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わんこな旦那様の胃袋を掴んだら、溺愛が止まらなくなりました。  作者: 楠ノ木雫


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15/46

◇15


「――神のお導きがあらんことを」



 ようやく旦那様が帰ってきて、まず最初に無茶ぶりをしてきた大仕事を終えた。跪く旦那様の頭上に手を置き、ネックレスに触れつつも子息に告げられた神様からのお告げを一語一句漏らさず唱えた。はぁ、愛する人なんて言いたくなかったのに……と内心思ってはいたが。



「ムセラス教皇からこんなご配慮をいただけて光栄だよ」


「そう、ですね……」



 はぁ……陛下に挨拶に行ってから帰るって言ってたけど……きっと大騒ぎだったんだろうな……はは。考えたくない……


 お茶会で陛下からその話を出されたら、私なんて言えばいい? ただの健康オタクの集団ですって言っちゃっていい? いいよね? ……ん? ちょっと待て。お茶会?


 私、なにやら重大な事やらかしてない……?



「さて、じゃあ食事しながら話をしようか」


「は、はい……」



 そういえば、私領地に行くよう言われるんじゃなかったっけ……? いや、でも立場上それは難しいだろうし……


 そんな考えが頭の中でグルグルしつつも、私は食堂に向かった。旦那様は着替えてから食堂に来るらしい。


 でも、さ……あの夫人達、旦那様とあのご令嬢は愛し合ってるって言ってたし……側室にすると言っていたんだっけ。まぁ、今朝の事が引っかかるけれど。


 となると、私は別邸に移動という事になるのかな。まぁでも、別に私はそれでもいい。美味しい料理を食べて楽しくリーファ達と過ごせればそれでよし。


 別邸であればたとえ側室が迎えられたとしてもそれは普通の事だし。暁明のお父様が何か言い出しそうではあるけれど、お母様にお願いすればいいだけ。そのままこの友好関係が強化されて全てよしとなる!



「お待たせ」


「あ、いえ」



 そして、たまに眼福をいただければ最高よ。うん、最高な結婚生活ね。



「あの、旦那様」


「ん?」


「今後の事なのですが……側室はどうなさいますか?」



 その瞬間、この食堂の時間が止まったかのように思えた。


 ……やっぱり、領地行き?



「このダルナード家は大公家、そして王族の血も流れている重要なお家ですから、後継者を作らなくてはならない事はこのシャレニア王国としても重要な事案です。私としても側室をお迎えする事は問題ございませんし……」



 ……ん?


 なんか、間違った……?


 旦那様の様子が……



「……何回かしか顔を合わせてない俺との結婚生活は、嫌?」


「……いえ、そうではなく……」



 ……貼り付けたような笑顔ではあるけれど、目が笑ってない。いったいその下にはどんな顔が隠されているのか気になるところではあるけれど……もしかして、しなくてもいいとか?


 まぁ、あのご夫人とご令嬢の話は嘘だという事は確信しているから、側室の候補がいるのかどうかは分からないけれど……大公家にとって必要不可欠な事であるのは分かってる。



「……セドリック」


「はい、旦那様」


「グロンダン侯爵に手紙を送るから、準備しておいてくれ」


「かしこまりました」



 ……ん? お手紙? 何故執事に? どんなお手紙? 本邸にご令嬢を呼ぶお手紙?


 けど、あの、旦那様、だいぶ深いため息を吐いてません?



「俺は、スイランちゃんと楽しい結婚生活を送りたいと思ってるんだ」



 楽しい、結婚生活……?



「……側室は?」


「いらない」



 即答……というか、圧がすごい。


 え、側室、必要ないの? 大公殿下なのに? 王族の血継いでるのに? 国王陛下の弟君のご子息なのに?


 いや、後継者を作らないといけないのに、側室必要ないの? それはつまり、私に頑張れって言ってる?



「側室はいらない」


「……承知しました」



 大事な事だから二回言った、と顔に書いてあるような、ないような。


 ……私が頑張らないといけない、という事……?


 え、この人と? まぁ、妻になったのだからそれも役目に入っているけれど……マジ?


 それを想像してしまったせいで、顔がどんどん熱を上げてしまった。ちょっと待って、恥ずかしい、やばいやばい、冷めろ冷めろ。


 そんな焦りの中ちらりと旦那様の方に視線を向けると……驚いているような気がして、そして微笑も向けられた。やばい、本当に恥ずかしい。



「伝わったかな?」


「……」



 真っ赤な顔を半分隠しつつも、小さく何度も頷いた。誠心誠意努めさせていただきます、という言葉は私の口から出てこなかった。いや、混乱しすぎて出せなかった。


 側室はいらない。という事はつまり、本妻である私以外必要はないという事。だから、私との子供しか作らないという事でもある。


 ……私を領地や別邸に追いやってしまえば大事な後継者が生まれないわけだから、行かせるつもりは毛頭ない。


 ということは……つまり、その、仲良く、うん、仲良くしましょうね、という事。


 そういう事、よね……


 あ、まぁ、さすがに王女を領地に飛ばすほどの馬鹿ではないよね? とか思ってた事もあったけれど……なんか、申し訳なかったな。すみませんでした……


 しかも、旦那様が結婚式後に招集されてしまって、後回しにしていたもの、あったよね……どうしよう。



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