16話 エルフの村(3)
村長から、これからについて何かしらの指示があると思っていたが、マキエルさんから何も聞いてないようだ。
俺は、この世界で起こる様々な問題を解決するようマキエルさんに頼まれたこと、問題が起こるまでは自由行動を許可されたことなどを伝えた。
村長は俺の話を聞くと同時に困惑の表情を一瞬浮かべたが、直ぐに真剣な顔になりこう話す。
マキエルさんにしか使えないという転移魔法陣はこの村(初めに降り立ったあの洞窟)にしかないため、問題が起こるのはこの村とは限らないこと。
現在、この村及びその周辺では、問題が起こったという話は聞いていないこと。
それ以外の地域も同様だが、距離的なことも含め、様々な理由でこちらに話がまだ伝わっていないだけで、すでに問題が起こっている可能性もあること。
問題に対しての説明がほぼ無いため、急を要することではない、或いは、マキエルさんたちも何が起こるか把握していないかもしれないこと。
村長の話、俺も同意見だった。
サリーさんとも相談し、情報収集が必要だと判断した。
何が起こるかわからないため、この世界についての知識を得れば何かしら対処できるだろうと考えたからだ。
効率よく情報収集するため、サリーさんに手伝ってもらう。
サリーさんも新しい情報は持ち合わせていないため、必要なことだった。
という訳で、更に村長から話を聞くことにした。
この村も森も名前は無いそうだ。
名前が無くても、ここに住むエルフたちには今まで問題なく生活できていたため、必要性も感じないようだ。
ただ、ここを訪れる者たちは、マキエルさんの保護下にあるという事で、『マキエルの村』とか『マキエルの森』などと呼んでいるらしい。
そして、気になっていたこの家のことについても聞いてみる。
この村の家はどれもこの家と同じ工法で、この村独自のものだという。
その工法とは、家の模型と大木を用意して特殊な空間魔法を使用するというもの。
その魔法が使えるのは、この村のごく一部のエルフだけなのだそうだ。
この家の1階は冒険者ギルドと商業ギルド、2階は簡易宿だという。
まだ人間族がいた頃は多くの冒険者がこの村にも訪れていたが、いま訪れる者は当時の1割にも満たない。
なので、現在では宿屋も激減、ギルドも村長の家に移したということのようだ。
因みに、息子のサスナーさんが冒険者ギルドのマスター、娘のキーファさんが商業ギルドのマスター、妻のピーヌスさんが宿の管理をしているそうだ。
俺が知りたいことはある程度聞き終えた。
いまは、サリーさんが質問しているのを傍観している。
最初はサリーさんが聞きたいことをオウム返ししていたが、いまはサリーさんが俺の身体を好き勝手に操り、村長から情報収集していた。
オウム返しが面倒になったので、サリーさんの提案を受け入れ、俺の身体を操作する事を許可したのだ。
サリーさんって、こんなこともできるんだね。




