マキエル視点のお話(1)
私の名前は石崎 真姫。
訳あって、神様のお手伝いをしている。
地球の日本という国で何年も入院生活をしていた病弱な私は、ある日意識を失い――気付いたら神様の御前に……。
神様の説明を聞き、自分が亡くなったことを理解してショックを受けたが、同時に、神様の手伝いをして欲しいと言われ、私は理解が追い付かなくてしばらくフリーズしたんだよなぁ……。
猛烈な勧誘を受けた私は、神様の仕事を手伝うことにした。
お手伝いの内容は、神様が転生させた世界で神様の指示通りに動くというもの。
指示内容にもよるが、基本的に自分のペースで仕事をこなしてよく、仕事の無い期間は、その世界を自由に堪能しても良いという――。
長期入院中に読んでいた本の影響か、異世界転生に憧れを抱いていた私は喜んでOKした。
まあ、そうなると分かっていて神様は私を呼び寄せたのだろうが、私としては、転生で病弱とは無縁となり、ある意味夢が叶ったのだからとても感謝しているのだ。
何度目かの転生を経てた私は、とある星の管理を一部だが任されることになった。
お手伝いのランクが上がったと思った。
私は神様の期待に応えようと、フィードと共に必死で頑張った――おっと、いけない。
彼の紹介は、まだしてなかったわね。
フィード――フィードゥエリタスは私の従者。
二回目の転生時の世界で私が救ったエルフ国の第二王子だったエルフで、私に恩義を感じたのか私の従者となり、それ以降、共に転生を繰り返して現在に至る。
とても頭が良くて、いつも彼に助けてもらってるわ。
彼無しの異世界生活はもう考えられない――って、だいぶ話が逸れたわね。
神様の期待に応えようとした私は変に頑張り過ぎて、人間族を滅ぼすという大失態を犯してしまった。
「あはは! まさか、こんな結果になるなんて――」
ってな感じで少年の態をした神様に爆笑――無邪気に笑われて特に怒られはしなかったけど、私は笑って許してくれたとは思っていない。
人間族を根絶させるのに使用したため、護衛として神様から授かったダブロスは没収されたし、その後、千年以上も神様と音信不通――少しの間反省してなさいって意味で放置されたのだと思う。
だから再び神様にお会いできた時は、再会できた喜びと安堵で思わず泣いてしまったのよねー。
再会できたのは嬉しかったのだけれど――。
「人間族が全滅してから千年以上経過したというのに、この星は変わらないね。ある意味これは凄いことだよ! でも、それじゃあ駄目なんだよね――」
そう言って始まった神様からの駄目出しは数時間に及んだ。
この千年もの間、神様は私が如何に対処するか見守ってくれていたらしい。
私の起こす行動がこの星に影響を与え、それによって生じるモノ。
神様がソレに期待を寄せていることは知っていた。
しかし、私はアレ以来、自身の行動によって引き起こされる何かを恐れ、天上界という別空間を創ってそこへ引きこもってしまった。
地上に降りることはほとんどなかったが、何もしなかったわけではない。
天上界に研究所を作り、フィードに頼んで地上から何人か勧誘してもらい、彼等を使って神様が喜びそうな、この星に影響を与えるモノを探す日々を何百年と送った。
その間、地上がほぼ放置状態だったのは言うまでもなく――。
目新しいことが何も無かった千年だった。
神様曰く、人間族は変化をもたらす種族だという。
変化の必要に迫られると、その変化をもたらす者が何人か生まれてくるらしい。
元日本人の私も地球という星の人間族。
きっと私にも変化をもたらす何かがあったから神様に勧誘されたのだろう。
変化をもたらすこの星の人間族が滅び、変化をもたらす私は別空間に引きこもり状態。
神様が欲している未知の何か、神の力だけでは決して生まれないモノは当然ながら誕生することは無かった。
――駄目出しされて当たり前だよ……。
「あ! そうそう、忘れてた。最近、君の故郷の日本で面白い人を見つけたんだよ! 彼はパッと見、ただの中年オヤジでね。アレは今まで発見できずにいたのも頷けるよ。黒澤 眞一って名前だったかな。まだ調整中だけど、彼を君のヘルプとしてココに送るから。少し前に「助っ人が現れないかな……」って愚痴ってたよね」
愚痴を零したつもりはなかったのだけれど、私が何気に呟いた心の声を聞いてたみたい。
些とばかり恥ずかしかったけど、落ち込んで項垂れていた私に神様は助け舟を出してくれたことは素直に嬉しかった。
それにしても――黒澤 眞一って何者なのかしら……。
マキエル視点のお話、あと何話か続きます。




