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「……う……」
目を開けると、そこは見慣れない天井が広がっていた。
僕の部屋でもない。保健室の天井でもない。となればここはどこだろうか。
頭がぼんやりとして思考が働かない。そんな風にぼーっと天井を見つめていると、すぐ傍からがちゃがちゃと金属が擦れる音が聞こえた。
「ん、起きたか。体の調子はどうだ?」
ゆっくりと顔を向けると、あり得ない格好の人物が僕の方へと近寄ってくるのが見えた。
どこかで見たことがある格好だなあとこれまたぼんやりと眺め―――飛び起きた。
正確には飛び起きようとしたけど、体が鉛のように重たくて、軽く身じろぎする程度にしか動けなかった。
「ああ、無理に起きなくていい。起きて早々すまないが、楽な態勢で構わないから聞いてくれ」
そんな僕の体調を知っているかのように、騎士風の人は片手を上げて首を左右に振った。
動くたびに金属音がして少しうるさい。動きづらくないのだろうか? そもそも、何でこの人は鎧を着ているのだろうか。
ダメだ、頭がぼんやりして全然思考が纏まらない。おそらくここは僕がいた日本ではない。
僕は死んだはずだ。自称女神が言う通りであれば、僕はあの時階段から落ちて死んだはずだ。
なのにどうして今生きている? この人は一体どこの誰で、ここはどこなんだ? ゲームでしか見たことのない魔物が現実に居る世界が在るだなんて、見たことも聞いたこともない。
ここは間違いなく日本ではない。となれば、別のどこかしかない。
それがどこかはわからない。わからないことだらけで、奥底に沈んでいた恐怖が蘇ってくる。
僕はこれからどうなってしまうんだろうか。怖い、考えたくない。―――死にたくない。
「う、うあ……」
僕が叫ぼうとするとほぼ同時に、すっと右手が差し伸べられた。そしてもう大丈夫だと言わんばかりにゆっくりと首を振り、優しい声音で落ち着け、と諭された。
それだけで僕の恐怖は和らいでいき、呼吸も楽になった。改めて、この人は何者だろうと不思議に思った。見ず知らずの僕を助けて、介抱までもしてくれた。良い人……だろうと思うけど、兜のせいで表情が見えない。
僕が落ち着いたのを見計らって、騎士さんは一度だけ大きく頷いて、ぼそりと何事かを呟いた。声がくぐもっているせいで何を言ったかはわからないけど、確かに何かを呟いたことは分かった。
「さて、落ち着いたところで、改めて質問しよう。君は一体何者だ? どこから来て、なぜあの場所にいたんだ? それも丸腰で、だ」
落ち着いたことで、この状況がアニメや小説の題材として良く使われる異世界だと言うことに気付いた。
だからこそ答えに困った。何者かと問われても、日本から来た者ですと言って通用するものだろうか。
自称女神と話していて、光に包まれたと思ったら次はあの場所にいた。つまり僕は本当に違う世界に飛ばされたと考えられる。
ゲームの知識としてあれがスライムと言う魔物であると知らなければ、ここまで冷静に思考が纏まらなかっただろう。
あくまで知っているだけであって、それがどれだけ恐ろしいものかなんてわかりっこない。だって、作られたデータの世界だけのものであるはずなんだから。
でも僕は身を持って恐怖を刻み込まれた。左腕が溶けていく感触を、命を蝕まれていく感触を、この身を持って知った。
だからこそ何も言えない。言えるはずがない。それを言えるはずもない僕は、目を伏せて口を噤んだ。
「正直に答えてほしい。我々としても、あまり手荒な真似はしたくない」
「どういう……意味です?」
