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ことわざ大百科 ver.短小説  作者: 深夜翔
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終わりよければすべてよし

「今年は散々だったな」

12月31日。世間一般ではこの日は大晦日。家でゆっくり休む人もいれば、実家に帰省したり、友達と大勢集まってパーティしたり。

「こっちは仕事だったんだけどな!!!」

「突然叫んでどうした。年末まで仕事してついに頭がおかしくなったか」

ここは俺の住んでいるアパート。

年末ギリギリまで仕事があり、帰宅も夜の10時過ぎとのんびりする暇もない。仕方なく同僚の友人を呼んで飲んでいたところだ。

言うなれば今年は厄年だ。二十数年生きてきた中で最も不幸な年だと言っても過言ではない。

おそらく始まりは去年の1月。

会社に行く途中で目の前を黒猫に横切られた挙句、気づかずにハシゴの下を通り、家に帰宅してすぐに鏡を割ってしまった。

そこからは不幸の連続だった。

珍しく数十万円を引き出したその日に財布を無くし、重要な商談の日は確実に豪雨。銀行に行けば何故か強盗に巻き込まれ、会社のパソコンが俺だけ壊れた事も。更にはお前の扱いが悪かったんだろうとか言われ自腹で買い換えた。スマホも不本意で何度変えたか分からない。ウイルスから破損、故障と運の良かった出来事など思いつかない。

「10月くらいから会社の中では貧乏神とか言って近づくのも嫌がる人まで出てくる始末だもんなぁ」

「俺が商談とか当番に入ってる日に赤で丸をつけて注意してる人までいるんだぞ。俺は悪くないってのに酷すぎると思わん?」

「なんかお前を見ているだけで不幸オーラが漂ってくる感じがするよな」

「なっ?!お前までそんな事を……」

ピーーーーーー。

1年溜めてきた不満を発散するように愚痴を言っていると不快な音がして部屋の角を見つめる。

「エアコン止まったぞ」

「おい…まさか」

恐る恐る近づいて正面に手を当てる。

風が出ていない。リモコンの表示ではしっかりと作動している。

「良かった今日は厚着してきてるから問題無い。絶対なにか起きると思ってたんだよ」

「もーー泣いていいか」

今年も残り10分とかじゃん。最後の最後までこの仕打ち。泣きたい。

「落ち込むなって。ほら、ソシャゲの新しいガチャがもうすぐ来るぞ」

「今年中全力で溜めてきた石、溶かす時がきたか」

友人の見事な話題変換に容易く乗っかる。

あんまり不幸な事を考えていたくない。

「って、後数分で終わる今年最後のこのガチャ、お前の推しキャラやん。引かんの?」

「舐めてんのか?引くわけないだろ。こんな不幸な年に」

「1回さ、今年の不幸を納めるために引いとこうや。ここで悪運使っとかないと」

俺はガチャ画面に表示される推しの顔を眺める。

ガチャ終了まで残り2分。くっ引くべきか…。

確かに友人の意見もあながち間違いでは無い。

「ほら、後1分!」

ええぃもうどうにでもなれ!

「引きます!それ!」

遠慮なく押したのは『10連ガチャ消費石3000個』。

1年の貯めてきたのだからこんなものは余裕だ。

ロード画面が終わり、出てきたのは虹色に光る画面。

「ちょ……待って……確定演出来たんだけど!!」

「まじ?!おいしかもこれピックアップ確定じゃね?」

「嘘だろ…待って…ガチか…」

慌てすぎて過呼吸になる。

まだ誰が来るかは分からない。ピックアップキャラは5体。欲しいのはもちろん推しキャラ。

「お願いします!」

慎重に画面をタップすれば10連分のキャラが一斉に表示された。その中に1人、虹色に輝く天使の顔が。

それは待ち焦がれた1人、俺の推しキャラだった。

「っっっっしゃぁぁぁぁぁ!キターーーーー!!!」

「やるやん!最高かよ」

「いやーマジで、これは今年の不幸は全てチャラですわ。もう神、ゴット、GOD。最高だよ!!」

ありがとう今年。忘れないぞ!



終わりよければすべてよし : 物事は最後が肝心であり、過程はそこまで重要ではないということ。

今日は大晦日ですね。

何とかして大晦日っぽい話にしたかったので、五十音を無視してこのことわざを。

正確な意味としては少し違うと思いますが、伝えたいのはどれだけ悪い1年でも最後良ければ素晴らしいでしょと。そんな感じです。


そんなわけで皆さんの残りの2020年が良くなることを願って。

また明日……良いお年を!!そしてさらば!

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