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俺だけスキルを売れる世界  作者: 暁月るくす


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3/3

第3話 はじめての依頼

翌朝。


まだ朝霧の残る街門を、アルトは一人でくぐった。


昨日、ギルドマスターから受けた依頼。

街の周辺で増えている小規模モンスターの討伐。


危険な任務ではない。

だが、アルトにとっては初めての正式な依頼だった。


「……よし」


腰の短剣を軽く叩き、アルトは街道を歩き出す。


街を少し離れると、景色はすぐに森へ変わった。

木々の間を抜ける風の音。

湿った土の匂い。


アルトは周囲を警戒しながら進む。


そのときだった。


草むらが、小さく揺れた。


「来たな」


次の瞬間、灰色の影が飛び出す。


ウルフだった。


牙を剥き、低く唸りながらアルトへ飛びかかる。


「っ!」


アルトはとっさに身を引き、短剣を振る。


金属の刃が狼の体をかすめた。


ウルフは着地するとすぐに向き直り、再び構える。

普通の人間なら、ここで恐怖に足が止まるだろう。


だがアルトは違った。


「来いよ」


ウルフが飛び込んでくる。

その瞬間、アルトは体を半歩ずらし、短剣を突き出した。


刃が狼の胸を貫く。


ウルフは小さく鳴き、地面へ崩れ落ちた。


静寂が戻る。


アルトは息を整えながら、倒れた魔物を見つめた。


「……これで」


そのときだった。


魔物の体から、淡い光が浮かび上がる。


光はゆっくりと形を変え、

やがて小さな結晶になった。


青白く輝く宝石。


アルトはそれを拾い上げる。


「やっぱり……出た」


手の中の結晶が、静かに光っている。


モンスターのスキルを結晶化する能力。


それが、アルトの力だった。


「これが売れれば……」


そこまで考えたとき、


「へぇ」


背後から声がした。


アルトはすぐ振り向く。


木の上に、一人の少女が座っていた。


枝の上で足をぶらぶらさせながら、こちらを見下ろしている。


短い銀色の髪。

軽装の防具。

腰には二本の短剣。


いかにも素早そうな冒険者だった。


「今の、あんたがやったの?」


少女は楽しそうに笑う。


アルトは警戒しながら答えた。


「……見てたのか?」


「途中からね」


少女は木から軽く飛び降りる。


地面に音もなく着地した。


「私はミア。この辺で依頼受けてる冒険者」


そう言って、アルトの手の結晶を見る。


「それ……スキル結晶でしょ?」


アルトは少し驚いた。


「知ってるのか?」


「そりゃね。珍しいけど」


ミアは目を細める。


「でも、モンスターから直接作るのは初めて見た」


アルトは結晶をポケットにしまった。


「まぁ……色々あってな」


ミアはしばらくアルトを見つめる。


やがて、ニヤリと笑った。


「ねぇ」


「なんだ?」


「その能力、結構面白い」


ミアは肩をすくめる。


「一人でやるより、組んだ方が効率よくない?」


アルトは少し考えた。


確かに、戦い慣れている冒険者がいれば助かる。


「……報酬は?」


ミアは笑う。


「モンスターは半分。結晶はあんたのもの」


悪い条件ではない。


アルトは小さく息を吐いた。


「……いいだろ」


ミアの顔が明るくなる。


「決まりね」


森の奥から、遠くで魔物の唸り声が聞こえた。


ミアは短剣を抜く。


「ほら、次が来るよ」


アルトも短剣を構える。


初めての依頼。

そして、初めての仲間。

第3話を読んでいただきありがとうございます。


今回は、アルトがギルドから受けた最初の依頼として、街の外でモンスター討伐に挑む回になりました。

実際に戦い、スキル結晶を手に入れる場面を書くことで、アルトの能力がどんなふうに物語に関わってくるのかを少しずつ描いています。


そして今回、新しくミアという冒険者も登場しました。

軽い雰囲気のキャラクターですが、今後アルトの冒険にどう関わってくるのか、楽しみにしてもらえたら嬉しいです。


次回は、アルトとミアが協力してモンスター討伐を進めていく展開になる予定です。

もしかすると、少し珍しいスキル結晶が登場するかもしれません。


ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。

よければ感想やブックマークなども励みになります。


それでは、また次の話でお会いしましょう。

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