隗より始めよ
入口には札が貼られている。
『会議中』
新しいプロジェクトを立ち上げたいと言う社長の一声で、会社の各分野の課長らが集まって話し合いをすることなった。
私の会社は、言うなれば建設会社に近いもの。
頼まれた建築物やテーマパークなどを設計から全てを受け持つ。この業界では知らない人はいない有名な会社になる。
「今回のテーマはズバリ、老若男女誰でにでも訪れて貰える場作りです」
そんな会社が総出で作るプロジェクト。
普段は依頼されて設計から行うが、今回は決められた土地を使いこの会社の為の建築物を作る。
つまり建設から経営まで全てがこの会社のみで回される初めての場となる。
「全ての人…となるとやはり娯楽でしょうか」
「ええ、飲食からゲーム、遊具、買い物まで。娯楽は現在最も需要の高いものであると言えますね」
彼の初めの一言に納得の声が多数上がり、自然とその方向性で話が進むことに。
これは学生のクラスルールとは違う。
大きな金額が動く、会社全体の未来に関わる会議。大凡の目標が決まったところですぐに行動が出来るほど甘い世界ではない。
「まずは土地の広さと立地の確認、それから大まかな設計図の作成から入りましょう」
ここから始まるのは、その分野を取り仕切る部署を決めること。簡単に言えば委員会決めと似たようなものだ。自由に決められないのは、担当する場所事にそれ相応の責任が着いてくるから。
1日や1週間で決められるほど簡単な話ではない。
「これは……平川さん、あなたの部署はいかがです」
「はい、私共は日頃土地の管理を任されています。土地の善し悪しや周囲の物件の整理はお任せ下さい。しかし…設計図に関しては少し難しいと思われます」
よって各部署の代表は、他の部署に圧迫されるでなく自由に発言する義務がある。
権利ではない。
思った事を口に出さなければ良いものは作れない。
躊躇うことがすなわち悪になるのだ。
「分かりました。それでは……娯楽という意見を出して頂いた河原さん。発言者として設計図の作成を頼むことは可能でしょうか」
こういう時、初めの提案者、基発言者は指名される確率が高い。
逆に言えば、指名される事を分かった上で発言するのだから、それなりの覚悟があるということにも繋がる。
「問題ありません。私たちの中に既にいくつもの建築物を手がけた優秀な人材がおります。しかし念の為結論は次の会議の時でもよろしいですか」
「そうですね、存分に話し合いをしてください」
その後も少しづつ着実に担当の会議は進んで行った。
今日一日では決まらなかったものの、実に身のある会議だったと言える。無駄な会議にならないためには、遠くを見据えるのではなく、目的の為に最も近く確実な部分を決めることにある。
一息ついて廊下に出ると、社長がめんどくさそうな表情で奥から歩いてきた。
「社長、お疲れ様です」
「あら、会議は無事に終わったみたいね。はぁ…私はこれからプロジェクトをまとめる作業があるのよ、失礼するわね」
ちなみに、プロジェクト事態の提案者である社長は、『言い出した者から手をつけるべき』という信念に乗っ取って、膨大な量の書類を片付けなければいけないらしい。大変そうだ。
私は黙って頭を下げて、今日のところは帰路に着くのだった。
隗より始めよ : 1. 中国戦国時代の郭隗の言葉。「賢者を招きたいならば、まず自分のようなつまらない者をも優遇せよ、そうすればより優れた人材が次々と集まってくるであろう」という意味。
2. 転じて、遠大な計画も、まず手近なところから着手せよということ。また、物事はまず言い出した者からやり始めるべきだという意味でも使う。
髪を切りに行こうと決心してから1週間。
ようやく切りに行ってきました。
ずっと家にいると、家を出る面倒くささが募ってくるので、"長い髪が邪魔だという不快感VS家を出る面倒くささ"でせめぎ合ってここまで長引いてしまいました。いつものことです。
どうも、基本家から出るという行為そのものがダルい、深夜翔です。
動きたくないんですよね。
……ただのダメ人間ですね。知ってます。
どうか皆さんは定期的に外に出ましょう。
ではまた明日……さらば!




