した。


綺麗は目をみはつて見つめている。


巧妙にゴムで作られた耳が三個、女医の掌に載つている。


「これを貴女、セツトしてごらん」


綺麗は意味が良く呑み込めない、


「どれが合うかオトイレで貴女のあそこにセツトしてごらん、三つとも持つていつ


て、どれが良くフイツトするか」と、無造作に手渡した、そして


「待つて、この鏡で同じように見えるか良くみてえ」と手鏡を取り出してやつた。


綺麗は複雑な心境と、たかなる豊かな胸を抱いてトイレ向かつた。


内鍵をきちんとして、手鏡をかざして、一つびとつ慎重に差しはさんでくわえさせ


てみた、少し大きめの耳が穴目もよく合つて、きれいにフイツトしている。


そして、うなじの後れ毛のようにゴムの耳に濃い下毛がかかつている。


綺麗は思わず微笑んで、下腹に力を入れて手鏡を見つめた。


何となくゴムの耳が赤らんで見える。


                                (了)










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― 新着の感想 ―
[一言] これは推理小説ではないように思います 誤字が目立ってました
[一言] ……大文字なのは味がでているとは思いましたが、これは推理小説なのでしょうか? ……どちらかと云えば文学などにおいた方がいいのではと思います。 もしくは、僕の読みが浅いのでしょうか? ……まあ…
[一言] いろいろと意味が分からない;そして微妙に18禁のほうに載せたほうがいいのでは?
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