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ことわざ大百科 ver.短小説  作者: 深夜翔
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虻蜂取らず

とある休日。

学生たちがこぞって遊びに出かける中、俺は社会人になってから久しぶりに、昔の友達と買い物をしに東京まで出てきた。

買い物……と言っても欲しいものがあるのは友人の方だ。パソコンの周辺機器を探しているとか。

「いやーなんか久しぶりだな、こうやって話すのも」

「まぁな、社会人になってからこうして買い物に行く暇なんて全くなかったから」

「ほんとだよ!」

適当に話しているだけでも楽しいと感じるのは、日頃のストレスがあるからだろうか。慣れてきたと思っていても身体はストレスからの解放を求めていた。

「んで、どんなのが欲しいんだ?」

「とりあえず、全ての配線に繋げられて、通信速度、解像度が高いものがいいかな」

「欲張りすぎじゃない?そんなの売ってるの?」

「それを今から探すんだよ!」

中々大変そうだ。ただでさえ人が多くて移動に時間がかかる。見つかるといいんだけど。


2時間後。

「……ここも無いな」

「知ってた」

あれから5軒ほどまわってみたが、希望に合う物は見つからなかった。

そんなに要求する要素が多いのでは当たり前だけど。

「でも次の店は評判もいいしあるって!」

「それ、さっきの店の前でも言ってたからな」

まぁ個人的にも店を回るのは意外と楽しいし、思わぬ掘り出し物を見つけたりして、実は自分もかなり買っていたりする。

「よーし、妥協なんてしてやらねぇからな!」

気合いが入っていて何より。俺はもう何も言わん。


さらに3時間後。

「もう諦めたら?」

「……くそぅどうしてだよぉ」

結局、帰る時間になるまで探し続けたけど、1つとして要望に答える品は無かった。

途中からは最早意地が入って、少しいいものも却下していってたもんな。悲しいかな。

「どんまい。強欲に行き過ぎたな」

「なんの成果も得られなかった……」

悲しみの涙を流す友人。

「でもさ、俺は今日楽しかったぞ。また一緒に来ようや」

「お前……!もちろん!次こそ見つけてみせる!」

友人の目当ての物は見つけられなかったけど、いい一日だった。

またこうして楽しく買物ができる日を祈ろう。



虻蜂あぶはち取らず : 虻と蜂の両方を捕らえようと欲張ったばかりにどちらも捕れなかったという意味から、余り欲張ると却って何一つ手に入れることができないということの喩え。

どうも、深夜翔です。

虻蜂取らず、これまたあぶも、はちも難しい漢字ばっかりできついですね。

ちなみに、虻蜂取らず、意味は『二兎を追う者は一兎をも得ず』と同じような意味になってます。

欲しいものはなるべく欲張らずに、特徴や要望点はひとつに抑えておくといいですよ。


では今日はこの辺で、また明日……さらば!

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