網吞舟の魚を漏らす
「た、助けて……俺は、何もしていないのに…」
ここは処刑場。罪人を処刑するためだけに作られた、誰も近づきたがらないそんな部屋。
「刑を執行する!」
ガチャンと言う音と共に、頭上から大きな斧がゆっくりと降りてきた。簡単に言えばギロチンだ。
「そんな……」
「なにか言い残すことは?」
処刑人の眼には一切の光が無い。
国によって矯正させられた、感情のないものにしかこの仕事は任されない。命乞いは何一つ聞き届けて貰えはしない。
「ストップ!」
しかし、突然に開かれたドアに1人の少年の声。
いくら処刑人といえど、この方の命令には背くことは出来ない。
「お、王子!貴方のような人が来る場所では無いですぞ!」
後ろからここのお偉いさんである老人が追いかけてくる。静止を押し通してきたようだ。
「その者を後1週間ほど生かしておいてくれ!」
「な、何故です?そやつは大罪人ですぞ」
「それはまだ分からないからな」
驚いた事に、罪人の命を延命させろと言ったのだ。
もちろん、周りの反対は物凄かったが権力とは凄まじいもので、結局王子の言いなりになった。
「お兄ちゃん、この後どうするの?」
処刑場から出てきた王子は、植木の傍でしゃがみこんでいた少女に声をかけられる。妹だ。
「この国は法がおかしい。本来の犯人は無実で、無関係の人が殺される。そんな事はあってはならない」
「でも、1週間伸ばしただけ」
真顔で事実を述べる。ただ無表情なだけだが、この兄以外は何を考えているのか分からない。
「もう目星は着いているんだ。1週間もあれば余裕だよ」
妹の頭に手を乗せ、さも当たり前のように手を握り付き添いの兵士に連れられて王宮に戻って行った。
その2日後。
突然行われた王宮裁判に国民は驚いていた。
裁判、と言うよりかは法律の書き換え。裁判を通した法の変更だ。
「今からとある事件を証拠に話をする。この国の未来がかかっているのだ、最後まで聞いて欲しい」
そう言って出てきたのは紛れもない王子。
まだ少し子供に見えると余裕でいた政治家達は、続く話に最後まで表情を変えずにいられた人はいなかった。全員が青ざめた、有り得ないと思っていた。
最終的に法は変わったのだ。
たった1人の少年の力で。
罪人と間違われ殺されかけた男は釈放され、真の犯人はすぐに捕まった。
悪かったのは国の法。
ただ条件に当てはまると言うだけで犯罪者を決めつけ、あまつさえ処刑しようとしたのだ。
「ほらな、何とかなった。兄ちゃん凄いだろ」
「……でもまだダメ」
「分かってるよ、今変えられたのはほんの少し」
そんな国を変えようと動くのは、いつかの兄妹。
王子と姫。次の革命はどうすることやら。
網吞舟の魚を漏らす : 呑舟の魚とは、船を呑むほど大きな魚のことで、善悪ともに、大人物・大物の喩え。網の目が粗いために舟を呑むほどの大魚までも逃がすということ。法の規定が大まかなため、大罪人を逃がしてしまうということ。
最近、人生初のFPSゲームをやりました。
ガチ勢の気持ちが少しだけ分かった気がします。
結構楽しいですね!
どうも、やりたい事多すぎて時間が足りない、深夜翔です。
やっぱりゲームは最高だ。
今回の話、ことわざの意味とは少し違う話になっていると思います。
直接的には書かずに、ことわざの通りになる事が良くない事だと言うことが伝わってくれたら嬉しいです。
そして、今日も読んでくれた方、ありがとうございます。
それではまた明日……さらば!




