プロローグ
「次回のイベントまで時間あるし、何か依頼受けようかなぁ」
「おい、ぼーっとつったんてんじゃね……へぇ、結構可愛いな。お前、俺とパーティ組めや」
「ん?」
依頼版の前で悩んでいたら邪魔になっていたらしい。確かに皆が使う場所で悩みごとしてるのは良くなかった。ただ、だからと言って初対面でそんな高圧的にならなくてもいいのに。プライド高そうだから強く見せたいのかな?それとも私のキャラメイクが低身長のロリキャラだから舐められてる?ゲームの世界でまで、いや、ゲームの世界だからイキってるのか
「お、おい、誰か止めてこいよ」
「私は嫌よ、怖いもの」
「俺もやだよ」
「誰か助けてやれよ……あの男を」
おかしい。どう考えても暴言吐かれた上にナンパされている私を助けるべきじゃない?なんで男の方を助けようとしてるの?いや、みんな怖がって手を貸すつもりはなさそうだけど
「だって自業自得でしょ」
「それにしても民度悪くなったなぁ。新規勢が一気に増えたのか?」
「ちょっと強くなったから調子に乗っちゃったんだろうなぁ」
「知らないとは言えよりによってあの子に喧嘩売るなんて……あいつ、せっかく買ったのに今日で引退か」
「そもそも彼女のことを知らなくてもむやみに喧嘩売るもんじゃねぇけどな」
「それはそう。と言うか装備見れば相手がある程度強いかどうかくらい分かるだろうに」
「だよね〜」
「まぁ、今回喧嘩売った相手はある程度で収まる強さじゃないけど」
なんでだろうね?なんで私がヤバいやつみたいに言われてるんだろうね。私は至って普通のプレイヤーなのに。ちょっとこのゲームにドハマリして一日のほとんどをここで過ごし、イベントのトップ常連になってるだけなのに
「あ?なんでこんな騒がしいんだ?まぁ、いいか。それでどうするんだ?何ならクエスト手伝ってやるよ」
「パーティかぁ……私と模擬試合して勝てたらいいよ?」
「いっちょ前に加入試験か?いいだろう。ただ、負けても文句言うなよ?あと、付き合ってやるんだからこっちの言うことも聞いてもらうからな」
「勝てたらね〜」
そう言いながら操作をして決闘を申し込む。相手は自信満々に承諾し、専用フィールドに飛ばされる。暇つぶしに何かやろうかと思ってたけど、こうやって面倒事が向こうから来てくれるなんて
「ふふふ」
「あ?何笑って…」
「少しは楽しませてね?」
「は?」
「行くよ……ふっ!」
「はぁ?!何だよそれ!クソッ……死ねや!」
「そんなんじゃ死ねないって」
「チーターかよ」
「自分より強い人見かけたらすぐチーター呼ばわりは良くないと思うなぁ」
「ふざけんな!チートでも使わねぇと魔法が避けられるわけ無いねぇだろうが」
「えぇ……少し練習すればこれくらいできるよ。私以外にもやってる人いたし」
「くそが…」
「もういいや」
「は?いつの間……」
「はぁ、暇つぶしになると思ったのになぁ」
後ろに回りこみ首を一突きして終わらせる。最近は滅多に仕掛けられないし、自信ありそうだったからやったのに数分で終わるなんて。やっぱり適当なボス相手してる方が暇つぶしになるかなぁ。でも素材ある程度貯まってるしなぁ
「まぁ、いっか」