憧れの天才科学少女からのお題に挑戦しようと思います
よければ、現象の謎を解いてみて下さい^ ^
春……
俺、高橋光太郎は
とある天才科学少女を追いかけて
この『私立川島学園高等学校』に入学した。
天才科学少女、というのは
俺が小学生だった頃
有名な、それこそ世界で活躍する偉い人が発表するコンクールで優勝した少女だ。
あの時、親が出席するからという理由で俺も発表会を見学していた。
俺と歳が変わらないくらいの女の子が舞台で自分の研究を発表している様子に、正直びっくりした。
多分俺は惹かれていたんだと思う。
大人たちがいる中堂々と発表する彼女の凛とした姿に……。
それからは大変だった。
彼女に追いつこうと必死で科学、物理等の理科の勉強をしまくった。
(当時は彼女が何を言ってるか全くわからなかったのだ)
そして、あの日以来表舞台から姿を消した彼女がこの学園に入学したという噂を頼りに俺もまたこの学園に入学することにした。
退屈な入学式を終えて
俺は科学部を見つけるべく各部活の新入生歓迎ポスターを載せた掲示板へ行く。
「えーと、科学部は……っと…え?……」
見つけた。
科学部のポスター自体は見つけたのだが肝心の場所等が書かれていない。
……どういうことだ?
はっきりと『科学部』とは書かれているのに、こんな穴だらけのポスターが果たして受理されるのだろうか?
じっと顔を近づけて紙を見てみる。
すると
「何か匂いがする…?」
何も文字が書かれてない場所からの匂い…
(もしかして!)
俺は紙を掲示板から剥がして
家庭科室に行き、その紙を火で炙ってみた。
すると、やはり火で炙った所から熱に反応して文字が浮かび上がった。
(『あぶり出し』か……)
さて、そこには場所が書いてあった。
俺は5階科学室に着いた。
扉を開ける前に1つ深呼吸をしようか?
緊張するのも当然だ。
ここにあの人がいるかもしれない…
上に俺はあのふざけたポスターを作った奴を殴りたかった。
「おや?君は新入生かな?」
扉から女の子が出て来た。
女の子は、小学生と同じ位の身長で顔の幼さからみても
小学生と間違えてもしょうがないような女の子であり、ぶっちゃけ可愛い………いやいや、俺はロリコンじゃない。
一般的に、一般的にみて
この女の子は可愛いに分類される容姿であろう。
更に言うなら
彼女の髪はくるっくるの縦ロールでそれを大きなリボンに纏めてツインテールをしている。
普通なら、高校生にもなって気持ち悪いと言う所なのだろうが
小学生体系である為か、それが自然と似合って……だから、俺はロリコンじゃない!
「君、さっきから小学生扱いしてくるが私は先輩だぞ?……流石に遺伝には勝てないのだ。」
と怪訝な顔で口を尖らせる。
まぁ、入ってくれ。
と女の子に言われるまま席に座る。
あたりを見渡すが誰も居ない。
「あの、他の部員はいないんですか?」
「あぁ、そうだ。
自己紹介をしよう。
私は、峰川皐月この科学部の唯一の部員であり部長だ。」
!
峰川皐月、それは俺が追いかけていた少女である。
「みねかわさつき、……本当に本人なんですか……?」
(信じられない、こんな簡単に会えるだなんて…!)
最初、理科室に行けば会えるかもとは思っていたものの正直無理だと諦めていた。
だって、あの時あんな遠くにいたのに今はこんなに近いだなんて……
「?……私が嘘を付いてどうするのだ。他にも峰川皐月という同姓同名の人間がいるのか?…」
……どうやら本人らしい。
「どうして表舞台から姿を消したんですか?」
言ってからハッとする。
俺にとっては違うけど、相手からしたら俺とは初対面だ。
初対面の人間にこんなナイーブなこと言うなんて無神経だ。
(酷い病気にかかっていたとか?……)
そうでなければ
あんな素晴らしい研究をした人間が表舞台から姿を消す訳が無い。
「いや、楽しくなかったから?」
は?
