6話 急展開(2)
瞬間移動で練習ステージに着いた……らしいのだが、相変わらず真っ暗闇なので全く気付かなかった。
こんな何も見えない状態で練習させる気なのだろうか?
質問しても無視されるだろうが、一応、訊ねてみる。
「俺、真っ暗で何も見えないんだけど、こんな状態で練習させる気なのか?」
《問題ありません》
お!反応したな。
「目に頼らず、第六感的な何かで敵を通すってことか?」
《いえ。現在、視覚はオフになっているため、何も見えなくて当然です》
会話、できてるな。
最初の時はこちらの質問も受け付けず一方的だったのに……
《起動時は会話機能は使えません》
な!? 心を読んだのか?
《思考するだけで会話は可能です》
それが本当なら、こちらの頭の中は彼女には筒抜けになってしまうな……っていうか、彼女はいったい何者なんだ?
《私は『ダブロス』のヘルプ機能、システムにに搭載されたプログラムの一つ、『サリー』です。『念話』を応用して会話をしていますので、私に伝えたくないと念じれば筒抜けにはなりません》
おぉ~! あの有名な呪文を唱える魔法の国のお姫様か……って、いや、そんな事より、女の人とやり取りをしていたと思っていたが、プログラムが相手だったのか。AIアシスタントみたいなものかな。気分はスライムに転生したアノ主人公だな!
異世界の住人とは少し違うけど、初めての異世界での会話だったので楽しくてつい脱線してしまった……が、話を戻し、練習ステージがスタートした。
基本動作の練習というだけあって、最初はかなり苦戦したが、後半はサクサク進んだ。
練習ステージが終わり、いよいよメインステージ。ここからが本番という事で気合を入れた……のだが、中身は練習ステージに毛が生えた程度、いや、あまり変わらないと言って良いかもしれない。
練習ステージだから簡素なのかと思ったが、メインステージも同じ。コンピューターが作り出した人工的な仮想空間を思わせる、ポリゴン感きつめな現実ではないとハッキリと理解できる空間。標的も同じでどちらも黒いデッサン人形もどき。そいつらを倒すと効果音が鳴る。まさに、ゲームの世界に入り込んだという感じだ。
だが、俺には物足りなかった。
こういう状況の時、俺が知っているアニメなどの作品はゲーム内の世界がもっとリアルだし、何より、先日まで行き来していた異世界がリアル過ぎた。それに、俺はゲーマーではないので、黙々と敵を倒していくだけの単純作業は退屈だった。
期待をし過ぎたようだ。
全てのステージをクリアすると同時に視覚が戻った。
視界に映ったのは、俺のよく知る天井。
元の世界へ戻っていた。