僕が寝ているベッドの横に椅子を持ってきて、がちゃがちゃ音を鳴らしながらそれに座った騎士が、兜の奥から刺すような視線を向けてくる。
空気が明らかに変わった。せっかく落ち着いたと言うのに、鼓動が速くなっていく。
そんな僕の心境を知ってか知らずか、騎士さんはぐっと身を乗り出して、話を続けた。
「見たところ、どこぞの貴族ではないか? 礼節も弁え、気骨もある。ここらで見たこともない服も来ている。それに貴族特有の豚……失敬、健康的に育っている事も踏まえて、そうではないかと仮説を立てているが、どうだろうか」
「今豚って言った……」
「聞き違いじゃないかな?」
明後日の方へ向いてとぼけられた。兜の中から下手くそな口笛が聞こえる。全然音が出てなくてふひー、ふひーといった息の音しか聞こえないけど。
少しだけ緊張が和らいだので、真剣に考える。この人は僕を貴族の息子かなにかと勘違いしているようだ。であればその流れに乗っかるべきなんだろうけど……正直、僕は嘘が苦手だ。
だから言える範囲で、正直に話そう。信じてもらえるかは別として、だけど。
「良く……わかりません」
「わからない、とは?」
「気付いたらあそこにいて、僕がどこから来たとかは……わかりません。僕は英雄……木綿 英雄。それくらいしか、わかりません」
「ふむ……立場が分かっていないようだから、教えてやろう」
騎士さんがため息を吐きながらゆらりと立ち上がり―――甲高い金属音と共に、僕の首筋に冷たいものがぴたりと宛がわれた。
「なに、を……」
「そんな戯言を誰が信用するか、と言うことだ。正直に吐け。組織に使い捨てされたか、はたまた弱者を装って油断させる腹積もりか、それはどうでもいい。アスカルドからの刺客か否か、私が聞きたいのはそれだけだ」
先程までの和やかな空気が嘘のように豹変する。心臓が早鐘のように鳴り続ける。息が苦しい。うまく息ができない。
唐突に、剣道をやっていた頃を思い出した。あの時にも感じたもの、だけどこれはその比じゃない。あんな生易しいものじゃない。
これが何なのか、僕は知っている。これは、殺意だ。
答えねば殺すと、本気で言っている。
「とぼけるつもりならその肥えた肉、少しずつ削ぎ落す」
くっと腕が僅かに動き、ちくりと首筋に痛みが走った。何か言わないと。何か言え。言うんだ。
分かっていても体は素直に動いてくれない。僕はかちかちと歯を噛み合わせ震えることしかできなかった。
言え。違うと言え。言うしかないんだ。ダメだ。怖い。死―――。
「それくらいにしてやんな、隊長さんよ」
首筋から伝わる冷たさがふっと消え去った。
はっと我に返って騎士の方を見ると、初めからそこにいたかのように、見知らぬ男が立っていた。
男は騎士の肩に手を置き、もう片方の手で、剣を握る腕を握って静かに首を振っていた。
「……クレイヴ。誰が入室を許可した?」
煩わしい、とばかりに腕を払いのけ、剣を鞘に納めつつ男を睨みつける騎士。
男はやれやれと肩を竦め、深く深く、ため息を吐いた。
「どう見てもただの子供だろ。ちーとばっかし珍しい髪と目だが、な」
「敵の密偵であれば即刻処分すべきだ。国を、延いては陛下を危険に晒す訳にはいかない」
「どこにこんな間抜けな密偵を放つ国があるってんだ。たかがスライム一匹に死にかけるような奴、使いもんにならんだろ」
ちらりと僕を横目で見る男。思わずびくりと体が震え、さっと顔を背けてしまった。
どうしても顔が見えている相手は苦手だ。目が、口元が、僕を醜い者と嘲笑っているようにしか見えない。
「……むう、それはそうだが……」
「すまんな坊主、お嬢はどうも頭がアレだから融通が利かねえんだ。おっさんは怖くねえから安心しろ、な?」
