石橋を叩いて渡る
「今日の授業はここまでだ。気をつけて帰れよ」
学生は、学校のチャイムと共に元気を取り戻す。
部活に行く者、何故か帰る速度だけ異常な帰宅部、長々と友達と談笑する者。
それぞれ自分の時間を過ごしている。
「拓也、帰ろう」
「待って、今準備する」
もちろんゆっくり帰る人もいるが、この拓也はやけに大量の荷物を鞄に入れている。
「テスト終わったばっかりなのに、何をそんなに持って帰ってんの?」
「ん?いつものやつ、朝は少し中身が多かったからこっちに入れてたんだ」
そう言って取り出したのは防災頭巾に大量の綿。
「毎日のように災害気にしてそんなん持ち歩いてるから変人だって言われんだよ」
「俺からすれば何故いつ起こってもおかしくないのにそんなに呑気でいられるのか不思議だけど」
「感性がズレてんだよなぁ」
しかし、その用途……持っている理由はそれだけじゃ無かった。
「それにな、この鞄に横向きに防災頭巾、そのサイドに綿を詰めておくと、もしも後ろに転んだ時に頭と背中を守ってくれるんだ。優秀だよ」
こんなことを真面目な顔で言う。
昔からの友達である優弥は呆れた顔で支度を待っている。
長く付き合っていると変人耐性が着くらしい。周囲からは変人レジスタンスとか言われる有様。
「待たせたな、帰ろう」
「とんでもねぇ待ってたんだ」
ノリまで完璧。これは類は友を呼んでいる可能性がある。
「珍しくこの時間にまだ人がいるね」
廊下を出てすぐ目の前にある階段を見ると、上の階から人が続々と降りてきている。
ホームルームが遅かったのかもしれない。
流れに逆らわずに階段に足を踏み入れる。
前を歩いていた拓也は、階段直前で立ち止まり優弥の後ろへと回り込む。
「ちゃんと手すり側を降りてくれよ」
「分かってるって。毎日言われてんだから忘れないよ」
理由は簡単。
拓也は足を滑らせる可能性を考えて、まずは手すり側。そして、他の人が転んだ時を想定して、なるべく後ろから降りる事を心がけている……らしい。
拓也曰く、「階段は1歩1歩慎重に、事故率が高いんだから」だそうだ。
何事もなく昇降口にたどり着くと、外を見て優弥がやらかした顔をする。
「まじか……雨降ってんじゃん、予報では夜からだったのに」
外は灰色の雲に覆われ、霧雨が辺りに満遍なく降り注いでいた。傘を持ってきていない優弥は走って帰ろうと鞄を頭に乗せる。
「急いで帰るぞ」
「大丈夫、雨の日は走ると危ない。それに俺は傘とカッパを持ってきている。ついでに学校に置き傘が2本あるから片方貸してあげよう」
「おっさすが。ってかそんなん入れてたから今日は鞄がいっぱいだったのか」
「今日はこの時間の降水確率が10%だったから」
「10%で持ってくる辺りが強い」
優弥はありがたく置き傘を借り、拓也はさも当たり前のようにカッパに着替える。折角持ってきた傘は学校に置き傘として置いておくらしい。
「もしもカッパを忘れた時に使う。出来ればカッパがいいけど……」
「傘は雷と転んだ時の危険があるからだろ?」
「よく分かってるじゃ無いか」
優弥は気づいていない。
自分が拓也に毒されていることに。
石橋を叩いて渡る : 堅固そうに見える石橋でも、叩いてその堅固さを確かめてから渡るということ。
1. 用心の上にも用心することの喩え。
2. 過剰に用心することを嘲って言う言葉。
夜、帰宅途中にミルクティーを飲みたくなって自販機に寄り、誤タップでコーヒーを買い寝れなくなりました。
カフェイン許すまじ。
どうも、実は結構カフェインに弱い、深夜翔です。
飲み物は炭酸か麦茶が好きですね。
カフェイン入りのやつは何故か気持ち悪くなってしまうのであんまり飲まないです。
まぁカフェインに限らず飲みすぎ食べ過ぎには気をつけてくだい。
それではまた明日……さらば!




