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序章
天地初めて發けし時
高天の原に
成れる神の名は…
水面が揺れその先には深紅の神殿が建っている。
その光景を無表情で眺めている一人の男。
名を、惟神と言う。
日に照らされ、奇妙な色になっている白い髪を乱暴に振って、その場を立ち去った。
残されたのは水面に揺れ神々しく輝いている、神殿。
神などいるのならばこの手で殺してくれよう。
神に罰を与えてやろう。
この世は神のものでもなければ悪魔のものでもない。
それを分からぬ倭姫。
――神ほど傲慢で狡猾で愚かしいものなど存在しないということを、教えてやろう。