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ことわざ大百科 ver.短小説  作者: 深夜翔
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鼬の最後っ屁

夜道は危ない。

暗く人気の無い場所は人の悪い部分を引き出しやすい。何よりも周囲の目が無い、自分の方が優位であると錯覚させる故に夜は犯罪が起きやすい。

それが例え2人の男女だったとしても、犯罪者には関係が無い。

「ごめんね、遅くまで付き合わせちゃって」

「部長の話し長かったしなぁ〜。いくら咲の家がここから近いって言ってもこんな遅くまで残るのは危険だ」

「まぁ私のミスが原因だから……あんまり強くは言えないけど」

どうやら会社帰りのようだ。

その後も無難な会話を続けていた。が、不意に背後の気配に気づく。

「……咲、多分つけられてるよ」

「えっ?!ストーカー?」

「分からない、けどこのまま家に直行すると家バレする可能性もある。少し走って撒いた方がいいか」

「ちょっ……」

彼女が声を出すよりも早く、一緒にいた剛太は手を引いて走り出した。

するとつけてきた男も、バレたと悟ったのか走って追いかけて来た。強硬手段に出たのかもしれない。

「まずいよ!追ってきてる!」

「危ないけど、裏道に入った方がいいかもな」

ちょうど次の角に家と家の隙間が通れる通路になっている。細い道を活用して通り抜けようとする。

途中までは上手く逃げれているように見えたが、最後の最後で選択を間違えてしまった。

「剛くん!そっちは行き止まり……」

「えっ?やっべ」

彼女の警告が聞こえた時には路地の入口には息の上がった男が何かを持って近づいてくる。

暗い路地ではそれが何なのかは検討がつかないが、一瞬月の光に照らされてキラっと一部が光った。

「刃物?」

後ろは壁、前には不審者。

その状況で刃物を持っていると勘違いした剛太は、考える事を辞めて突然ストーカー(?)へと突撃する。

「近寄るなぁぁぁ!」

雄叫びを上げ、強く握った拳をその顔面へと叩きつける。

思い切り顔面へと吸い込まれた拳によって、男は後ろへと吹き飛んだ。

「今のうち!早く!」

無我夢中で彼女の手を引く。

慌てて手を取った彼女は、引かれるままにその場を後にしようとした。

倒れている男のそばを通った時に一瞬顔が見えた。

「……部長?」

その顔が見覚えのある顔で、声を聞いた剛太も同時に足を止める。

振り返りよく顔を確認してみると、会社に行く度に見る見知った顔。

「部長?!どうしてこんなところに」

殴られた場所を擦りながら懸命に体を持ち上げた男……部長は、何とも微妙な表情で手に持った物を差し出してきた。

「お前らが突然走り出すからどうしたのかと思ったら、何かを落として行ったから追いかけて来たってのに……俺が何をしたってんだ…日頃の恨みか?」

「す、すみませんでした!てっきりストーカーかと…」

土下座する勢いで頭を下げる剛太。

必死に追いかけて来ていたのは、先程まで咲を叱っていた部長その人だった。

「馬鹿言え……俺もこっち方面が家だって知ってるだろうが……そもそもしっかり顔を確認してから逃げろよ」

「返す言葉もございません…」

呆れた表情で立ち上がった部長は、手に持ったものをもう一度差し出す。

「これ、お前のペンダントだろ」

「あっそれ……落としてたんだ」

「しっかり物の管理をしろと言っただろうが」

「ありがとうございますっ」

こちらも全力で頭を下げ、ペンダントを受け取る。

その後、無事に咲を家まで送ったふたりはだったが、剛太は部長の真顔による圧力で飲みに付き合わされ、数時間に及ぶ説教を延々と聞かされる羽目になった。



いたちの最後っ屁 : 1.鼬が敵に追われた時、悪臭を放って難を逃れること。

2.転じて、切羽詰まったとき非常手段を用いること。また、最後の最後に醜態を演じること。

電車で寝ると、首が痛くなります。

そしてそれがそのまま背中へと流れてきます。

よって昨日からの腰痛とのコラボレーションが完成します。


どうも、上半身のほぼ全てが痛い、深夜翔です。

ベットから起き上がるのが辛すぎ案件です。

首は大事ですよ、電車内では充分に注意して下さい。


ちなみに本文の補足ですが、『非常手段』について調べた所、「非常の場合にやむなく使う手段。特に暴力的、強圧的な手段」だそうです。

解説がピンと来なかった方は、参考にしてみてください。

それではこの辺で、また明日……さらば!

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