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ことわざ大百科 ver.短小説  作者: 深夜翔
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犬の遠吠え

これは僕が教師になって間もない頃の話。

「今日から就任してきました、亘理わたり和哉かずやです。よろしく」

初めてのクラスの中では当たりの方だったと思う。

クラスの仲はいいし、特別大きな問題も無かった。

特別大きな……そうだね。小さい問題は少なからずあったよ。生徒たちは中学生になったばかりで精神的にも落ち着かないところがあった。

喧嘩や器物破損みたいな大事は無かったにしろ、いじめや授業中の問題がね。

それでもまだ少ない方だった。

唯一記憶に残っているのは…あれかな。

そのクラスに就いてから7ヶ月、ちょうど中間テストが終わってテスト返却を行ったその日の放課後。

この時期まで続ければある程度の生徒の内面や成績も分かり始める。

僕が数学の教師だったのもあって数学が得意な生徒は印象が良かった。特に毎回数学で満点に近い点数を取る優秀な生徒がいてね。

この時の数学は難しくしてて、案の定平均点も低かったんだけど…その子は98点。僕も驚いて素直に褒めた。

「こんな点数を取れるとは思わなかったよ」って。

僕が悪かった。他にもしっかりと勉強したように見える生徒も沢山いたのに、点数ばかり見て褒めてしまったのだから。

そして放課後。

教室での作業を終えて職員室に向かう途中、教室横の廊下の端で女子がコソコソと話しているのを聞いてしまった。

「あいつ、また高得点取って亘理先生に褒められてた」

「生意気だよな。ちょっと数学が得意だからってニコニコしやがって」

「顔だってキモイくせに」

「どうせ亘理先生に褒めてもらいたくてニコニコしてんだろうよ」

初めて実際に陰口というものを聞いた。

咄嗟に隠れてしまったのが本当に最悪だ。教師として恥ずかしい。ただその時は教師云々よりも、自分の行動が陰口に発展させてしまったという現実を受け止めきれなかったんだ。

軽く動揺していると、その女子たちの先輩らしき生徒が会話に混ざっていった。

「お前ら陰口は宜しくないな」

悠々とした振る舞いで声をかける。

女子生徒たちは焦った表情だ。

こちらも叱るのかと思ったが、

「いいか、そいつの高得点はそいつが努力して手に入れたものだ。いいじゃないか、努力の理由はなんだってさ。文句があるなら点数取って見返してやればいい」

正直、僕よりも教師みたいだった。

かっこいいなと憧れた。隠れている自分が最低だった。

気づかれないように職員室に戻った後、もう一度今回のテスト結果を振り返った。

さっきの女子達も高得点には届かないまでも、一学期と比べて遥かに良くなっている。

それからだ。僕は数字ではなく、努力の有無を特に気にするようになった。生徒の頑張りをいち早く見つけてやる。そして褒める。

何となく、教師のするべき事が分かった気がした。

覚えているのはこれだけ。

ああ、今も目指しているよ。

努力を見ていてやれる教師ってやつをさ。



犬の遠吠え : 臆病者が陰で空威張りしたり、他人の陰口を叩いたりすること。

*類 負け犬の遠吠え

今更かもしれないですが、私深夜、暗い話を書くのが苦手でございます。

どうしても良いエンディングを迎えさせようとしてしまうのです。小説を書いている者として、それが書けないのは如何なものかと思うのですが……。

いつか書けるようになりたいですね。


えっ?

私が小説について触れているのは珍しい…ですか。

悪かったな!

ではまた明日……さらば!

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