「アレとはなんだアレとは! それと私をお嬢と呼ぶなと言っているだろう!」
「今は俺たち以外いないからいいだろーが、頭固えなあ。つーかいつまで兜つけてんだ。暑くねえのそれ」
「いちいちいちいち一言多い男だな全く! 脱げばいいんだろう脱げば! さっき戻ってきてそのままだったんだよ!」
地団太を踏んで脱いだ兜を力一杯床に叩きつける騎士。一際大きい音が鳴り、そのせいでびくっと体が震えた。
あーあーと気怠そうに兜を拾おうとしている男がちらりと見えたが、それも一瞬。それを見ただけで何もかも吹き飛んだ。
「……綺麗だ……」
「は?」
「あん?」
思わず口を突いて言葉が出た。それしか言葉が出なかった。
ため息が出る程綺麗な少女の素顔が、あの武骨な兜の下に隠されていた。
二の句が継げず、茫然と見つめている僕に、不快感を隠そうともしない少女が鼻面に皺を寄せて、くしゃりと顔を歪めた。
「豚が厭らしい目で私を見るな。汚らわしい」
「お嬢、それは豚に失礼だぞ。豚は食えるし栄養満点だ。坊主は人間だ。家畜と人様を比べちゃいかんぜ。たとえ坊主が豚に劣る存在だとしてもだ」
「……」
すうっと現実に引き戻された。何を舞い上がっているんだ僕は。
この人たちと僕は違う。僕は豚ではないけど、それと同じようなものなんだ。
僕は醜い。醜い人間に価値なんかない。だから、僕は―――。
「坊主。お前さん、少しは言い返しなさいな。俺が言うのもなんだけど、結構酷い事言われてるんだぞ?」
「……」
下を向いて黙っていると、短いため息が聞こえた。
言い返して何になる? 違うと否定して、熱くなったところでまた嗤われるだけ。疲れるだけじゃないか。
「えーと、坊主、なんてったっけ? キワタフサオ? フサオなんて家名、聞いたこともねえなあ……」
「あ、いえ、英雄が名前で、苗字が木綿、です」
「あん? 普通逆じゃねえのか? 随分とまあ変わりモンだこって。フサオ・キワタってーことか。それにしてもキワタって家名も聞かねえなあ」
思わず反応してしまった。ぱっと顔を上げると、男が親指で無精髭を撫でながら、僕を見つめていた。
その視線には敵意は感じなかった。むしろこちらを知ろうとする、探るような視線。
これもこれで居心地が悪くて、下を向く。また短いため息が聞こえた。
「名前なぞどうでもいい! 今はこいつが敵か否かはっきりさせるべきだろう!」
「いやだから敵じゃないってさっき言ったじゃねえか。怪しさ満点であることは否めねえけど」
「だったら!」
「あーもーお嬢は黙ってろ。お前さん、名前しかわからんのだよな?」
力強く足を踏み鳴らす少女に、男は本気で鬱陶しそうに声を荒げ、僕に対しての質問を続けた。
小さく頷くと、男からも頷く気配がした。そして少女と立ち位置を変わったのか、幾分か僕に近づいて話を続ける。
「オーケーオーケー。じゃあここがどこか、俺たちが何かも当然わからんよな?」
「は、い」
掠れた声で答える。当然わかるはずもない。鎧をつけていることから、どこかの騎士じゃないかと憶測はできるが、今の段階ではこの二人の素性は全くわからない。
とても綺麗な金髪碧眼の女の子と、右目の辺りに引っ掻き傷がある初老の男の人、としかわからない。
と、そこで僕が見える位置に不思議な紋様が刻まれたネックレスのようなものが持ってこられる。
これが何かあるのだろうか、と顔を上げると二つの視線が飛び込んできたのでさっと顔を逸らす。
「ほん……徴にも無反応……こりゃひょっとしなくてもアレだな」
「アレとはなんだアレとは。お前の言うアレは多すぎて何が何だかわからんのだが」
