27話 マキエル村の獣人たち(2)
注意が足りなかった……。
言葉に出してはいないが、妹のウルさんのも見てみたいと目で訴えかけたのは事実。
ポチ兄さんが上半身裸になった直後というタイミングも不味かった。
お前も兄のように上半身裸に――オッパイを見せろ!――と睨まれたように思われても仕方がない……か。
俺は三次元な犬耳娘のお顔が見たいと思っただけなのに……。
俺が対応に苦慮していると、
「す、すみません! 冗談です!」
そう言って、ウルさんが謝ってきた。
チョットだけ揶揄うつもりだったのか、ノリでついヤッてしまったのか。
想定していた展開と違う状況になったからか、焦っているようにみえた。
まあ、悪気はなかったようだ。
「こちらこそ、誤解を招く仕草をしてすみません。ポチさんだけでなくウルさんも普段のお顔やお姿がどんなものか見てみたかったもので……」
そう言いながら周りを見ると、キーファさんとポチ兄さんが安堵していた。
キーファさんがオロオロしていたのは想像に難くないが、ポチ兄さんも、文字通り狼狽していたとは……狼だけに!
なーんて下らないことを考えている間に、ウルさんもポチ兄さんと同じような姿になっていた。
「こんな感じです!」
先程までの焦り顔から一変。
自信満々の表情で腰に手を当て、踏ん反り返りながら彼女はそう返事した。
背後から「バーーーン!」という効果音が聞こえそうだ。
胸の部分は狼の毛で覆われているが上半身は肌はかなりの露出、狼の毛皮のズボンを穿いた感じの格好をしていた。
こういう格好をした美人コスプレイヤーさんを何かで見た気がする。
裸よりもこっちの方がエロい気もするが、彼女の醸し出す何かがそれを打ち消しているからか、ヤらしい感じがあまりしなかった。
キーファさんの依頼で肉を届けに来た彼等は任務を果たしたという事で、一旦、詰所に戻るらしい。
警備の人たちが利用している詰所。
マキエル村が広大なために幾つか用意されているのだが、この近くにもあり、二人も次の指示をもらいにそこへ向かうという。
警備の人たちはこの村のエルフが大半だが、ポチ兄さんたちのように別の種族の人も結構いたりする。
俺は情報を得るため、彼らについていくことにした。
マキエルさんに頼まれたこと――この世界で起こる様々な問題を解決させること――を遂行するには情報収集は欠かせないのだ。
「あ、キーファさん。このあとポチさんたちが近くの詰所へ向かうというので、俺も一緒についていくことにしました。ルーミーにそのことを伝えに行って欲しいのですが、お願いできますか?」
「はい、構いません」
俺が急に飛び出て行ってしまったし、今朝のキーファさんのことも知っているし、きっとルーミーも心配しているだろう。
「そのあとのことは、そのままルーミーの家にいてもらってもいいですし、これから行く詰所に来てもらってもいいですし、キーファさんにお任せします」
「わかりました。では、この肉を今朝泊った家に置いてから、ルーミーに伝えてきます」
快く引き受けてくれたキーファさんは、処理された大量の肉を手に持つと、今朝泊った家の方向へと歩いて行った。
彼女を見送った俺は、ポチ兄さんたちと共に近くの詰所へと向かった。




