32話 警備隊長(1)
さて、具体的に何をどうするかはこれから決めることになるが、ベスモルトさんたちの件も一段落したので、取り敢えず部屋の入り口で固まったまま動かない わんこ をどうにかしますか。
「ポチさん、何かあったんですか?」
俺の問いかけに「はっ!」っと声を発して我に返ったポチ兄さん。
ゴホンと一つ咳払いをすると、用件を伝え始めた。
なんでも、この村の警備隊長が俺に挨拶をしたいとのこと。
任務完了の報告の際に俺のことも話したからだ。
この村の住人にとって、マキエルさんは絶対的な存在。
警備隊長という立場からしても、マキエルさんの使者である俺にに会いたいと思うのは仕方ないか。
「わかりました。警備隊長に会いましょう。案内、お願いできますか?」
「承知した」
取り敢えず、これから警備隊長に会うことに決定したが、ベスモルトさんたちともう少し話し合いが必要だと思うので、チョットだけ待っていてもらおう。
「ベスモルトさんたちはこの部屋で待っていて――」
「いえ、隊長室へは我々もお供させていただきます」
「えーっと……わかりました。では、一緒に参りましょう」
警備隊長への挨拶をすぐに終わらせてこの部屋に戻ってくるつもりだったが、どうやら二人とも警備隊長に会う用事があるみたいなので、一緒に隊長室へ向かうことにした。
ポチ兄さんを先頭に俺、ウルさん、ベスモルトさん、パンテーラさんの順で部屋を出ると、階段を上り、最上階である五階の隊長室の扉の前まで来た。
「シンイチ様を連れて参った」
コンコンと扉をノックした後にポチ兄さんがそう告げるや否や、ドアノブが一秒ほど青白く輝いた後、ガチャリと鍵が開く音がした。
扉を開けて中に入る。
正面奥に机が二つ並び、左に女性エルフ、右に男性エルフがそれぞれ座ってデスクワーク中。
部屋の左側は応接用のテーブルと椅子があり、右側は武器や防具が所狭しと飾られていた。
パッと見は似てないが、社長室や校長室に雰囲気が近かったため、一瞬だが萎縮してしまった。
「初めまして、シンイチ様。急にお呼び立てして、申し訳ございません。どうぞこちらへ」
女性エルフがいつの間にかデスクワークを止めてこちらに近寄り、応接スペースへと誘導してきたので、
「こちらこそ大勢で押しかけてしまい、申し訳ないです。」
そう言って、俺とベスモルトさん、パンテーラさんは促された椅子に腰を下ろした。
椅子が足りないのもあって、狼兄妹は俺の後ろに立っているよ。
俺たちが座ったのを見届けて、女性エルフが向かいの椅子に座ると、
「私が警備隊長のシーラです」
そう言って自己紹介をしてきた。
遅れてもう一人の男性エルフも、お茶とお茶請けを人数分テーブルに置いた後、
「自分は副隊長のパシアンであります」
そう自己紹介して、警備隊長のシーラさんの隣に座った。