「アレはアレでそれはそれ。つまり坊主は記憶喪失ってこった」
僕がいた世界ではそんな詐欺があったような気がするなあとふと思い出してしまった。
この状況で良くそんな呑気な事ができるのかと、自分でも少し驚いたけれど。
「だからと言って、敵ではないと断言できん。記憶が蘇り、牙を剥くやもしれん」
「それこそあり得んだろうに。理由はどうあれ、スライム如きに死にかける奴がファンターハンをどうこうできるとは思えんがね」
「ではどうする? このまま野放しにしろと?」
「最悪、牢屋で終身刑ってのもありだが……見たとこまだ子供だ。おじさんとしては、そういうの胸が痛むねえ」
二人の問答が続き、場が重苦しい空気に包まれる。
やはり僕は死ぬのだろうか。一度死んでいるはずなのに、どうしようもなく怖い。
僕が読んだことのある異世界の物語はどれもチート能力、最強の力が当り前のように備わっていた。
僕にそんなものはない。これはゲームの世界じゃない。紛れもない現実なんだ。でなければ、この痛みは一体何だと言うのか。
「あとちーと気になったんだがお前さん、お嬢が剣を抜いた時、明らかに目が動きを捉えてたよな? 何かやってたのか?」
「……剣道を、少し」
突然話題を振られてびっくりした。それに、なんで見えていたと分かるんだこの人は。
多分と言うか絶対に、この人に嘘や誤魔化しは通用しない。だから僕は震えそうになる声を抑えて、正直に答えた。
「ケンドー? なんだそりゃ」
男からの返答は何というか、予想通りのものだった。
僕は失礼と分かっていても、極力目を合わせないようにして剣道が何か、と言うものを説明した。
少女からの視線は相変わらず厳しいものだったが、男は顎髭を親指で撫でながら時折相槌を打ち、真剣に耳を傾けてくれていた。
「ほぉん、要はチャンバラごっこか。それだけであの動体視力がつくとは思えんが……まあ、相当長く剣を持たんと、そうはならんわな」
「あ、う……」
「潰れた豆の上に出来た豆を潰し、それの繰り返しで硬くなった皮膚。ぱっと見でも相当な時間を費やしたことは一目見りゃわかる。だのに、このだらしない贅肉といい、さっきから露骨に目を合わせないことといい、お前さん、内側に相当厄介なモン抱えてんなあ」
今まで黙って聞いていた男が、説明を終えた僕の腕をがしっと掴み上げた。
あまりに突然、しかも挙動が全くなかったので身構える暇もなく、ひっ、と短い悲鳴を上げてしまった。
男は僕の手のひらが見えるように掴んだ腕を動かし、手のひらをまじまじと眺めてぱっと手を離した。
そしてまた、短くため息を吐いて、そっと僕の肩に手を置いた。
「わかる範囲でいい。話せる範囲でいい。お前さんの話を聞かせちゃくれねえか?」
諭すような声音に、その優しい眼差しに、父さんの姿が重なった。
かっと目頭が熱くなる。この人は多分、僕を分かった上でそう言ってくれている。
でもダメだ。まだ心のどこかで信じきれてない僕がいる。だから僕は、そんな僕自身が嫌いで仕方ない。
深く、すべてを吐き出すように息を吐いて、僕は初めて自分の過去を、他人に話し始めた。
◇
「……そうか。それでこうなっちまった訳か。まあ、無理もないわな……」
「……僕が弱かったから、でも、どうすればいいか……わからなくて」
「……ぐすっ。辛かったんだな……ふぐっ……ぐすっ」
「お嬢、汚い。顔中汁だらけじゃねえか」
それから僕は、名前も知らない少女と男に自身の過去を打ち明けた。
日本であることや、別の世界から来たと言うことは伏せて、出来る限り話した。
この性格、体型に至り、剣道を辞めた理由。全ては僕のこの顔が原因だ。
