意思表示のシール
読書は完全一人プレーだ。
読書が趣味の友達と、同じ空間で本を読んだことはあるけれど、タイトルは違った。
時間を共有できても本は共有できない。
読むペースも人によって違うから。
同じ本を読んでも読み終わるタイミングは違うだろう。
読書は完全一人プレーだ。
だけど感想を言い合うことで、複数プレーを疑似体験している。
これがたまらなく楽しい。
物足りなかった完全一人プレーの読書の何かを、感想の意見交換が補完してくれる。
電車で私の好きな作家の本を読んでいる子供がいた。
子供なのになかなかのもんを読むなぁと感心したのもあったが、「それ面白いよね!」と話しかけたい気持ちもあった。
でもそんなことをしたらもはや事案だし、人生詰んでしまうので、ぐっと気持ちを抑えた。
私はネタバレさえされなければ話しかけてもらっても構わない。
「補完したいです」シールがあったらいいのに。
そのシールを貼っている人には読書トークを持ちかけていいというシール。
私は貼りたい。
それと同時に、服屋では店員に話しかけられるのを拒絶する自分がいる。
「接客やめてほしい」シールがあったらいいのに。
そのシールを貼っている人には接客トークをしてはいけないというシール。
私は貼りたい。