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ただの中年オヤジが異世界転移したら  作者: 同調犀
2章 マキエルの村 編
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38話 旅支度(3)

 翌日。



 日の出とともに出発した俺とキーファさんは、何事もなく一時間ほどで無事に村長の家である大木の前に到着した。


 中へ入ると、誰もいなかった。

 まあ早朝だし、当然と言えば当然か。

 そう思ったのだが――。


「おや、誰かと思えばキーファじゃないか、おかえり」

「あ! 母さん、ただいま」


 奥の階段からピーヌスさんの姿が見えた。

 ちょうど俺たちが家に入るのと同じタイミングで上から降りてきたようだ。


「シンイチさんも、おかえりなさい」

「こんな朝早くにすいません」

「いえいえ、大丈夫ですよ」

「父さん達は上にいる?」

「ええ、二人とも朝ごはん食べてるわよ」

「そう、丁度良かったわ。私は上に行って用事を済ませてきますので、シンイチさんはこちらでお茶でも飲んで、ゆっくりしててください。母さん、お願いできる?」


 そう言って、ピーヌスさんと入れ替わるように、キーファさんは階段を上っていった。


「まったくもう……せっかちな娘でごめんなさいね、シンイチさん。すぐ、お茶入れますね」

「いえいえ……フフッ」


 母娘のやり取りがとても小気味好くて、俺は思わず笑みをこぼしてしまった。

 そうか、キーファさんはせっかちなのか。

 俺もせっかちだから気付かなかったよ。


 ――などと思考を巡らせていたら、ピーヌスさんがお茶の入った木のカップを持ってくるのが見えた。

 

「はいどうぞ」

「ありがとうございます。ピーヌスさんも一緒にお茶しませんか?」

「おや? いいのかい?」

「はい。上でキーファさんが報告していることを僕からお伝えしようかと思いまして――」

「なるほどね。ちょいと待っとくれ」


 ピーヌスさんはそう言って、再び奥へ素早く引っ込んだかと思えば、マイカップとティーポットを持って直ぐに戻ってきた。

 俺とカウンターを挟んで向かい合うようにピーヌスさんが座ると、カップにお茶を注いだ。



 俺は、九日後に依頼で村を離れる事と帰りがいつ頃になるか判らない事。

 キーファさんにも同行して欲しいので、スノーバルさんの許可を貰いに来たこと。

 冒険者ギルドへの登録とギルドカードを発行してもらいに来たこと――等々。


 お茶を飲みながらピーヌスさんと楽しくお話していると、キーファさんと、兄であるサスナーさんが階段を降りてくるのが見えた。


「母さん、楽しそうね」

「おや? もう降りてきたのかい?」

「「母さん……」」

「はっはっはっ! 冗談だよ。さて、後片付けでもしてこうかね」

「食器なら私が洗ったわよ。それより、話があるから村長室まで来てって父さんが――」

「そうかい。それじゃあ……お邪魔虫は退散するとしようかね」


 そう言って、ピーヌスさんは二階へ上がっていった。

 因みに、村長室は俺が初めてココへ来たときに通された二階の応接室のことだ。


「まったく母さんったらもう……あっ、シンイチさん! 父さんの許可が下りたので私も同行しますね! 私は必要な物を取ってきますので、シンイチさんは冒険者ギルドへの登録とカード発行の手続きをお願いできますか? 兄さん、後はよろしく!」


 そう言って、キーファさんは再び階段を上っていった。


「まったく……せっかちな妹で申し訳ございません、シンイチ様」

「いえいえ……フフッ」


 これがデジャヴというヤツか!

 少し前に同じ様な光景を見た気がする。


「冒険者ギルドへの登録を行いますので、こちらへ――」


 俺はお茶を飲み干すと、空のカップを置いて立ち上がり、促されるまま冒険者ギルドの受付カウンターへと移動した。

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