神は確かにそこに居た
風呂場を出た俺に最初の難関。
何故か俺の着替えの上にパンツ。
もちろん俺のではない。
女ものの下着だ。
美鈴か恵梨の下着なのだが…よく漫画で見る白パンツ。
恐らく夢衣の替えのものだろうが、こっちを先に見てしまったら男なら妄想しないわけがない。
どっちのか分からないがよくこんなものを持っていてくれたな!と感謝の極み。
今はそんなことはどうでもよく、いや、よくはないが、このままでは風呂から出てきた素っ裸の夢衣とご対面して理性が死ぬ。
とりあえずこの可愛げなおパンツを俺の着替えの脇に置き、すぐに着替える。
だがそこで俺は気が付いてしまった。
ブラがない。
何とブラがないのだ。
ここで俺はまた一つ気が付いてしまった。
美鈴か恵梨は風呂上りにノーブラだということに。
普段あまり家で合わないせいでそういうことを意識したことがない為に、この事実が加わると俺はとてもソワソワする。
俺とてもう健全な高校一年生だ。
無垢で可愛かった一年前とは違うのだ。
あの日、倭鳥夢衣と言う女の子に恋をしてから俺は女の子に対する意識が変わってしまったのだ。
この現状が一年前なら俺は何も気が付かなかったであろうし、気にもしなかっただろう。
だが今は違う。
それにノーブラになるという事実は美鈴と恵梨には当てはまらないのである。
いや、当てはまらなくはないかもしれないが。
そんなことより夢衣がノーブラでこれから俺の家をうろつくことになる、という事実が今ここに出来上がってしまっていた。
死んでしまう。
短期間でもの凄く色々な事を知ってアホみたいに距離が縮んだが、俺の中ではまだこの恋は冷めていないのだ。
いつもならこの展開速度だと、少し気になる。から妹みたいだな。と感情が変わっていたかもしれないが、こんなことがあっても未だに俺は夢衣にガチ恋中。
まぁ今までにこんなことが起きたことは当然ない。
ただでさえ風呂場で呼吸困難になりかけたのに、ノーブラで毎日家を駆けまわられれば爆発してしまう。
だがどう対応したものか。
美鈴と恵梨に言えば絶対馬鹿にされるし、面白がられてこのままノーブラで過ごしなさいと教え込まれるかもしれない。
色々考えた末に一つだけ答えを見つけ出した。
俺はすぐに風呂場を飛び出して自分の部屋に戻ると、クローゼットの奥深くを漁る。
見つけた。
クローゼットの奥から大きなショーケースの、ペンタブラックをも恐れるほどの黒い箱を取り出す。
この黒歴史ボックスになら、昔俺が着せ替えのためにつけさせられていた子供用のブラがあるはず。
猫耳やらお姫様服やらベビードールやら今じゃ流石に着たいと思えるものがないものばかり詰まっていたが、何とかブラを発見できた。
これを!美鈴と恵梨にバレないように!俺は今すぐあのおパンツの元へと届けるんだ!
階段を全力で駆け降り、脱衣所に戻る。
そして脱衣所のドアを開けたその刹那。
天使の裸体とご対面してしまった。
俺は思わず「you are divine…」と自分でも驚くほど綺麗な発音を声に出していた。
なんとなく更新してみました