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ただの中年オヤジが異世界転移したら  作者: 同調犀
2章 マキエルの村 編
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31話 マキエル村の獣人たち(6)

 俺はベスモルトさんとパンテーラさん、二人しかいないのに三人の気配を感じて警戒した事、二人以外の三人目の気配がベスモルトさんに似た感じである事、そしてその気配がベスモルトさんの中からする事を伝えた。


「なるほど……シンイチのその能力が本物なら、やはり、この体の中に姉貴が――」


 姉のアタナシアさんを自身から薄っすら感じることが偶にだがあったため、思わずそう言葉を発したベスモルトさん。

 自分が姉を乗っ取ってしまったのではと一時は考えたらしい。


 他にも、自分と姉の心と体が入れ替わってしまったとか、亡霊となってこの世を彷徨っている等々――。

 相談したパンテーラさんに「どれも確証が無い」と言われてしまったが、「何かの能力者ならそういったことも解るかもしれない」とも言われ、その一言が姉探しの旅に出るきっかけとなったようだ。




 再度語り始めたベスモルトさんの話を聞いていたら、誰かがこの部屋のドアをノックした。


 俺はすかさず探知を使用。


「どうやらポチさんとウルさんのようですね」

「そのようですね」


 俺の発した言葉に、応対するためドアへと歩み寄ったことにより気配で確認できたからか、パンテーラさんも同じた。


 ベスモルトさんに目をやり、首肯いたのを確認したパンテーラさんは、徐にドアを開けた。

 余談だが、このドアはサリーさん曰く、日本のホテル等でよく目にしたオートロックと同じなんだって。


「こちらに御使い様がいらっしゃると妹に聞いたのだが――」

「御使い様?」

「マキエル様の使者であらせられるシンイチ様――」


 パンテーラさんの質問に答え始めたポチ兄さんは、俺と目が合うと途中で止めて俺と話をし始めた。


「御使い様、実は――」

「マキエル様の使者というのは本当か! シンイチ?」


 俺に喋りかけたポチ兄さんの話を遮るほどの大声で、ベスモルトさんが俺に訊ねてきた。


「え……うん、まあそうだけど――」


 俺がそう返答するや否や、勢い良く立ち上がったベスモルトさんは、俺に対し深々と頭を下げ――。


「どうか、私の姉を助けてください! お願いします!」


 そう懇願してきた。

 パンテーラさんも慌ててベスモルトさんの横に並ぶと、


「私からもお願いします! どうかこの姉弟をお助けください」


 そう言って、彼女も深々と頭を下げてきた。




「お二人とも頭を上げてください――」


 しばし沈黙の後、俺はゆっくりと立ち上がりながら二人にそう声をかけ、微笑みながらこう答えた。


「何処までできるかは分からないですが、お姉さんを助けるお手伝い、協力しますよ」


 彼らを助けることはもう決めていたから当然だ。



 それを聞いた二人は抱き合いながら泣いて喜んだかと思えば、こちに向き直り、


「「ありがとうございます!」」


 そう言いながら再度、深々と頭を下げた。




 口が半開きのまま棒立ち状態のポチ兄さんの背後で、


「さすがシンイチ様!」


 そう言って、ウルさんが嬉しそうに飛び跳ねていた。

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