なんだ君は私の研究を知っていたのか、照れるな……などと言いながら
ジュースの準備をしている。
「えーと?楽しくなかったから、とは?」
「いや、言葉通りだけど。
あの研究を君は見て面白かったか?
勿論、君が科学に精通しているなら話は別だが…
あれは様々な研究を複合させ応用したものだ。
あれを使えば、きっと世界をよりよくする物が出来るだろう。だが、それを大勢の人間はよくわからないけど便利なもの、と認識する。
それでは、つまらないだろう?」
確かに、俺は最初に聞いた時に全く理解が出来なかった。
でも、あれを理解しようと努力したから今の俺が出来るわけで……
「ふざけんな!
あれは素晴らしい研究だ!
俺はずっと勉強して、あの研究を理解した!
そんな俺が言うんだ、あれは世の中を必ず良くする!」
……。
峰川皐月は、目を丸くする。
そしてニヤリと笑う。
「そうか、君はあの研究を理解出来たのか……どうやら君は科学に精通してるらしい。
では、この現象を説明したまえ。」
そういって彼女の渡したものは
先程彼女が準備していた、……筈のカップに入った得体の知れない
黄土色の、もやもやとした泡がある透明の液体を渡した。
「!おい、何だこれ……は⁉︎」
俺は驚愕した。
彼女はそれを飲んだのだ。
「あぁ、君も飲むといい。
美味しいか聞かれたら微妙だがな」
れっきとしたジュースだぞ?
とこの液体を指して言う。
とりあえず飲んでみることにする。
……それでもわからない。
お手上げだ。
「この液体はな、ある2つの物で出来ている。コーラとコーヒーフレッシュだ。」
コーヒーフレッシュは、ミルクでは無い。その正体は、植物性油だ。
また、コーラが黒いのはカラメル色素のせいだ。
「植物性油…油、カラメル色素……あ!もしかして……」
コーラに油であるコーヒーフレッシュを入れることで、コーラに含まれるカラメル色素が溶け出す。
それは、カラメル色素は水よりも油に溶けやすいからだ。
だから、この黄土色の泡はコーヒーフレッシュに混ざったコーラのカラメル色素。
コーラは、カラメル色素が油の層に移動したために透明となった。
「……ですよね?」
と峰川皐月の顔を見る。
彼女は、ニッコリと笑い
「正解だ」と言う。
(よっしゃぁぁぁあ!)
俺の憧れる人から褒められたのだ。
嬉しいってもんじゃない。
「だけど、君は私のヒントがなかったから解けなかっただろう。
君は、教科書に載っているような物質名を聞いて初めてわかった。」
そうなのだ。
俺は、物質名よりも身近かなコーラとコーヒーフレッシュだけでわからなかった。
俺もまた、素晴らしい物を何故素晴らしいかを理解しないまま物を使っていたのだ。
「世の中には物はたくさんある。
だが、人はその物の利用法を特に考えずに利用するだけだ。
……それでは、つまらない。
そう思わないか?高村光太郎君。」
あれ?俺、自己紹介したっけ?
君、私のことを人に聞いて回ったまろう。噂が私の耳にも入った。
ええええ///
「まぁ、だから
ちょっと軽く挑戦しようと思ってあぶり出しをした。」
流石に簡単過ぎたようだがね。
その後、
俺はこの科学部に入部した。
峰川皐月は、見た目とのギャップが大きい変人ではあるが、やはり俺の憧れだ。
さて
今日はどんな実験をするんだろう?
有名な《あぶり出し》《コーラとコーヒーフレッシュ》ですw
実際にやってみるとけっこう楽しいですよ!
やり方は、ネットをご参考にどうぞ。
色々なやり方がありますから!