父さんや母さん、兄さんや姉さん、家族全員が美男美女であり、裕福な家庭と言うことも拍車をかけた。
人並み以下であり、冴えない顔をしていることは重々承知していた。
だからこそ、僕は剣の道をひたすらに進んだ。だけどある日、僕はそれすらも奪われた。
ブサオの癖に生意気だと、他愛無い理由で階段から突き落とされた。
右腕の複雑骨折。日常生活に支障はないけれど、その怪我の後遺症、指の痺れのせいで満足に剣を振ることすら出来なくなった。
それから僕は心を閉ざした。家族に甘えてこんな有様になってしまった。
僕が弱かったから。でも、どうしようもなかった。どうしようも、なかったんだ。
「よし、決めた!」
「は?」
先ほどまでずびずびと幻滅するほど大きな音を立てて洟をかんでいた少女が、やたらとすっきりした顔でぐっと拳を握りしめた。
それを胡乱げに見やる男は、どこか疲れているようにも見える。僕も何事かと交互に二人を見やり、成り行きを見守る。
「フサオを騎士だ「身元の保証もできねえのに入団できるわきゃねえだろ」そうだったあああああ!」
言葉を途中で遮られ、がくっと盛大に両手両膝を突き、本気で落ち込む少女。
がんがんと床を殴りつけ、本気で悔しがっている様子が見て取れる。
何が何やらわからない僕はおろおろと慌てることしかできなかった。
すると男があまり手入れしていないであろうボサボサの茶髪に手を突っ込み、がしがしと掻き毟りながら盛大にため息を吐いた。
「まあアホはほっといて、お前さんにいい話がある。っても、乗るしかねえと思うんだがな」
「え、えっと……は、はぁ……」
どっかりと椅子に腰かけ、ずいっと身を乗り出してくる男。
歯切れの悪い返事にも気にした素振りを見せず、男はにやりと唇の端を吊り上げて笑い、話を続けた。
「冒険者になりな。冒険者なら身元保証もいらねえ。まあ推薦人ってのがいるんだが、それはそこのアホの子で大丈夫だろ」
「おいクレイヴ! 今私をアホ呼ばわりしなかったか⁉」
「してないしてない。あと今大事な話だから話の腰を折るな脳足りん」
「クレイヴ叔父様。貴方の事は忘れませんわ」
「あ、そうだテレシア。向こうの棚に飴玉があるんだが」
「飴玉どこ⁉ あったああああああああ!」
まるで漫才でも見ているようだった。コロコロ表情の変わる少女は見ていてとても面白い。
そして少女はテレシア、この人はクレイヴさんと言うようだ。忘れないように頭にメモし、クレイヴさんが指さした棚を猛然と漁っているテレシアさんに苦笑しかできない。
僕がテレシアさんを見て苦笑していると、クレイヴさんがほっとけ、と言うように手をひらひらさせる。
「あれでも一応騎士団の隊長やってんだから世の中わからねえもんだ。んで、冒険者ってのは簡単に言えば何でも屋みたいなもんだ。ギルドを通して依頼を受け、報酬をもらう。単純明快だ。ま、細かいことはギルドに行ってから自分で確かめなすって」
それだけ言うと、クレイヴさんがよっこいせ、と親父臭い掛け声と共に腰を上げる。
そして僕の目をしっかりと見据えて、ふっ、と相好を崩した。
その目が、その笑顔が、僕を応援してくれているような気がした。多分、そうなんだろうと思う。
少なくとも今この状況で、クレイヴさんは僕の味方でいてくれている。
「ま、色々と事情があるのは分かった。いつか上っ面じゃなくて、お前さんの話を聞いてみたいもんだ。っておいテレシア! 食いすぎんなっていつも言ってるだろうが!」
「むー! んむむー!」
こうして、僕は異世界に招かれざる者として呼び出された。
これは僕が小さな頃から憧れ続けた英雄になるまでの物語。
この時の僕は、まだ何も知らなかった。知るはずも、なかったんだ。