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第一話パート2

少し短いですが投稿します。

30分後、無事に中隊と合流したヤマト達は一箇所に集められた男たちを相手に尋問を開始しようとした。初め、意識が回復した男たちは自分たちが捕縛されているのを知ると無理やり引きちぎろうとしたが、ヤマトたちが銃口と共に殺気を向けるとおとなしくなった。どうやら男たちにもこれが武器だと理解したらしい。

 ヤマトは男たちの中で一番年が上だと思われる男に声をかけた。


 「あー。とりあえず言っとく。お前たちは捕虜になった。わかったならまず名前と所属を言え」


 その言葉に男は一瞬考えるかのような表情をした。そしてヤマトにこう言った。


 「名前はファルス。傭兵だ」


 「そうか。なら次の質問だ。なぜ、あの少女を殺そうとした」


 ヤマトの質問に最初、ファルスは無言を貫いたが、ヤマトが殺気を出すと彼は次の言葉を発した。


 「…依頼者からの指示だ。詳しい理由は俺にもわからない。ただ殺せとの事だ」


 その言葉にヤマトはとりあえず納得すると今度は別の質問をした。


 「次の質問だ。お前たちはなぜそんな中世時代の武器なんか使ってるんだ?」


 それを聞いた瞬間、男たちは何を言ってるんだという表情を見せた。そしてヤマトにこう言った。


 「お前ら何を言ってるんだ。これ以外どんな武器があるっていうんだ」


 その言葉に今度はヤマトたちが何を言っているんだという表情をする。とりあえずヤマトは冷静になって彼に聞いてみた。


 「いや、普通に銃があるだろ。剣やナイフ、弓矢で武装なんて一部のものを除いてありえないぞ」


 「なに言ってる。銃? 何だ、それは? 新しい兵器か? 聞いたことがない?」


 ヤマトは一瞬彼が狂言を言っているのではないかと疑った。しかし冷静に彼を見ると、とても嘘や狂言を言っているようには見えなかった。逆にこちらが狂言を言っているのではないか。そういう風に受け取られているかに思えた。

 とりあえずこれ以上ここで尋問をするのは困難だ。そう思ったヤマトは、尋問を切り上げることにした。


 「……まぁその事は置いておこう。とりあえず……」


 その時だった! 


 それはヒュンとまるで風を切るかのような音でヤマトへと襲いかかろうとした。それに気づいたのはただ一人、ユイだけであった。


 「! 兄さん、危ない!」


 その言葉に反応したヤマトは体をひねった。しかし、


 「……ガハッ!!」


 それは矢だった。どこからともなく襲ってきた矢はおそらく心臓を狙っていたのだろうか。それを回避しようとしたヤマトは代わりに右肩へと命中、貫通することになったのだ。そしてそれは恐ろしいことをヤマトにもたらした。


 「なっ、なんだ……この痛み……は……!」


 ヤマトは驚いた。攻撃が当たったことは何度でもある。しかしその痛みは現実とは違いまだ耐えられるほど。たとえるならサバイバルゲームでBB弾が命中した時の痛みが少し強くなったぐらいなものだった。これは現実の痛みと同じにすると脳に多大な負荷がかかるとのデータから安全性を高めるために行ったことだ。しかし、今回はそれ以上の痛み。そうまるで本当のような痛みをヤマトにもたらしたのだ。


 「兄さん! とにかく治療!」


 ヤマトが痛みにうずくまる中、以上に気づいたユイは持っていた治療薬を持ってヤマトのそばに駆け寄った。すぐに弓を折り肩から引き抜くと治療薬の入った注射器を注射した。注射が終わると傷口がどんどんなくなっていく。そして10秒後には傷一つない状態へともどっていたのだ。

 これはゲーム内で使える治療薬であり、これを使うことで瞬時に体力やけがの回復を行うことができるのだ。ちなみに死ぬほどの状態になった場合は衛生兵の治療が必要となる。

 

 「これで大丈夫だよ、兄さん! 大丈夫!」


 そうユイは心配そうにヤマトに言った。


 「ああ、ありがとう。しかしなんだ。この痛みは……」


 そうヤマトがつぶやいた時だった。彼が見た先、そこにはとんでもないことが起きていたのだ。


 「がは! く、苦しい……!」


 "助けて……血が……!"


 "頭が……頭が……!"


 突如として傭兵たちが苦しみもがき始めたのだ。そして突如として起こった異常事態に誰もが対処できない。そして……


 「た、助けて……」


 その一言を発して彼らは一斉に息を引き取ったのだ。一人は血を流しながら、一人は泡を吹きながら。そんな彼らが倒れている風景はまるでこの世の事とは思えない様子であった。


 「……いったい何が……」


 俺はいったい何が起こったのか理解できずにそう発してしまう。そして俺たちはしばらくの間、何もできず呆然と立ちすくんでしまった。




 「……良し、これで証拠は完全になくなった……。しかしこの私の狙いから逃げるとは大した奴だ」


 彼はヤマトたちから数百メートル離れた高い木の上から、望遠鏡を片手に先ほどの様子を確認するとそうつぶやいた。全身をまるでRPGに見かけるようなローブに身を包んだその姿はどこか怪しげな雰囲気を醸し出していた。


 「王女を殺せなかったのは残念だが……、まぁいい。作戦を変更、あれを試すか」


 そう言うと彼はいきなり木からためらいもせずに飛び降りた。普通ならけがどころではない高さなのだが、彼は危なげもなく着地して見せた。そして彼は不可思議な形をした木の杖らしきものを取り出すと、先端部分を地面にさした。


 『ミラージュ』


 そう彼が言葉を発した。すると一瞬にして彼の姿が見えなくなってしまった。

 

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