後足で砂をかける
「こんにちは!」
「おっ、皆早いなーいい心がけだぞ!」
とある部活の風景。
部室前で待機していた1年生の所に、先輩達が褒めながらやってきた。
「1、2、3、4、5………あと一人足りないな」
「菅中は遅れて来ます!」
「理由は聞いてるか?」
「いえ……多分寝坊だと思います」
「入部2週間目でもう遅刻か?」
先輩と後輩、この部活はある程度優しい方ではあるが、さすがに遅刻や寝坊はゆるされない。ましてや入部してからそう日にちが経っていない1年生が連絡も無しに寝坊するのは、優しい先輩であろうと怒らざるを得ない。
「とりあえず、まずは外周10周だ!行くぞ!」
「「「はいっ!」」」
運動部において、体力は必須。
毎日の外周にも手を抜いてはいけない。
今から出発するぞと言うタイミングで、遅れて1人の1年生が顔を出した。
「遅れましたー」
頭がボサボサで、いかにも寝坊してきました感が否めない。
「おい!なんだその態度は!遅れてきたんだから素早く行動しろ!」
普段はあまり怒らない先輩が、珍しく怒りを顕にしている。
「はーい」
にも関わらず、反省した様子もなく部室へと入っていく。
そして、こちらもタイミング悪く顧問がやってきてしまった。
「おいっ!まだ準備が終わっていないのか!遅いぞ、何をしているんだ?」
時間に厳しいタイプの先生だ。
「すみません、俺の指示が上手くいっていなかったようで、すぐに出発します」
だが、折角来た1年生を見捨てずに、先輩がしっかりとフォローしてあげている。
「早くしろよ、時間は有限なんだからな」
そう言うと先生は部室の正面にある、体育用倉庫に歩いていった。
「菅中!急げ!」
先輩がフォローしてくれたにも関わらず、部室の中ではのんびりと着替えている1年。
さすがに見かねた部長が、部室のドアを叩き、
「早くしろと言っているだろう!嫌なら来なくてもいいんだぞ!」と叫ぶ。
「今行きます!」
これには舐め腐った態度の1年生も焦る。
少し急ぐ様子を見せ、無事にメンバーに合流する。
外周10周は普通に大変なメニューだ。
ただでさえ広い学院を10周もしなければいけないのだから。
「そこ!遅れているぞ!」
「…す、すみません……少し休みます」
態度の悪い菅中。ここでもいち早くダウンし、メンバーに遅れを取る。
「大丈夫か、休憩するなら門まで頑張れ」
1人の先輩が着いて、普通に門まで戻ってくると、かなりへばって座り込んでしまった。
もちろん、こういうときにやってきてしまうのが顧問と言うものだろう。門で休んでいる2人を見つけると、怒鳴り声をあげて近くに来る。
「お前ら!何を休んでいるんだ?まだおわっていないだろう!」
「はいっすぐに再開します!」
「1年はいいが、お前は直ぐにいけ!」
何故か一緒にいてくれた先輩だけが怒られる始末。
急いで走っている他のメンバーに追いつき、10周しっかりと終わらせた。
「次は校庭に移動だ!」
テキパキと行動が進められる中、やはり菅中は1人出遅れる。
「休憩するなら先生に言ってこい」
「大丈夫です」
声をかけてくれる先輩に愛想悪く反応し、校庭に走って行く。
そのあとはいつも通りのメニューをこなし、部活が終わる時間になった。
最後のミーティングが終わった後、外周を休んでいた2人は呼び出しを喰らう。
「お前らやる気はあるのか?」
「あります!」
「そうか、だが他と違い休んでいる回数が多かったな。最後の片付けはお前らがやっていけ」
「分かりました!」
そう言って校庭に戻ると、最悪の発言が菅中の口から飛び出る。
「先輩、僕この後予定が入っているので先に失礼します」
「お、おい!」
まるで他人事のように言い放つと、部室へと走って行く。
こういう時だけ行動が早い。
声をかける余裕もなく消えていってしまった。
「……………」
しばらく呆然としていた先輩は、とある決心をして一人黙々と後片付けをしていた。
次の日の練習。
相変わらず外周で遅れる菅中。
後ろから着いてきた先輩は、
「昨日は帰りあれだけスムーズだったんだ。休憩なしで頑張れよ」と肩を叩くと、どんどんと先に進んでしまった。
こいつにはもう絶対に情はかけないと誓ったのだった。
後足で砂をかける : 犬や猫は糞をしたあと後足で砂を掛けるような動作をするが、犬猫のそういう動作のように、面倒を見てくれた人の恩義を裏切るだけでなく、別れ際に更に迷惑を掛けて不快感を与えるというようなことをする。
とあるゲームにハマり、投稿が遅れかけました。
どうも深夜翔です。
やっぱりゲームは最高だぜ!
はい、冗談はこの辺にして。
今回の『後足で砂をかける』は、あまり聞いた事が無い方が多いのでは無いでしょうか。
意味は『恩を仇で返す』とほとんど同じですね。
こちらの方が聞いた事があるのではないでしょうか。こういう言い方もあると覚えてくれれば問題ありません。
では今日はこの辺で。明日も読んでいただけると嬉しいです。
ではまた……さらば!




