いつもどおり
変わらない街並み、この視線。みんな、私がここを通ると急に振り向く。そして、怯えた顔をして仕事に戻るの。
[第一章 いつもどおり]
女性A「それでねえっ、うちの子ったらすぐに〇〇さんにしがみついー...」
私が通り過ぎると、その女たちは急に黙り出した。
女性B「ほっ...他の場所で話しましょうよ。」
女性C「その方が...いっ、良いわよ。」
女性A「そ、うね。そうしましょ。」
なんで?なんで逃げるように移動するの?...私、何か悪いことしたっけ?
するとみんなが私に気づいた。
住人A「あっ、ロシレッタの野郎だ!戸締りをするんだ!早く!」
なんで?
子供B「ママー!こわいよぉ!」
なんで泣くの?
(ざわざわ...)
なんで...冷たいの?
もうこんなとこうんざり!早く家に帰ろう。
*・゜゜・*:.。..。.:*・'。'・*:.。. .。.:*・゜゜・*
ーナミネーゼ街 3丁目 セネヴィン家ー
私は、玄関いっぱいに書かれた落書きや悪口を見てため息をついた。
(...家を出る前より増えてる...。)
古さびたドアを開けると、ギイッと音が鳴った。
誰もいない部屋、静まり返った食事場、歩くたび音の聞こえる床ー...。でも私はこれを怖いだなんて1秒たりともない。なんたってここはお父さん、【サイコン・セネヴィン】の作ったお家だもの。たとえ狭かろうが、暗かろうが、ここはお父さんが作った家に変わりはない。
このドレスだって、お母さんに「欲しい」とねだったら、何十着でも作ってくれた。
誰がなんと言おうと、この家も服も、自慢の両親が作ったんだ。だから、後悔なんてするわけがない。
...ただ1つ嫌なことといえば、この家の落書きと、このドレスのシミ。
私を除け者扱いする奴らの仕業だ。この服のシミは、コーヒーで故意に付けられたものだ。許せない。今は病死して会えない両親を...この家は、世界に一つの家なんだよ?世界に一つの服なんだよ?
ーそしてたまに、こう思っちゃう。『全部なくなっちゃえ』って。
でもそれは私にとっちゃ夢でもない。なぜなら...〈二章に続く