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【官能演習その一:異性と二人で半日出歩く】


 実行に移されたのは週末、晴れやかな日曜日だった。

「おはようございます」

「早すぎるわ」

 休日の午前八時とはイコール睡眠の時間なのである、本来は。

「では、行きますわよ」

「プランは決まってるのか?」

「ええ、それはもうバッチリ」

 言って彼女はスマホの画面を印籠のように掲げる。ディスプレイに映されたメモには今日の行動予定が時刻順に並んでいた。

「……これ全部こなすのか?」

「もちろんですわ。半日出歩かなければならないのですからね」

「はあ……」

 まあ、付き合うと決めた以上、嫌だとは言わないけども。


 まずは電車に乗って十五分、繁華街まで出る。

「車使えばいいんじゃねえのか」

「駄目に決まっています。今日は二人きりでというところが重要なのですから」

「はいはい、『官能演習』ね」

 とりあえずは朝食だ。彼女の案内で、雰囲気の良い喫茶店へ入る。

「ここはモーニングメニューが美味しいと評判ですのよ」

「へえ」

 運ばれてきたのは一見変哲のないトーストセット。しかし一口かじって、家の食パンとはまるで違うことに驚いた。

「美味えな、これ」

「でしょう」

 得意げな小鳥遊。そこまであんたの手柄でもないと思うぞ。

 ゆっくりと平らげ、コーヒーを飲んで、一時間。店を出ると強烈な陽射しが目に眩しい。

「次はどこだっけか」

「映画鑑賞ですわ」

「ほう」

 大きめのチェーン映画館は人で賑わっていた。朝早くからご苦労なことだ。俺も人のことは言えんが。

「何を観るんだ?」

「これです」

 彼女は指差したのは、男女が抱き合っている写真がドンと載ったポスター。あらすじを読むと、どうやら切ない系のラブストーリーらしい。

「おいこれ、濡れ場ありって書いてあるぞ」

「ええ、だから選んだのです」

「駄目だろ、選んじゃ」

「大丈夫です。R15指定ですから」

「そういう問題じゃねえんだよ」

「高城さん、うぶなのですね」

「はあ? そんなんじゃねえし」

 そこまで言うなら、観てやろうじゃねえか。

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