1話 小説家デビュー
俺は現在、『異世界探訪記』というタイトルで小説を書いている。
切っ掛けは、異世界モノの夢を見るようになったこと。
俺はアニメファンだ。
が、オタクまではいかないと思う。
ファンタジー系のアニメは好きでよく見ていた。
しかし、30歳を超えたあたりから仕事が忙しくなり、あまりアニメを見なくなっていた。
昼勤と夜勤の2交替で残業もかなりある工場勤務。
家と職場を往復するだけの日々。
40歳を過ぎた頃に両親が亡くなり、仕事のストレスに加え、体力も衰え、疲弊していた。
とある週末の深夜。
いつの間にか眠ってしまった俺は目を覚まし、つけっぱなしになっていたテレビに意識を向ける。
「最近、転生モノアニメやってるんだ……」
そう呟きつつ、目に飛び込んできたアニメに見入る。
結局、最後まで見てしまった。
早速、見終えたばかりのアニメのことをネットで調べる。
そして、異世界へ転生・転移する作品が流行っていることを知る。
こうして俺はハマっていった。
しばらくして、俺は、異世界へ行く夢を見るようになる。
半年ほど前のことだ。
最初の頃は週に1回程度。
転生モノにハマった影響だと思った。
が、間隔は狭まり、毎回見るようになった。
それだけでも異常だが、もっと驚いたのは、夢の内容をしっかり覚えていることだ。
印象に残ったり強烈な夢は、一部とはいえ覚えている事は今まであった。
が、夢の内容を毎回ある程度詳細に記憶した経験は一度もなかった。
脳内で創造されたというより実際に体験した感覚に近い。
とりとめもなくて時系列もめちゃくちゃないつもの夢とは質が違った。
俺は、夢の内容を忘れないよう記録することにした。
夢を見始めた当初の記憶が消えかかっているためだ。
日記を書くように、ノートに手書きする。
夢日記というやつだ。
そして思いつく。
無料で小説が書けるサイトに投稿してみたらどうか、と。
小説投稿サイトの存在は知っていた。
アニメは序盤をチョロっとやって途中で終了するのがほとんど。
続きが気になるのは当然のこと。
幸いにも、気になった作品の多くがそれ系で最も有名なサイトに集中。
読むために訪れることが日課となっていた。
投稿するねらい。
それは、現在の俺の置かれた状況を理解するための情報を得ること。
自分でノートを読み返してはいたが、一人では限界があると感じていた。
読者の意見や感想を参考にすれば、夢で訪れた場所がどこなのか分かるかもしれない――と考えたのだ。
俺と同じ状況に陥っている誰かからメッセージが届いたらラッキーだしね。
こうして俺は、小説家となった。
時間に余裕があれば週1、遅くても月1で連載予定です




