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ことわざ大百科 ver.短小説  作者: 深夜翔
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鼬の道切り

"私たち、離れても友達だよ!大人になっても仲良しで居ようね"

そう言ったのは何年前の事だろう。いや、何十年前か。

まだ子供だったことだけ覚えている。

私は現在都心の割と大きめな会社で働いている20代のOLだ。特段ブラックではないし、辛いとも思わない。けれど、時々ふと考える。

自分がしたい事も、自らの意思さえ遮って、ただ社会人として生きる為だけに有限の時間をすり減らして働く事に意味があるのかと。

お金を稼いだって使い道も使う時間も無い。

休みの日は疲れた体を休めるためにひたすらにゴロゴロする。平日は夕方まで仕事、夜は早く寝る。

そんな生活を送っていると、友人関係などことごとく消え去っていく。あるのは同僚、上司の関係だけ。


そんなある日、過去の……まだ幼い頃、田舎の実家に住んでいた時の夢を見た。

全校僅か40名の小さな小学校に通っていた。

40人しかいないのだから、必然的にほとんどが顔見知り。家同士の関係が元からあった子も少なくない。

そんな中で私には1人、親友とも呼べる友達がいた。

初めて近所以外の子と仲良くなって、年中一緒になって遊んでいた。

小学校を卒業する時、私は親の都合と親戚の話によって都心の学校に行く事になった。

私だけが引越しだ。

その時にその子と泣きながら約束したのを思い出した。

ずっと友達でいよう。せっかくだから手紙でやり取りを続けようと。

そして中学に入って始めの頃は、周りは知らない人ばかり。緊張や不安もあって中々友達もできず、その子との手紙のやり取りが1番の楽しみだった。

しかしそういう状態は時間が解決する。何ヶ月かすると友達もでき、1週間に1回は行っていた手紙のやり取りも、気がつけば1ヶ月に1度のペースにまで落ちていた。

それでも送られてくる手紙を読むのは楽しみだったし、毎回書きたいことが多すぎて大変なくらいやり取りが好きだった。

ところが2年程経ったある時、突然と手紙が送られて来なくなった。

こっちからは何度か送った。でも何故か全て戻ってくる。何かがあったのかもと思ったけど、私は受験期でとてもじゃないけど帰郷なんてしてる暇は無かった。

せめて受験が無事に終わったら確認しよう。

そう思って勉強に取り組んだ。

多分、ここが私の薄情なところなんだと思う。

勉強を必死に頑張って、無事に合格した時には手紙の事をすっかり忘れていた。こっちでできた友達と大いに喜んで、せっかくの合格だと両親は都心にわざわざ来てくれた。

結果、実家に帰ることも無く、手紙のことも忘れたまま大人になってしまった。

その事を思い出した時、私は夢から覚めたのだった。

起きると既に朝の7時。

今日は平日、会社は普通にある。

結局思い出したとしても今の私にできることは無い。何より時間が無い。

私は頭の中の小さなモヤを取り払うように、冷たい水で顔を洗い、少し濃いめのコーヒーを飲む。

テキパキと準備をして、時間通りに玄関の扉を開けた。近くの駅から電車に乗り、珍しく座ることのできた座席で軽く目を瞑る。

またいつものつまらない日々が始まった。

もしもあの時、手紙のやり取りが続いていたら……

(〇〇は一体何があったんだろう)

考え出した脳みそは、無機質な音声によってその働きをやめてしまった。



いたちの道切り : 往来、交際、音信などの絶えることを喩えて使う。

鼬は決まった道だけを通る習性であるが、通路を遮断されると同じ通路を二度と通らないという俗説から。または、鼬が道を横切ると凶事が起こるという迷信から。

天下の日曜日様も、バイトと言う重りに潰されれば為す術もなく散って行くだけなのだ……。

夜の自由時間はとにかく睡眠に時間を当てたい。

よって遊ぶ時間など消え去っていくのである。


どうも、労働せずに楽してお金が欲しい、深夜翔です。

分かっていますとも、何を寝ぼけた事を言っているんだと、そう思っているのでしょう?

働かざる者食うべからず。人間働いてなんぼだと。

楽することはそんなにダメな事なんでしょうか。

……はい、理不尽な世界に文句を言っても仕方ありません。自分のため、働くとしましょう。


ではまた明日……さらば!

(また関係の無い話だけしたなこいつ)

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