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ことわざ大百科 ver.短小説  作者: 深夜翔
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雨降って地固まる

「優勝……したんだ……」

「レンの指示のおかげだな」

「いや、このメンバーだったからできたことだ」

「だな!」

俺たちのチームは高難易度エリアを無事に突破してこの実習で1位になった。*14『危ない橋を渡る』参照。

先生が思った以上に驚いた事が少し嬉しさを感じさせる。しかしこのまま終われるかと思いきや、そうも言っていられない状況になる。

それは、数時間後に戻ってきた最後のチームの1人。やけに慌てた様子で高難易度エリアから出てきたので、この場にいた全員が色々な意味で驚きを隠せなかった。

「お前、そこを抜けて来たのか?!」

先生が見たことある反応を見せる。

「すごいぞ!そこを突破できたのは……」

「なあ、君……他のメンバーは?」

先生が興奮している最中に、レンが神妙な顔つきで尋ねる。その瞬間、この場の温度が2度ばかり下がったような気がした。

「お願いしますっ!他の……アヤ達を助けてあげてください!」

先生とは対象的に焦りの混ざった表情で頭を下げた。

「落ち着いて、何があったの?」

「それが……」

この生徒の話によれば、道中でゆっくりと進みすぎて時間が迫っている事に気がついた班長が、仕方ないと高難易度エリアに足を踏み入れたらしい。

そこで大量の魔物に襲われて洞窟に逃げ込んだが身動きが取れず、1番スピードの早い彼女に助けを呼んでくるように言われたらしい。

「先生、このダンジョンに魔物は出るんですか」

「いや、そんな話は聞いていないな」

「つまり異常事態と言うわけだ」

のんびりとしている暇は無いらしい。

普段は居ないはずの魔物が出たのならば、なにか異変が起きている可能性がある。

「皆……どうしたの?助けに行こうよ!」

俺たちのメンバーであるフーラが緊張した顔で叫ぶ。

だが、周囲の生徒は顔を伏せるばかり。

当たり前だ。ただでさえ危険だと言われるエリアに魔物。無闇に突っ込んでも死にに行くようなもの。

誰も行きたがらないのは普通なのだ。

「レン、今は時間が惜しい。どうする」

俺はひっそりとレンの横に移動する。

「僕に声をかけたと言うことは、いいんだね」

「よく分かってるじゃないか」

顔を見合わせ笑みをこぼす。

「ライオ!もちろん行くよな?」

「あったりめぇよ!」

結局いつものメンツが揃う。

「ダメだ!教師として君たちを危険に晒す訳には行かない!」

「でも、ここを突破できたのは俺たちだけ。魔物がいる以上先生がここを離れる訳には行かない。これ以上の話し合いは時間の無駄だ」

「……分かった。ならばせめてこの位はしてやらんとな。"リフォースメント"」

先生が放つ魔法によって体が軽くなる。

身体強化のバフの類いの魔法。先生なりの最大限の援護ということだ。

「無事に帰って来い」

「行くぞ!」

慎重に、だけども素早く移動を開始した。


「彼女の話ではこの辺りのはずなんだけど…」

「探査魔法かけるぞ」

「頼むね」

一定の範囲を探査魔法で確認する。

もう少し行ったところに複数の反応……洞窟の奥に3つの反応……これか。

「いた。だけど入口付近に数体の魔物の反応がある。話通りなら虎系の魔物のはず」

「何体居そう?」

「範囲内では6体。まだいる可能性は充分に有り得る」

「全員で突撃するのは避けたいね」

いくら優秀だったとしても俺たちはまだ学生。

魔物を相手にしたことなどあるわけが無い。情報がないと言うのは、それだけで不安になる。

「とりあえず、遠距離が使えるフーラは襲われる可能性も考えてライオに担いで貰って。ライオは防御に徹しながら一緒に洞窟に向かう。僕とハヤトは逃走経路の確保と、できる限りの迎撃」

