倭鳥さんの秘密
すみません、今日は突然の予定が入ってしまって投稿がこんな時間になってしまいました。
あの後俺は昼休みに少し話がしたいと倭鳥さんに言われ、今倭鳥さんと中庭で二人っきりになっていた。
「で、話って何?」何を言われるかなんとなく分かっているからか、俺は妙に落ち着いていた。
「私のせいで事故に遭わせてしまって、本当にごめんなさい。」
「もう終わったことだからいい…俺は倭鳥さんが無事で本当に良かった。」
俺は無意識に倭鳥さんの頭をポンッと撫でた。
数秒して我に返る。「あ、ごめん…」
お互い顔を真っ赤にする。
やってしまった。つい中学の頃の癖で…
中学時代、人を宥めるのが日常だったせいで、こういう場面で頭をなでるのが癖になっていた。
まさか倭鳥さんにこんなことしてしまうなんて…まだ告白すらしてないのに…
あ、したわ。
そういえば病院で告白みたいなこと言ったわ!
やばい!なんでこのタイミングで今それを思い出した俺!
いやだ恥ずかしくて死にそう…
何とか話をそらさなくては…
「もっと…もっと…して…」
何故か頭を撫でろと言われている…
これは言われたからやるだけだ、決して変なことは考えるな俺。
俺は再び倭鳥さんの頭を撫でた。
だが倭鳥さんの反応がいまいち可笑しい。
「ち、違う、もっと私に説教して…」
…え?
倭鳥さんは泣いていた。
あぁ、顔が赤かったのも泣いていたせいか。とんでもない勘違いをしてしまった。
だがなぜ泣いている?
「ごめん。なんで泣いてるか教えてくれる?」俺は優しく問う。
「私、怒られたことがなかったの。でも今回はしっかり悪いことだって分かった…それに、これ以上やって良い事と悪い事の区別が付けられなくなったらと思うと、私怖い。」
良い事と悪い事の区別って…俺が見た感じだと特に悪いことを日常的にやってるわけじゃないと思ったけど…まだ顔合わせて二日目くらいだけど。
「そうなのか。でも俺は倭鳥さんがそんな悪いことするようには見えないんだけど…」
「噂…あのへんな噂したの私なの。」
それは悪い子だ。大変だ。倭鳥さんがまさかそんなこと…
いや待てよなにか事情があるはず…「倭鳥さん、なんで俺の変な噂流したんだ?」
「面白いと思ったから…それに、有栖さんがヤンキーを目力で追い返してたのも見たもん。」
…。いつの話だ?俺がヤンキーを追い返した?
「それいつ頃の話?」
「去年。」
あ。
一つだけ心当たりがあった。
だが、まさかあの現場を見られてるとは思わなかった。
どうしよう。非常にまずい。これだけは美鈴と恵梨にバレるわけにはいかない。絶対に。
「どこまで見てた?」
気持ち脅す感じで確認をとる。
「なんか、誰かがヤンキーに殴られてるところから、有栖君が目力で追い返してるところまで。」
全部ってわけじゃあないが…ほぼ見られてんな。
どう誤魔化すか…
「あぁ、あれはね、お芝居の練習だよ!」
咄嗟に思いついたことを言ったが、流石にベタ過ぎるよな…
「なんだ、そうだったんだ…」
この子もアホだ。
「でも私、あの時の有栖君、かっこ良くて一目惚れしちゃった…」
トゥンク。ときめいた。とっても。
めっちゃ笑顔だしめっちゃ可愛い。めっちゃ好き。
「ゴホン。でも噂広めたのは悪いことだ。今後はやらないでくれ。」
いかんいかん。本題を見失うところだった。
「ごめんなさい。」
まぁ反省してるみたいだしいっか。
「わかればよろしい。腹減ったし教室戻るか。」
「うん!」
大事なことを聞きそびれている気もしなくはないが、倭鳥さんの謝罪も無事終わり、俺たちは教室に戻って行った。