5話 急展開(1)
異世界へ行く夢を見なくなって1週間。
俺はかなり戸惑っている。
っていうか、ショックが半端無い。
最初の頃は週に一度あるか無いかの頻度だったので、ひょっとしたらその頃と同じ感じに戻っただけかもしれないのだが、もう二度と異世界転移の夢は見ることは無い気がしている。
救われたのが、職場の工場の生産が落ち着いて残業が無くなったおかげで、かろうじて自分を保てたこと。
あのままの状況だったら、俺は壊れていたと思う。
働き過ぎは良くないよね!
まあ、そんな訳で、久々に晩酌でもして寝ることにした。
なんとか今週も乗り切って休みに入ったし、問題はないだろう。
………………
…………
……
《……しました。起動します》
「……なんだ?」
機械音声っぽい女性の声が聞こえ、目を覚ます。
が、真っ暗で何も見えない。
《パラジートの覚醒を確認しました。これより、説明モードに移行します》
「また、あの声……」
耳からというより、直接脳に伝わる感じだ。
《黒澤 眞一さん、これから説明を行いますが、準備はよろしいですか?》
「っ!?お前は誰だ?」
《準備はよろしいですか?》
「何故、俺の名前を知っている?」
《準備はよろしいですか?》
どうやら質問は受け付けないらしい。
もう一度試してみる。
「現在の状況説明をしてくれるのか?」
《準備はよろしいですか?》
やはり、こちらから質問しても何も答えてはくれないみたいだ。
一方通行という事は、声の主は機械的な何かかもしれないな。
真っ暗闇で何も見えない視力ゼロのこの状況を打開するには、説明を聞くしかないようだ。
「……わかった。説明を聞こう。」
《了解しました。説明を開始します》
俺は説明を最後まで黙って聞いた。
まあまあ長かったので要約すると……
この世界を管理している者が俺の魂を、俺のいる世界からこちらの世界に呼び寄せた。
理由は、俺の魂を動力源に大量殺戮兵器『ダブロス』を動かして害虫退治をさせるため。
現在の俺はダブロスと一体化しており、これから大勢の敵が表れて俺を襲ってくるので、搭載されている様々な武器を駆使して全滅させる。
ステージがいくつかあり、すべてクリアすれば元の世界へ帰ることができる。
俺はゲームにはあまり詳しくないが、リアルアクションシューティングゲーム? の世界に転移させられたという事かな。
ちなみに、元の世界の俺の本体は脳死のような状態だが、傍からは普通に寝てるように見えるだけ。
事が終われば魂は帰還し、元通りの生活を送ることができるので問題ないとのこと。
面倒な状況に巻き込まれたが、再びの異世界転移で少しホッとしていた。
一通り説明を受けた俺は、練習ステージへ移動した。
主人公なのにまだ名無しだったので名前をつけました(笑)
<追記>
2020/4/11:「シーケンサー」→「パラジート」に変更
2020/4/18:サブタイトル修正