「了解」

「おっけー」

「任せろ!」

走りながら指示を聞く。ここまでの指示を一瞬で考えつく辺り、さすが班長だ。

「初めにでかいのぶっ飛ばすから、フーラ合わせてくれ」

「え?あ、おっけ!」

「よしっ、もうすぐだ!」

そして周囲の木がなくなり開けた場所に飛び出ると、案の定白い虎の魔物がウロウロとしているのが目に入る。

こちらに気づいたのは1体だけ。素早く詠唱を済ませ魔法を放つ。

「「合成魔法"六角暴風陣"」」

飛び出た瞬間に放たれたそれは、生い茂る木々をまとめて飲み込む巨大な竜巻が複数発生。

中では斬撃の付与がついた魔法によって、何かが切り刻まれる音が常に響いている。

「2体残った!レン、片方は頼むぞ」

「そっちも気をつけてね」

ライオとフーラは洞窟に一直線。

俺とレンは魔法から逃れた2体を始末しに走る。

「"斬撃付与・属性付与・強度強化付与"」

走りながら持ってきた長剣に魔法を付与。

先生がかけてくれた身体バフのおかげで魔物の攻撃にも余裕で対処出来る。

「ガルァァァ」

魔物が俺に気づき、巨大な前足を振りかざすと、真空刃のような何かがこちらにとんでくる。

横に回避しながらギリギリで避ける。

(魔法?!いや……固有スキルってやつか)

上位の魔物はそれぞれ特殊なスキルを持った個体がいると授業で習った……気がする。

あれに当たれば痛いじゃ済まされないな。

「一撃で終わらせる」

剣を上段で構え、足に力を入れる。

俺の剣の技は人間相手のものが多い、魔物に効くかは分からないがさすがに首を落とせば倒せると信じたい。

「グガァァァァ」

休む暇も無く虎はまっすぐ走ってくる。

さっきの叫び声は何かの強化か…。

前足がキラリと光る。さっきとは違うスキルか?

一瞬目を離した隙に、気がつくと虎が目の前に迫っていた。強化無しの俺だったら瞬間移動したのかと思ったかもな。

「間合いに入ってくれてありがとな」

ほんの僅かな時間目を瞑り、神経を集中させる。

「じゃあな"狂技・首落とし"」

ピンっという音と共に、虎と俺の位置が入れ替わる。俺は素直に剣を下ろすと、虎は首と胴体が離れ、大量の血を吹き出して倒れた。

何とか勝てたな。

一息ついている場合では無い。

「レン!」

もう片方を相手していたレンはどうなったのか。

慌てて振り返ると、ちょうど倒し終えたレンの姿があった。

「危なかったね。どっちも無事で良かった」

「相変わらず…フーラ達には見せられないな」

レンの奥には、粉々に刻まれた虎の肉片が落ちている。技の傾向上仕方の無い事だが、女子には見せられたものでは無い。

「そうだね。とりあえず僕達も洞窟に向かおう」


「みんな!大丈夫かい?」

「レン!ハヤト!無事?怪我はない?」

洞窟のすぐそこには先に救出していた3人とライオ達が待っていた。どうやら全員無事みたいだ。

様子を見るにすぐに動く事もできそうだ。

「外の奴らは見える範囲で倒した。すぐにここから出るぞ」

「あ、ありがとうございますっ!」

念の為にもう一度探査魔法を使ったが、特に反応は無い。どうやら敵はあれで全部だったようだ。

俺達は助けた3人を引き連れて集合場所へと走った。


「アヤ!」

エリアから無事に帰った俺達は、チームの無事再開できたことに喜びながら、先生と話をしていた。

何故こんな事が起きたのか、これからどうするのかについて。


結果的には実習が無くなることはなく、行う際は一定の範囲に、先生の監視をつけ、ある程度実力のある者を最低限1人はチームに入れる事を実習のルールとして定めるに落ち着いた。

変わった事と言えばもうひとつ。俺たちのクラスは高難易度エリアをクリアしたクラスとして優秀組となり、クラスメイトの仲がかなり良くなった。

互いに高めあったり、色々な人とチームになったりと、実習前では考えられなかった光景が広がっている。

危険な目にあったのは事実だが、それはそれで良い経験になったと思う。

そう考えれば、結果としてあの実習は成功したと言えるのではないか。

眠い座学の授業を聞きながら、俺はそんな事を考えていた。



雨降って地固まる : 雨の降った後は以前にもまして地面が堅固になるということから、変事の後は、却って事態が落ち着いて、基礎が固まる、或いは、以前より良い状態になるということ。

やっぱり自分は戦闘してる場面を書くのが好きですね。妄想が捗るのなんのって。

おらワクワクすっぞ!


はい、どうも、バトル大好き深夜翔です。

気がついたらこんな量になってました。

ことわざを簡単にとは一体?

まあいつもの事ですしお寿司。許して笑ってください。

そして読んでくれた方、ありがとうございます。


ではまた明日……さらば!

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