鬼の居ぬ間に洗濯
「おい、今日一時間目自習らしいぞ」
「まじ?ラッキーやん」
「それがさ……代理があの遠藤先生だって」
「あっ……ふーん」
学校に到着早々クラスの話題が一時間目の事てもちきりだった。
「珍しいね、あの現代文の神田先生が休みって」
「風邪だってさ。それより問題はせっかく手に入れた自由を早速潰されるかもと言うことだ」
「いや勉強しろや」
何故自習でサボるということが前提なのか。
真面目にやっていれば怒られない。
が、やはり自習イコール自由といった考えは頭の片隅にしっかり存在している。特に厳しい先生だと余計にどうやって出し抜くかを考えてしまう。
「あの先生、うるさくてもダメ。寝ててもダメ。何もしてなくても怒るってちょっとおかしいんだよな」
「教師の鏡ってか」
「やかましいな」
ワイワイしていれば、あっという間に朝のホームルーム。担任からも一時間目が自習になる事が伝えられ、遠藤先生が来るまでのタイムリミットは残り10分となった。
「さぁどうするよ」
「お祈りゲーミング所属じゃね」
「でた。結局運ゲー」
「一応自習の用意をしておかないとな」
やりもしない教科書とノートを机に広げ、いかにもやります感を出しておく。これが通用しないのがあの遠藤先生なんだけど。
「やべっ…来たぞ」
「鬼遠藤」
「ほら5分前だ。さっさと席につけ」
妙に威圧的な声。
既に怒っているような顔。
生徒を睨みつける目。
「あ〜もう憂鬱だぁ(小声)」
「なんで一番前の席なんだ俺は(小声)」
くそっ。始まってしまう。地獄の時間が。
キーンコーン
「聞いていると思うがこの時間は自習だ。くれぐれも自習以外の事をするんじゃ無いぞ」
教卓にどっかりと腰を下ろし、隅々まで視線を巡らせる。
「おい、そこ。自習だって言ったよな。なんで何も机に出していないんだ」
「い、今準備します…」
「早くしろ!全く…」
シーンと静まった時間が続く。
1分。また1分。
時計の針はまるで嘲笑うかのようにゆっくり動く。
少し視線を中央に向ければ鬼のような遠藤先生。
間違っても視線を合わせてはいけない。
教科書でノートを隠しながら勉強のフリをして落書きをして見る。
まだ5分。
そんな静かな時間が続くかと思われたその時。
バタンッ キャーーーっっ
隣のクラスから大きな声と音。
静かだったこのクラスには、より大きく聞こえた。
するとドタドタと走る音。
バンッと勢いよく開く俺たちのクラスの扉。
「遠藤先生!すみません自習中に…隣のクラスに蜂が入ってきてしまいまして、一人刺された様子でして。少し手伝って貰えませんか」
「分かりました、直ぐに行きます。お前らしっかり自習しておけよ」
そう言い残して先生が教室から出て行く。
後に残るのはいきなりのドタバタでシンっと静まり返った教室のみ。
「先生……いないよな」
「早く扉閉めろ!」
「扉OK、外もクリア。俺たちの自習は今始まったぞ!」
今回は運ゲーに勝ったようだ。
静かな盛り上がりとともに周囲の席のヤツらと喋り始める。怒るやつがいなければ自由なのだ。
「でもちょっと気になるよな隣のクラス」
「さすがに見に行くのはリスキーだぜ」
一気に雰囲気の変わった教室。
スマホを取り出すやつまでいる。
抑えていた反動というやつだ。
そうして、俺たちは突如降ってきた運ゲーの神に感謝し、この自由時間を有意義に使うのだった。
*なおこの後無事に戻ってきた先生に超怒られた。
鬼の居ぬ間に洗濯 : 主人や監督者など、気兼ねしたり恐れたりする人がいない間に、十分に寛ぐこと。また、したいことをすること。
どうも、新しいヘッドセットが届いてゲームのモチベが上がった、深夜翔です。
ついでに、今ハマっているゲームを友達に進めたところ、そいつもガチハマリしまして一緒にできる友達がいるのでよりモチベが高いです。
ランクで負けたくないというのもありますけどね笑
ではまた明日……さらば!




