牛にひかれて善光寺参り
「すまん京介、今日は一緒に帰れんわ」
「委員会の集まりだろ?いいよ知ってるし」
放課後、いつもの通り友達と帰る事はできず、少し遅くなったが一人で帰宅する途中。
こういう時に限って外は雨。
傘は持ってきているけど、歩いて帰ること自体がかなりめんどくさい。ズボンが濡れるから気持ちが悪い。
「止みそうにないしなぁ」
昇降口を出て空を見上げる。
一面の黒い雲に、滴り落ちる雨粒。仕方なくとぼとぼとゆっくり歩いて家に向かう。
歩道が無い道だから気をつけて歩く。普段は友達と帰るために気にしていなかったが、一人で歩いていると新しい発見がいくつかあった。
一番驚いたのは、ふと横道を見ると細い抜け道のような通路があったことだ。
そこで何時もなら真っ直ぐ行く道を、気まぐれに曲がり細道を通ってみることに。
「紫陽花が綺麗だ……」
この辺は確かに紫陽花がよく生えていたが、この道は左右にめいっぱいの紫陽花が彩りを添えていた。
どこへ続くのか分かっていない道をただひたすらに進む。時間を全く確認していなかったからどの程度かは分からないけれど、体感的にはかなりの時間真っ直ぐ歩いていた。
さすがに不安になり引き返そうかと考えた時、ようやく細道を抜け通常の道路と繋がった。
そして正面に少し小さめの鳥居と奥に続く階段があった。
(こんな所に神社なんてあったんだ)
近所ではないもののよく通る道中にこんな神社があるとは知らなかった。
せっかく来たのだから少し寄ってみよう。本当にただの気まぐれと少量の好奇心につられてその境内に踏み込んだ。
何段か階段を登ると、小さな社が見えた。左右にはこれまた小さな狛犬が迎えてくれた。
ゆっくりとその社に近付くと、既に先約がいた。
この雨の中傘もささずにずぶ濡れの女の子……
あまり眺めているのもどうかと思い視線を外そうとして、その後ろ姿に既視感を覚えて再び視線を戻す。
「浅香さん?」
小さく声に出すと、ずぶ濡れの彼女がこちらを向く。
「どうしてここに……」
彼女はとある本をきっかけに仲良くなった女子。
僕が勇気をだして話しかけられた、唯一の女子の友達だ。
「家近くなの。ただ鍵を忘れてしまって、傘も持ってきていないからここで雨宿り」
たんたんと返ってきた返事は、しかし少し寒そうに見えた。
「そっか……僕もこの近くでさ。今日は暇だから少し隣いいかな」
そう言って横に並ぶ。
とりあえず濡れないように傘を傾け、持っていたタオルを渡す。それからいつもと同じように好きな本について話す。
まさかこんな所で会えるとは思っていなかった。
朝早くに登校して話していたのが、雨の日の神社。
本当にここに来れたのは偶然だったけれど、見つけて良かった。
夕方5時まで長々と話して、僕は先に帰らなければならなかった。
「私、まだ親が帰ってこなくて」
「じ、じゃあ……この傘使ってよ」
こういう時に家に誘えなかったのは僕の勇気が足りない証拠だ。終わった事に文句を言っても仕方ないけど。
「いいの?」
「大丈夫、僕も家近くだからさ。そのタオルも使っていいよ」
「……ありがとう」
その笑顔に、今日ここを見つけられてよかったともう一度思う。
「じゃあまた明日ね!」
「……また明日」
僕は持っていたカバンを傘替わりにして走って階段を降りる。
何故かその時、入口の狛犬がお礼を言っているような気がした。
牛にひかれて善光寺参り : 思い掛けないことが縁で、また、自身の発意ではなくて偶然、良い結果に導かれること。
昨日、体育の時間にソフトボールをしました。
たかが学校の体育で、今日下半身が筋肉痛で痛すぎます。走るの辛い……
どうも、万年運動不足、深夜翔です。
そもそもインドア派の自分、何故あんなに全力で走ったのか。まぁ楽しかったのでね。その代償ですかね。
皆さん、運動は定期的に行いましょう!
それではまた明日……さらば!




