12話 準備(2)
マキエルさんから聞いた話すべてを信用するのは良くない気がしてきた。
彼女が噓をついている様には感じなかったが、誤解や勘違いが含まれていそうな気はする。部下から虚偽報告を受けている可能性もありそうだ。
今回は、サリーさんが機能停止のままだったことに気づく切っ掛けとなり、良い方向に作用したが、俺が思考したこと全てがマキエルさんに伝わってしまうのはマズいかもしれない……色々な意味で!
たしか、『念話』がどうとかレベルが低いとか言ってたから、『念話』のレベルを上げればいいのか?
《その通りです。ですが、かなりの時間を要すると思われるので、サポート機能の使用を推奨します》
「サポート機能……あ!」
サポート機能……全てではないが、ダブロスには未習得でも中レベルの能力が使えてしまうチート機能が搭載されている。習得直後は使い物にならないものも多いので、ある程度のレベルに達するまではサポート機能を使うようにって言ってたな。最初の時に教えてもらったのをすっかり忘れていた。ちなみに、魔力が必要な能力が魔法で、それ以外はスキルである。
《それと……声を出さずに会話するのがよろしいかと思います》
「……え?……あ!」
心の中で他人と会話することに不慣れなせいか、どうやら無意識に声を出して会話していたようだ……は、恥ずかしい! いま指摘されて良かったよ……
(ありがとう、サリーさん!)
《いえ、お役に立てて何よりです》
早速、リストから『念話』を見つけオンにする。
これでもう大丈夫……なのかな?
《はい、問題ありません》
(あ、そう……)
俺には、スイッチを入れても効果が出たかどうかわからなかったのだが、サリーさんの言葉を信じることにする。
しかし、こうして改めてリストを見ると、多くの能力があるのがわかる。
(サリーさんは、現在いるこの世界についてどの程度の知識を持ち合わせているのかな?)
《古い情報も含めるのであれば、ある程度把握しております》
(そ、そうですか……)
マキエルさんよりも正確に何でも知っていそうだ。
俺は、この世界で俺に必要な能力をマキエルさんにピックアップしてもらい、サポート機能をオンにする。
こういう時、転生モノの主人公ならリストにある全ての能力をオンにする事ができるのだろうな……
俺は何の取り柄もない中年オヤジだから、10が限界みたいだ。
その後もサリーさんから色々聞いた。
マキエルさんとサリーさん、双方の話に齟齬は無かったので、すぐにトラブルが起きることもないだろう。(この世界に関する極々一部を聞いただけなので、そう結論付けるのは時期尚早なのは理解しているが……)そう思うことにする。




