14話 エルフの村(1)
俺は直径数メートルはある複雑に描かれた魔法陣のど真ん中に立っていた。
真っ暗な場所ではあったが、魔法陣自体が強く発光していたおかげで、今いる場所が洞窟の中であることは何となくわかった。
徐々に光が弱まっているが、俺を転移させた魔法が発動し終えたからだろう。
どうしたものかと辺りを見回すと、白い光の玉がゆっくりとこちらに近付いてくるのが見えた。
俺は即座に探知機能を使って、近付くモノの正体を確認する。
ダブロスに搭載されている探知機能は、設定をすれば何でも探知可能だ。が、毎度細かく設定を行う必要がある。時間も手間もかかるため、面倒くさがりな俺は、必要に迫られない限りは設定がほぼいらない生物探知しか使わないだろう。
探知可能な範囲は無限だが、広いほど得られる情報も限られる。逆に言えば、範囲が狭ければ得られる情報も多いという事。ちなみに、デフォルトの索敵範囲は自分を中心とした半径50メートルの球状だ。
今回の場合、設定無しで索敵したので、10時の方向22メートル先からエルフ2名が時速3.2キロでこちらに向かっていると脳内にイメージされた。(ダブロスに脳があるかは知らないが……)
サリーさんに判断を委ねたところ……
《彼等はこの村の村長の使いの者のようです。このまま彼等の到着を待ち、彼等の指示通りに動くことを推奨します》
と言われたので、そのまま待つことにする。
革の鎧を装備した男女2人のエルフが横並びでこちらに向かってゆっくりと歩いてくる。
白い光の玉は明かりの魔法のようで、女性のエルフが発動させている。
そして、目の前に来たところで歩みを止めた。
「シンイチ様……ですね?」
と、男性のエルフが訊ねたので、黙って首を縦に振る。
「マキエル様から話は伺っております。我々は村長の使いの者で、先ずは村長に会って頂きたいのでご案内致します」
俺は男性エルフの指示に従い、女性エルフの後を追って歩いていく。
男性のエルフは俺の少し後をついてきている。
女性エルフの揺れるポニーテールを見ながら数分ほど歩くと、次第に明るくなり出口が見えてきた。
夜ではなかったようだ。
外に出ると、そこは、予想通り森の中だった。
この世界でもエルフは森の住人なのだろう。
歩きながら辺りを見回すと、後ろには多くの木や草が生える小高い丘があり、先程までいた洞窟の入り口が見えた。
周りも大小様々な木や草が生い茂っているが、歩き辛さは無く、ジャングル感もあまり無い。
森の中もそれほど暗くないので、この集落のエルフたちが手を加えて森を維持しているのだろう。
しばらく歩くと大木が見えてきた。
日本でも神社の神木とかで存在するような幹が物凄く太い木なので、世界樹ではないだろう……と思う……(これが世界樹だったら残念過ぎる!)
大木が目の前に迫るが、女性のエルフは歩くのを止めない。
ぶつかる!
俺はそう思って歩みを止めたが、女性のエルフはそのまま大木に吸い込まれていった。
目の前で起きた事象に呆気にとられ立ち尽くしていると……
「村長の家の玄関だから、このまま進んでもぶつかることはない」
男性のエルフがそう言ってきたが、躊躇してしまう。
《視覚を調整します》
突然サリーさんがそんなことを言ってきて一瞬『?』となったが、先程、女性のエルフが吸い込まれていった部分がぼやけた感じになり、入り口のような形となって表れてた。恐らくこれが男性エルフの言う『村長の家の玄関』なのだろう。
サリーさんが玄関を見えるようにしてくれたようだ。
サリーさんグッジョブ!
俺は大木の中へ入っていった。




