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第29話:教皇の親書と、全自動「謝罪用・高速土下座マシン」

教会の特使も聖騎士団も、肉一切れとマシュマロのクッションによって完膚なきまでに懐柔された。その衝撃的な報告は、魔法通信を通じてすぐさま『聖天教会』の本山へと届いた。


数日後。


空の神殿船から這い出してきた枢機卿(現在は肩揉み機の錘兼、雑用係)の元へ、一羽の黄金の伝書鳥が舞い降りた。それは最高権威である教皇からの、ゼノス宛ての「親書」だった。


「……ゼノス殿、教皇聖下からの親書です。どうか、どうかこれ以上、我々を晒し者にしないでいただきたい……」


枢機卿は、俺が作った『全自動・草むしりサンダル』を履かされ、強制的に庭の美化に協力させられながら、震える手で封筒を差し出してきた。

俺が手紙を開くと、そこには美しいカリグラフィーでこう記されていた。


『親愛なる呪具師ゼノス殿。我が部下たちの無礼、深くお詫び申し上げる。ついては、和解の証として教会の聖域に秘匿された「神の涙(究極の魔力結晶)」を贈呈したい。一度、本山へお越しいただけないだろうか』


「……ゼノス様。この手紙、インクの裏に『精神支配マインドコントロール』の呪いが薄く塗り込まれています。教皇とやらは、主様を直接おびき寄せて操るつもりのようですね。不愉快です。今すぐ本山ごと消滅させましょう」


ミーシャが背後にどす黒い魔力の炎を浮かべながら、手紙を睨みつける。


「まあ待って、ミーシャ。せっかく向こうから『素材』をくれるって言ってるんだ。断るのは失礼だよ。でも、わざわざ行くのは面倒だから、こっちから『返事』を送ろう」


俺はそこらへんに転がっていた「錆びた鉄屑」と、聖騎士たちが飲み散らかした「安ワインの瓶」を手に取った。


【スキル:概念反転・長距離空間転移デリバリー・カーズ発動】


「トントン、と」


【作成完了:神話級アイテム『全自動・謝罪用・高速土下座マシン』】


それは、人の形をした金属製の自律人形で、胸部には教皇への返信文が刻まれている。

俺がゼンマイを巻くと、その人形は凄まじい速度で空へと飛び立ち、教会の本山がある方向へと消えていった。



数時間後。教皇庁の広場。


豪華絢爛な玉座に座り、ゼノスが来るのを待ち構えていた教皇の目の前に、突如として俺の人形が降臨した。


「な、なんだ!? ゼノスが降参しに来たのか!?」


教皇が期待に目を輝かせた瞬間、人形が作動した。

『――誠意が足りないようなので、代行します』という俺の録音ボイスと共に、人形は教皇の目の前で、音速を超える速度で「土下座」を繰り返した。


ドゴォォォン! ドゴォォォン!!


一回打ち付けるごとに、教皇庁の床に巨大なクレーターが穿たれる。その衝撃波だけで、周囲の高価な聖遺物やステンドグラスが粉々に砕け散った。


「ひ、ひぃぃぃ! 止まれ! 誰かこの不気味な機械を止めろぉぉ!!」


教皇の足元まで地面が砕け、彼の豪華な法衣は土埃で真っ黒に汚れ、威厳は文字通り「粉砕」された。

しかも、この人形には『神の魔力』を吸い取って動き続ける永久機関が内蔵されている。教皇が「神の奇跡」で抵抗しようとすればするほど、土下座の速度と破壊力が増していく仕様だ。

結局、教皇は自らの命を守るために、全大陸に向けて「私が悪かったです、ごめんなさい」という公式声明を出すまで、その超高速土下座の風圧に晒され続けることになった。


「よし、これで教会の『神の涙』も、宅配便で届くはずだ」


俺はミーシャが淹れてくれたお茶を飲みながら、遠くから響く微かな振動(教皇庁が叩きつけられる音)を心地よく感じていた。

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