表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

木洩れ日の差すベンチの下に

作者: ミゾレ*

吹き出すようなギャグはありません。

あっても、クスリと笑うほどのもの。

お茶や珈琲片手にごゆっくりどうぞ。


とっても短いので、バッと読むとすぐ終わっちゃいますからね、ほんとに。

 揺らめく木洩れ日をなんとはなしに眺めて、ベンチに腰掛け一息吐く。



「………ん……………」


 流れる風が私の髪を玩んだ。マラカイトグリーンの天蓋を、無邪気に駆ける足音が耳に心地良い。


「……すぅ………はぁ…………うん」


 空気の中の音を楽しむ。すると、お伽噺に迷いこんだかのように、ここにいる皆がお喋りを始めるのだ。


 風だよ、風だね、風だ、風が来たよ。

 僕だよ、僕、風だよ、僕が来たよ。


 草花が右に左に噂して、風は声を薄く広く響かせる。


 わあ、風だよ。うん、風だ。

 ああ、風だ。風かな?風かな!


 そよそよと体を揺らした落ち葉に、コロコロと転がる木片が達観したように返す。

 木の葉が鳴ってようやっと起きた木の枝先で、雀達は何やら楽しげにしている。



「………いいなぁ」


 なんだろう、なんでだろう、彼らが羨ましい。


 人間には文字を書く手があって、地を駆ける足があって、音を歌にする口が、声があって、感じて考える頭があるのに。


 ただ在るだけの彼らが愛おしい。



 いいなぁ、いいなぁ、在るがままなんて。




 なるほど、私は私に忠実になりたいようだ。

 思ったところで、どうしようもない。だって、生きるも死ぬもままならない、生き方だって自由にできない世界でも、それが私の生きている世界なのだ。



 なーんて、難しそうな、難しくなさそうなことは忘れようかな。うん、忘れちゃおう。


 今だけは、私も、在るがままでいたい。






 …………にゃぁ。


 あら、猫ちゃん、こんにちは。

 うりうりうり、お昼寝してたの?

 ………………。

 うりうりうり、うりうりうりうり。


 ……にぃ。


 あっ、行っちゃった。


 っくしゅん。………んー、花粉なのかな、今までそんなことは。



 あー、そういえば、猫アレルギーだったっけ。

 っくしゅん、っしゅん。


 ど、どうしよう、とりあえず手を洗おう。そうしよう。


 っくしゅん。



 ………自由気ままも、難しいなぁ。


 ふぇっくしゅん。


 ところで水道は何処ですか。

そしてこの後、地図の掲示板を探して彷徨うのでした、なんて。


あ、野良猫って汚いって知ってても触る人です。猫アレルギーなのを知っているのは、猫カフェに突撃してその帰り………。猫も寄ってきてくれなくって、遊んでくれなくって……寂しかったですね。ええ。


純文学好きの皆様、カテゴリ違いかもしれませんが、ヒューマンドラマに入れるのも違うかと思ったので……どうかお慈悲を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