13話 準備(3)
そういえば、ダブロスについて話してくれるとマキエルさんは言っていたけど、結局、最後まで説明は無かった。かなり情緒不安定だったから忘れてしまうのも仕方がないのかもしれない。
という訳で、ダブロスについてもサリーさんに一通り聞いてみた。
ダブロスは神様の創造物だ。そのため、神様から口止めされていることも多いという。所謂、禁則事項とかいうアレかな?
ダブロスはホムンクルスがベースだが、様々な機能を組み込むなど色々手が加えられていて、最早ホムンクルスではなく別物なのだという。俗に言う魔改造ってヤツだな。マキエルさんから没収した後にも中身をかなりイジったようで、没収前と全然違うことに彼女は気付いていないらしい。
ロボットみたいな感覚がたまにあるのは、機械の類も一部搭載されてるからではないかと言われた。サイボーグってこと? って聞いたら答えてくれなかった。何故そこでだんまり?
姿形は神様に頼めば色々変えてもらえるみたいだが、この世界はエルフが多いということで現在の俺は♂エルフの姿だという。早く鏡で自分の姿を拝んでみたい。
あと、前に動力源は魂とか言ってたが、食事を取ってエネルギーを補充する必要があるという。エネルギーが無くなれば魂が消滅するからだ。だから、エネルギーの残量がが一定値を下回ると空腹感がある。
採取したものはその辺に落ちている石ころでも何でもエネルギーに完全変換するし、味覚のオンオフも可能なので、食に困ることは無い。毒で死ぬことも無いし、排泄物は出ないので下痢や便秘による腹痛もトイレの心配も無いのだ。
まあ、そんなこんなでサリーさんに色々聞きながらこの世界で旅をするための準備を進めていく。
途中、マキエルさんが、俺に黙ってサリーさんを停止させたことと、それを解除し忘れていたことの謝罪をしにこの部屋を訪れたので、ついでとばかりに、旅に必要な物を伝え、用意してもらうようお願いした。
あと、少し空腹を覚えたので食べ物が欲しいと伝えたら、パンとコーンスープを用意してくれた。パンはフランスパンのような硬さの丸いパン。ファンタジーな世界でよく目にするパンだ。
千切ったパンでコーンスープをすくって食べてみる。想像通りの味で普通に美味しい。
不味い食べ物ばかりで味覚を常時オフということは避けられそうだ。異世界グルメを堪能するという楽しみが増えたのはちょっと嬉しいかも。
食事を終えて寛いでいたら、再びマキエルさんが部屋を訪れた。あのイケメン眼鏡エルフも一緒で、登山家が使うような大きなリュックを手に抱えていた。マキエルさんがフィードと呼ぶ彼からリュックを受け取り、中身をチェック。先程、俺が頼んでいた物を全部詰め込んでくれたようだ。
確認し終えた俺は、リュックを背負う。
そして、マキエルさん達と向かい合う。
「日本……いえ、地球とは勝手が違いますので、くれぐれもお気を付けください。困った時はサリーに聞けば何とかしてくれますので……面倒事をあなたに押し付ける形となって本当に申し訳ないのですが……どうか、よろしくお願いします」
「根拠はありませんが、きっと、何とかなりますよ」
心配そうなマキエルさんを安心させようと、俺は微笑みながらそう答えた。
「ありがとうございます……では、準備はよろしいですか?」
「はい、お願いします」
マキエルさんの指がパチンと鳴らされ、俺はエルフの村に瞬間移動した。




