あいつ、2回も追放されたってよ。
あ、ジャンル詐欺ではありませんので、だいじょうぶです。追放令嬢や追放冒険者の小説が始まったりはしません。
始まるのはあいつのお話。とあるファミリーから追放され、移った先のファミリーからまたしても追放された……。
アスパラガス。そう、野菜の。
分類学で言う『科 family』のお話です。
クイズなんかでたまに見ませんかね?
「トマトは何科の植物でしょう?」とか「この中でアブラナ科を全て答えよ」ってやつ。
アスパラガスはユリ科の野菜でした。ユリ科にはネギ、タマネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウなどの野菜がありました。
これらの野菜、私が農学生の頃『ユリ科』と教わりましたし、テストでも出ました。1問2点の書き問題。農学校には『野菜』って科目があるんですよ。
閑話休題
その20年以上前と何が変わったのか……そう、分類学の体系が変わったのです。
科学技術が進歩し、DNA鑑定による新しい分類学が提唱されたのです。以前はクロンキスト体系と言う分類だったものが、AGP体系と言う最先端の分類に更新されたわけです。
そして新たに分類を整理していった結果……。
「アスパラガス、ネギ、タマネギ、ニラ、ニンニク、ラッキョウ! DNA鑑定の結果、ヒガンバナ科であることが判明した! 貴様らはユリ科から追放だ!!」
と、なりました。なろう小説風にしてみました。
さて、新たにヒガンバナ科に移され、これでおしまい。とは、なりませんでした。
学問というのは更新されるもの。新発見で歴史でならった年号が変わったりしますものね?
AGP体系が発表された時のものを『AGPⅠ』として、更新進み『AGPⅢ』となった時、またしても悲劇は起こります。
ネギ達5人「アスパラガス! あんたはキジカクシ科に分類されることになったわ! ヒガンバナ科からも追放よ!!」
そうして2度も追放されたアスパラガスは、キジカクシ科で唯一のお野菜として……。
大事に大事に箱入り(?)令嬢として育てられ……。
立派なホワイトアスパラガスになりましたとさ。おしまい。
いつの間にか物語調になってるわ……。
本題は、自分の常識として覚えていた知識が、いつのまにか技術の進歩で違っていたってお話でした。
野菜見せたかっただけだろ!って?
そーだよ!
他の小説でもう知ってる読者さま、ごめんなさい。
知らない方向けエッセイです。