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人生が転落した代償として、彼女は何を手に入れたのか。
それは代償よりもはるかに大きなものだったのか。
「ラーシャ様、こちらのお皿をお下げしてもよろしいでしょうか」
大広間に召使いのアシルの声が響く。
「ええ」
「それでは、ごゆっくり」
カチャ、とおぼんの上に皿を置き、アシルは去っていった。
たまにはアシルと食事をしてみたいものだ。
私の食事はいつも豪華絢爛。
ただ、量は私が食べられないから少なめにしてもらっている。
召使いの中でもアシルは私の一番のお気に入りで、普段話すことも多い。だから、この遺産を継ぐ相手として考えている。
だが、私は人生で一度もアシルと、いや、誰とも食事を共にしたことがなかったのである。
今は亡き親も、私にテーブルマナーを教えてくれたが親は大広間、私は自室で食べていた。
だから寂しかったんだ。
「アシル、ちょっとこっちに来なさい」
アシルは、振り向くと血相を変えて恐る恐る私の方へ来た。
周りの使用人たちもお気の毒に、という目でアシルを見つめる。
私ってそんなに怖いのか。奴隷には厳しいけれど。
「ど、どうされました…?」
「そんな怖い顔をしないこと。で、えっと、そのぉ…私と、明日の夜、レストランに行ってくれない?」
いざ誘うとなると恥ずかしいものだ。
彼の方を見ると、ポカンと口を開けていた。
「ええ、いいですよ」
「じゃあ、明日の夜6時に大広間に来なさい!!わかったら仕事について!」
「はい!」
私は、嬉しかった。